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カセットテープと緑のフルート。音楽配信アプリも親の本棚にはかなわない話。

趣味でもなんでも、そして良くも悪くも親からゆずり受けたものってありますか。私の場合は獅子座の母から受け継いだ負けん気の強さと派手色のファッション、父からは太い眉毛と趣味の音楽を受け継ぎました。

今回は父の話。眉毛ではなく音楽の方です。


大量のカセットテープ

単身での海外駐在が長く、私が大学に入るまで日本にほとんど帰国しなかった父。父の書斎(風スペース)には、クラシック音楽が録音されたカセットテープやCDがたくさんあり、当時流行っていたJ-POPとクラシック音楽を交互に聴いていました。人間は14歳の頃に聞いた音楽を大人になっても好む、という少し前に話題になった研究もありますが、私はまさにその通りで高校生になる頃に父のカセットテープを通しクラシック音楽の素晴らしさに目覚め、高校でオーケストラ部に入り、ビオラを弾き続けて今に至ります。

緑のフルート

小学校高学年、ひとりで演奏するピアノがひどく退屈で物置に使い始めていた頃、音楽の授業で合奏の楽しさを知り、中学校に入ったら何か楽器を始めたいなと考えるように。そんな頃、何かを察した母から父が昔使っていたフルートがあるよと渡され、銀色の艶やかなとしたフルートかなと思いそわそわしながらケースを開けたらですね、緑なんですね。
皆さんご存じのフルート。オーケストラを代表する横笛ですが、実は3つに分解してケースに収納します。フルートは木管楽器ですが素材は金属なので、長らく使っていなかった父のフルートは錆びてしまいジョイント部分が緑色になってしまっていたのでした。緑のフルートを吹いてみると、音は出ないし金属臭はするし、フルートって変な楽器だなというのが第一印象。ですがそれを機に、中学校では吹奏楽部に入部、銀色のフルートを借り念願のピアノ以外の楽器を始めることになりました。振り返ってみると自分で選んで決めてきたようで、親の影響って大きかったのだなと感じます。ちなみに父がフルートをいつどこで吹いていたかはいまだに知りません。

親の本棚や書斎の魅力

そんな私も子どもを持つ親なのですが、私の父が持っていたような、子どもの興味を引き付けるような「モノ」は家にあまりありません。楽譜を含めた本がちょっとあるくらい。CDなんてゼロです。ビオラは好きで今でも弾いているし、自分の練習やコンサートにも子どもを連れていきますが、父の本棚にたくさん入っていたカセットテープや唐突に渡された緑フルートとはちょっと違う。自分のスマホアプリApple Music Classicalなどでマイリストを作っているけど、スマホアプリという特性上、当然ながら自分以外には閉ざされています。子どもって自分で親の本棚や持ち物をこっそり見て気になったものを選び自分のものにする、という工程を楽しむことも成長につながっている気がするので、私やAIがおすすめした音楽を流すことが得意なアプリは父の本棚には絶対かなわないのです。

我が家のキャパ的に「モノ」を増やすことには限界があるので、「コト」で子どもの興味関心や視野を広げられるように何ができるか考え続けたいなと、ここ最近緑色の葉っぱが出た観葉植物を見て思ったのです。


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