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【浦安DXコラム】印西はなぜ躍進したのか?デジタル時代の浦安鉄鋼団地を考える

ここ数年、千葉県印西市の工業エリアではデータセンターや物流施設などの建設が活発だ。

先日、印西市に遊びに行って工業エリアを見てきたところ、浦安の鉄鋼団地にも参考になることが多いなと思ったので、まとめてみたい。

印西市の現状

2019年、千葉県印西市では、大規模物流センターを開発中のグッドマンが、デジタル企業の雄であるグーグルに一部の土地を譲渡したと明らかにし、大きなニュースになった。目的はデータセンターの建設だ。

2020年には、大和ハウス工業が東京ドーム7個分の土地に大規模なデータセンター団地を開発すると発表している。

データセンターだけではない。先のグッドマンビジネスパークでは、東京ドーム10個分の敷地面積に次々と物流センターを建設、その他数多くの企業が次々と物流センターを建設している。人口も2019年1月から2020年1月の1年で2.5%以上の増加である。この人口減少時代に驚くべき結果だ。

浦安鉄鋼団地の現状

浦安市はどうだろうか?

浦安市には鉄鋼団地と呼ばれる工業エリアがある。1960年代に自動車の大気汚染問題が深刻化し、都内における大型トラックの夜間進入が規制されたことから、その対策のために建設されたエリアだ。東京ドーム23個分の敷地をもつ広大な土地に約270もの事業所が存在し、約4000人が働いている(2015年)。

デジタル時代における大型工業施設の根幹はデータセンターと物流施設だ。データセンターはデジタルサービスの提供やデータ処理を行うデジタル時代の頭脳であり、物流施設はECの心臓部だ。すべての商品は心臓から送り出される血液のようにここから出荷されていく。DXのためには必須の構造物である。

浦安鉄鋼団地は今から50年以上前に造成が行われた工業エリアだ。多くの建物は平屋か低層の建物で、老朽化が進んでいる。また、大気汚染の元凶と揶揄され、東京都から追い出された経緯を持つことから、どこかもの寂しさがあり、夜間侵入禁止になっている。

これは変ではないだろうか。なぜ、日本の高度経済成長を支えた重要な工場がこのような存在でいなければいけないのか。昔はディーゼルエンジンの排気ガス問題があまりにも深刻でやむを得なかったのかもしれない。しかし、今は時代が違う。ディーゼルエンジンの環境性能は著しく向上した。すぐ隣にたくさんのクリーンディーゼル車が走っている。鉄鋼団地をデジタル時代の浦安飛躍の象徴にしなければいけないと思う。

印西市の躍進からみる浦安へのヒント

ではどうするべきなのか。ヒントを印西市から探ってみたい。

印西市の躍進の理由は数えればキリがない。広大な土地、成田空港からのアクセス、職住近接、働きやすさ、大型変電所近接、強固な地盤、他にまだある。この中から浦安にも適用できそうなもので、注目すべきは大きくふたつ、大規模開発、そして就労環境だ。

浦安鉄鋼団地は東京ドーム23個分の広大な敷地面積をもつ、一大工業エリアで、築年数が古くなった低層の建物が立ち並んでいる。これらの建物を再開発することにより、新しい時代に対応した工業エリアに生まれ変える。例えば、低層階に鉄鋼事業社が入居し、高層階をデジタル施設に活用する事で既存産業と新産業を両立できないだろうか。

もう一つは就労環境だ。鉄鋼団地はすぐ近くに住宅エリアが広がっている。また、周辺は首都圏でも有数の人口密集エリアだ。潜在的な雇用者数は非常に大きい。しかし、いまは労働者確保難の時代だ。鉄鋼団地は、他の様々な産業と労働者の獲得競争をしなければならない。働きやすさや働きがいの向上を目指す必要があるだろう。

印西市工業エリアのグッドマンビジネスパークの中心部には、保育園やカフェ、子供の遊び場やバーベキュー上までもが整備され、働く人の憩いの場となるだけでなく、周辺住民が訪れる賑わいの場にもなっている。

そして、コストコやカインズといった大型ショッピング施設も隣接し、工業エリアが住民の身近な建物になるよう工夫されている。

先述の大和ハウスのデータセンターも日本最大級のホームセンタージョイフル本田千葉ニュータウン店のすぐ裏だ。

以下の写真は、工業エリアにあるコンビニだが、非常に先進的なデザインで、おもわず入りたくなってしまう施設となっている。

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このようにデジタル時代を見据えた日本の工業エリアの発展は目覚ましい。

浦安も負けてはいられないだろう。鉄鋼団地も近年は物流センターの建設が進んできている。小さな一歩ではあるが、浦安にとって大きな前進ともいえる。

浦安鉄鋼団地に、新たな物流センターが生まれようとしている。建築主は、同地で38年、城東エリアで100年以上鉄工所を営んできた老舗、アライプロバンス(旧社名:新井鉄工所)である。

浦安鉄鋼団地のポテンシャルは今までも非常に高かった。東京至近の大規模工業エリアで東京湾と大動脈湾岸道路への好アクセス。これに印西市をヒントにした新しい息吹と、第二湾岸の整備や5G等を活用したスマートファクトリー、ドローン配送拠点といった既存のアイデアが組み合わさる事で、浦安鉄鋼団地がデジタル時代の浦安を牽引し、市民の賑わいの場へ成長してくれる事を期待している。


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