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私が管理本部長だ! vol.7

社内恋愛はほどほどに エピローグ

神野が会社を辞めてから2年が経った。

その日の私は、ちょっとした用事があって学芸大学店に向かっていた。
日曜日だったこともあり、学芸大学店の改札を出てすぐの商店街は、人通りが多く活気に溢れていた。

「高良川さん!」

ななめ後ろから、女性の元気な声で呼び止められた。

「高良川さん、お久しぶりです!私のこと覚えてますか?」

そこに立っていたのは神野だった。

「ああ、神野さん、久しぶりですね。あれ?家ってここの近くでしたっけ?」

私の記憶が正しければ、当時二人が同棲していた家は蒲田にあったはずだった。

「はい、実家がここの近くなんです!」

大きな声の彼女は、体もほんの少しだけふっくらとしたようだった。

そして一瞬だけ目線を落とし、「今更だとは思うんですけど」と前振りをして、

「結局、私たち別れちゃいました」

と、笑顔で言った。

「そうですか・・」

偶然会ったにも関わらず、すぐにその話題をしてくるということは、彼女なりにあの日の面談を大切に思ってくれていたと言うことだろうか。

「神野さん」

私は、柄にもなく余計なことを聞いてみることにした。

「今、充実した毎日を過ごせていますか?」

彼女は少しだけ間を空けてから、軽く微笑んでこう答えた。

「はい、毎日充実していますよ!まだ彼氏はいませんけどね。。。ん~、でもまあ仕方がないです。ちゃんと考えて自分に合った良い男を選ばないと、また仕事無くしちゃいますしね♪」

ハッキリとした口調のその答えに、私は思わず、吹き出すように声を出して笑ってしまったのだった。

*****

私は管理本部長。
面白いことは管理しきれないところの方に詰まっている。だが、私がそう思っていることは社内のみんなには内緒なのだ。


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