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【YBS radio】元宝塚の優ひかるさんと語る「茶の湯」

先日、YBSラジオのコーナー「優ひかるのシャイニングタイム」という企画で元宝塚歌劇団月組の優ひかるさんと「茶の湯」をテーマにお話をしました。

(以下、放送を起こしたものです。)
優ひかる(以下、優) こんにちは、優ひかるです!この時間は山梨県内外で活躍する今輝いている人をご紹介し、夢を持つことの素晴らしさをラジオをお聴きの皆様にお届けしていきます。今週の輝くゲストは山梨市で茶の湯教室、「たろう庵」を展開する茶人の前嶋康太郎さんです。今日は素敵なお着物でお越しいただきましてありがとうございます。

前嶋康太郎(以下、前嶋) 初めましてよろしくお願いします。前嶋康太郎と申します。よろしくお願いします。

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 なんとですね、私も去年の春からお茶を習い始めまして、

前嶋 おおー素晴らしいですね!

 いやあ、ほんとにまだ所作も覚えられていない状態なんですけれども(笑)

前嶋 いや、優さん、お茶やってる感じがめっちゃかっこよさそうな感じがもうイメージ的にありますよね!

 今日は前嶋さんのお話が聞けるのを大変楽しみにして参りましたので、では、さっそくプロフィールをご紹介します。
山梨市のご出身で現在30歳。ご実家の茶道教室で6歳より学び始め、中学高校時代はラグビーやハンドボールに打ち込む傍ら、なんと茶の湯に親しまれています。大学在学中には京都の家元に通い、またお寺に泊まり込みで茶道の稽古を積み、卒業後、表千家の免除を受け、茶道講師として活動が始まります。これまで600回以上の茶会を行うほか、親子の茶の湯教室や日本を訪れた外国の方に向けた茶道体験、企業に向けたビジネス茶道研修と一つの茶室にとどまらず活躍の場を広げていらっしゃいます。

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 なんと前嶋さんは6歳からお茶を始めたということなんですけれども、学生時代はなんとスポーツをやってらっしゃったわけじゃないですか、もうスポーツとお茶って全然違うじゃないですか?

前嶋 そうなんですよねー。スポーツっていうと体を動かして「静」と「動」でいうと「動」の分野になるかなと思っていて。で、お茶はどっちかっていうと心静かに「静」の世界で自分を高めていくみたいな世界だと思うんですけど、何となくそのギャップ面白いなってのが自分であって。
運動部バリバリやっていながらお茶やってるっていう、、、学生時代はあんまり同級生とかにはお茶やってるでみたいなことは全然話はしてなくて、密やかにお茶をずっと続けていたっていう感じですね(笑)

 この10代の時には、お茶を立てている時間っていうのはいかがでした?

前嶋 えーと、10代もそうなんですけども、学生って結構忙しいじゃないですか、、、?

 忙しいですよ!(笑)

康太郎 でも、まあ、社会人になっても結構忙しいんですけど(笑)
お茶の起源をたどると利休さんの頃とかは戦国時代なので、外で戦をやってきて、戦で首を取った者が勝ちだっていう世界。

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 確かに。

康太郎 そこで、ひとたび離れると家庭では子供がいて奥さんがいてっていう生活。ナチュラルにそんな使い分けできないじゃないですか、人なんだから。

 出来ないですね。

康太郎 さっきまで人の命を取ることが一番重要だったのに、いきなり自分の子どもを愛すわけじゃないですか。そこで全く全然価値観が違う「茶の湯」っていう世界が機能したのかなって。僕が勝手に思ってるんですけど、、だから、茶室とかも刀を置いて入るじゃないですか。

 そうですね!

康太郎 刀を置くってことは、今だったら(昔の武士を現代のビジネスマンと捉えて)なんかパソコンとかスマホとか全部置いてきて、、、けど、やってることは500年前と変わらずお菓子食べてお茶飲んでみたいな。。
本当にこう心を1回リセットに戻せるじゃないけど、そういう機能もやっぱりあるのかなって思ってます。
それが10代からもお茶を離れていないっていう理由かもしれませんね

 前嶋さんは親子の茶道教室や企業に向けたビジネス茶道研修などもされていらっしゃるってお聞きしたんですけれども、親子の方は小さなお子さまもいらっしゃるそうですよね?

康太郎 小学生にまだ入る前の女の子とかいて。塩山にある恵林寺っていう武田信玄公の菩提寺で教室を持っています。

 お墓のある!

康太郎 そうなんです!なんかすごい良いエピソードがあって。
お母さんとお父さんと小学生4年生くらいの女の子で来られていた方がいて、家でちょっと親同士が喧嘩になってる時に、その女の子がお茶たててくれて。
(ご両親が)「何かハッとして、何してたんだろう」みたいな、、(一気に空間が和んだという)
ちょっとしたエピソードなんだけど、ココにお茶の本質すごいあるなって思っています。何かやっぱ「調和」っていうのがテーマになっていて、さっきは「自然との調和」って話をしたんですけど、やっぱり「人との調和」っていうのも一番大切なことなのかなって。
それをなんか、何も考えてないかもしれないけどそこでお茶たててしまったっていうのは、嬉しいです。こういう親子教室をやっててほんとよかったなと思って。

 素敵ですね♪

康太郎 そういうことが少しでも生まれてるのが、僕も少し役に立ってるかなって思えて、非常に嬉しいなと思っています。

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 前嶋さんは実は大変リスペクトされていらっしゃる茶人の方がいらっしゃると伺ったんですけれども。

康太郎 はい。いっぱいいるんですけど、今日誰かひとり挙げるんだったら、この人しかいないよなっていうのが、「小林一三さん」ですね。

 ご存じない方に、ちゃんとご説明しますと、私が9年間在籍しておりました宝塚歌劇団を創設した創設者の「小林一三さん」でございます。

康太郎 はい、まさしく。小林一三さんって、阪急作ったり、宝塚作ったり、ほんとに色々な仕事をしていて。また全然別の顔として、大茶人で。
宝塚もそうなんですけど、文化とか芸術みたいなものを、とにかく一部の上の方だけが楽しいものじゃなくて、民衆レベルでみんな広く楽しめる場所を作ろうっていうのがすごい感じられるんです。その足跡から、みんなが楽しめるような広め方をしたいってのが、ものすごい伝わってくるので、優しくて好きだなーってとてもリスペクトしていますね。

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 そうなんですね!

康太郎 小林一三さんの大切にしている言葉っていっぱい残っていて、、、

 すごい!私より詳しい(笑)

康太郎 あれですよね、宝塚歌劇団のテーマもありますよね。清く・・

 「清く正しく美しく。」ですね!

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康太郎 これってほんとお茶的だなって思っていて、もうお茶のテーマってそれだけだと思ってるんです。だから今日も、お茶の話をって打ち合わせで言われたんですけど、そのテーマでずっと走り続けてた優さんの方がお茶の本質に近いんじゃないかって僕は勝手に思ってるんですけど(笑)

 いやいやいや(笑)お点前もまだできない本当にレベルなんですけども、あの人間として成長できるかなって思って、お茶を習い始めたんです!

康太郎 いあー素晴らしいですね!

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 できているかはまだわかんないんですけど、宝塚にいたときって、ずっと忙しい時期がありすぎて、お稽古事もやっぱ歌とかダンスとかそっちの方しかできなくて、それ以外の事ってする時間がなかったので、季節を感じることもできなかったんですよ、正直。
公演をやってるともう気づいたら夏になってて、気づいたら一年たってたみたいな。やめてから、そういえば何かちょっと春の匂いがしてきたみたいなのを感じたりするようになれたのは、ある意味、お茶を始めたからなのかなと。

康太郎 そうですよね。季節感もずれてきている今にとって、自分から季節感を求めていくようなアクションをして磨いていかないと、自然と生きていくとか暮らしていくっていう感覚はつかめない気がしていて。なかなかその喜びまで行かずに人生終わっちゃう可能性もありますもんね。。。

 前嶋さんは6歳からそれを感じていらっしゃる!

康太郎 いや、まだ一生懸命勉強中っていう感じなので、、、でも、これからも続けていきたいとは思いますね、死ぬまでは。

 では、ここで前嶋さんの活躍の源になる曲、シャイニングリクエストをおかけしたいと思います。どんな曲でしょうか。

康太郎 奇妙礼太郎トラベルスイング楽団で「オーシャンゼリゼ」という曲です。

 この曲にはどんな思い入れがありますか。

康太郎 基本的にすごいあのポジティブな曲だなと思っていて。僕もいつもモットーにしてるのは、自分が常にご機嫌である状態が作り出せることが必要だなって思っていて。
なんとなく、世界は良い方向には向かってないよねっていう前提の話がやっぱり多くて。けど、そうじゃなくて全然好転できる可能性があるんじゃないかっていう風に思っていて。もっとみんながハッピーになれるようなことが絶対あるよねっていう風に信じているのでこの曲はすごいポジティブでいいなって思って選ばせていただきました。

 ありがとうございます。それではお聞きください奇妙礼太郎トラベルスイング楽団で「オーシャンゼリゼ」

 お聞き頂いているのは奇妙礼太郎トラベルスイング楽団でオーシャンゼリゼでした。そして何と前嶋さんの活動は茶室に限ったものだけではなく、「野点ニスト」という活動をされていらっしゃると聞きましたが、どんな活動なのでしょうか?

康太郎 一人で趣味みたい感じなんですが(笑)
ずっとやっているのが「野点ニスト」って称して色んなところで、ゲリラ的なお茶会をやっています。野点っていうのは、外でお茶飲むっていう会ですね。それをやる人ってことで勝手に「野点ニスト」と命名しました。(笑)

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ちょっと面白い話があって、私が習っているのは表千家流っていう流派なんですね。で、教本の最後の方に書いてあるのが「野点」。
そこには「すごい難しいから素人は手を出すな」って書いてあるんですね。(笑)
全部できるようになってからやれみたいなことが書いてあって。
それってなぜかっていうと、シンプルに難しいんですね。
結局外でやると景色とかにずっと奪われてしまってお茶っていうのが崩壊してしまう可能性があるから、お茶が全部できるような人やらないといけないっていう風に明文化されてて、、、
じゃあやるなよみたいなんですけど・・・(笑)
(つまり)それだけ難しいもんなんだなっていうのがまずある。
難しいっていうことは、まだまだ修行中な僕が現段階で野点をやった場合、考えられることは「絶対失敗する」ってことですよね。
それだけ難しいんだから、たぶん小林一三さんでも難しいぐらいの勢いだと思うんで、そしたら絶対失敗するんだけど、失敗するってことはその分学びがあるってことで、最速的に学びが増えるんじゃないかなと思って、「野点ニスト」とかふざけて称していますけど、、、一回一回のお茶会は本気でやっています。(笑)

 どんな場所でやられるんですか?

康太郎 雪が降ったら雪の中でやったり、あえて雨の6月には雨を楽しむお茶会行ったり、山の上とか湖のカヌーの上とか廃墟とか縄文の竪穴式住居とか、色んなところでやっています。

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 前嶋さんの思う、ゲリラ茶会の面白さってどんなものなのでしょう?

康太郎 お茶っていう空間が非常に面白くて、そのお茶をやってる空間だけがその価値体系が全く異なる空間が出来上がってしまうんですね。お茶室だとわかりやすいんですけど、戦国時代とかは「首とるのが一番だった世界」と、(ひとたび)お茶室入ってしまえば、「こんな焼き物の器が一番価値がある世界」になるわけじゃないですか。
価値体系が全然異なってしまうんです。ゲリラ茶会の場合もたぶん同じで、いろんな場所(美しい場所が多いんですけど、)そういう場の力ってものも借りながら、お茶を楽しむっていう空間を一つ作り上げることで、そのお茶碗を起点として人の集まった空間だけは、価値体系が全く異なる空間ができあがるので、そこがすごく面白いなって思います。芯の深い心の交流ができてるっていう感じがあるのでそこがゲリラ茶会の一つの面白みだと認識しています。

 まだまだ活動の幅がどんどん広がっていく前嶋さんなんですけれども、前嶋さんのお茶会に参加したい、もしくはお茶を習ってみたいという方はどちらにアクセスしたらよろしいんでしょうか

康太郎 前嶋康太郎で検索していただいても大丈夫ですし、たろう庵とかでも情報が出てくるとおもいます。あとは、お茶会の告知とかは、 Facebook とか Twitter とか Instagram とかで順次公開しているので、ダイレクトにどんどん連絡いただければ、告知もいたしますので、ぜひ気軽に参加していただけたらと思います。

 ラジオをお聴きの皆様も気になる方がいらっしゃったら前嶋康太郎、たろう庵で検索していただけたらと思います。それではここでもう1曲、前嶋さんのリクエストをおかけしたいと思います。今度はどんな曲でしょうか?

康太郎 はい。山梨県の誇るアーティスト レミオロメンの3月9日という曲です。

 この曲にはどんな思い入れがありますか?

康太郎 ほんと名曲だなあって思うんですけれども、歌詞とか聞いていると、非常にその自然の時間がゆっくり流れる感じとか、、、いわゆる日本人的な感性で、非常に茶道的な曲だなっていう風にも感じられて。
個人的にも藤巻亮太さんと少しお付き合いもあり、本当に素晴らしい方だなと思っていて、応援も込めてこの曲を選びました。

 ありがとうございます。ではお聞きくださいレミオロメンで3月9日。

 お聞きいただいているのはレミオロメンで3月9日です。では、このコーナーは、夢を持つことの大切さを伝えていきたいというコンセプトがあるんですけど、前嶋康太郎さんの夢を教えてください!

康太郎 はい。私の夢は「利休さんよりもやばい茶人になる」ことです。
この目標はお茶やられてる方からすると、何言ってんだよっていう風に怒られそうな目標なんですけれども・・・お茶を嗜む者としてはやっぱり、利休さんがどんな世界を目指したのか、どんなことをしたのか、したかったのか、ということをしっかりと掴んで、ちゃんと挑戦したいなと思っていて、この目標で今ずっと動いています。

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具体的には、お茶っていうものが世界の基準になることで、たぶん利休さんを超えられると思うんですね。利休さんは、日本人の感性の水準をたぶん茶の湯っていうものでこういうレベルまで引き上げてきたところがあるので、それを世界レベルにできたらお茶を持って利休さんよりもやばいお茶人になれたんじゃないかなっていう風に勝手に思っています。
ただ漠然と、世界の話をしててもなかなか難しいので、まずは取り急ぎ、山梨県が全国の都道府県において茶道人口がナンバーワンになるというところを目指して走っていきたいなと思っています。
このためにですね、私個人で出来ることをまず一歩一歩やっていくしかないなと思っていまして、まずはその2021年に向けて山梨の学生大茶会っての仕掛けたいなと思っています。
全国の学生を集めて大茶会ができるような仕組みを今、山梨大学の表千家茶道部を中心に一生懸命企みを進めているとこでございます。
これらの挑戦を続けていくには、本当に多くの先生方のお力添えがないと本当に難しくて。。。助けてほしい!という、、、この一点に尽きます。
とにかくできることを少しずつ、地道に努力を続けていきたいなと思っていますので、是非お力添えをお願い致します。

 聞いていらっしゃるお茶の先生方いらっしゃいますでしょうか、ぜひ前嶋さんにご連絡ください。(笑)

康太郎 ありがとうございます。

 本日の輝くゲストは山梨市で茶の湯教室たろう庵を展開する、茶人の前嶋康太郎さんでした、ありがとうございました。

康太郎 ありがとうございました。

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