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両親を結婚パーティーに呼べないことと自分の幸せの話

昨年、彼女とフォトウェディングをした。
それも写真を撮ってもらいたい友達がいたからで、
パートナーシップを結んだりはしていないので、自分たちで勝手に“ ウェディング”と呼んでいる。
でも、それが今のわたしたちにとって、友達や大切な人たちに、この人がわたしのパートナーで、これから先も一緒に生きていきたいと思っている人です、という意思表示になった。

わたしも彼女も、一緒にオシャレをするのが好きなので、パーティーもしたいねとずっと話していた。

コロナ禍もあって、いつかの話で終わっていたけど、最近ようやくできる兆しが見え始めて、来年くらいできないかなって話しはじめた。

その時やっぱり必ず話題に上がるのは、うちの両親を呼ぶのかどうかっていうこと。

わたしは、母親にだけカミングアウトしている。その時に父親に話すことは母親に止められたので、していない。

母親にしたのももう10年近く前になる。
当時付き合っていた人の印象も相まって、母親がかなりショックを受けたことも話してすぐにわかった。

だけどわたしと母親との関係は、ずっとなんとなく遠慮していて、カミングアウトで関係性が悪くなったというより、カミングアウトではっきり表に出てしまったなという感じだった。
母親がどう感じているかはわからないけど、
仲が悪いというより、相性が悪い。

わたしが母親に遠慮して生きるようになったのはたぶん、母親の病気のこと(「ヤングケアラー」に書いてます)が大きなきっかけだけど、

一番の大きな原因は、わたしは母の望むようには生きられないって言うことなんだと思う。

それも、「母が望む洋服と、それを着られない罪悪感をすこしだけ手放した話。」に書いたけど、
母はわたしに、女の子の格好をしてほしかった。
小さな頃から男の子の格好がしたかったわたしは、いつも母とぶつかっていた。
今もどんなに、自分で選ぶということ、メンズで買っていることを伝えても、わたしの格好を見せても、未だにレディースのわたしが着ないであろうデザインの服を送ってきてしまう。

今は彼女のおかけでだいぶ解放されてきたけど、
母の期待に応えられないことも、
自分が好きでしている格好を、悲しい表情で見られることも、ずっと辛くて仕方なかった。

人それぞれに幸せがあると知っていても、
それでも自分の子どもには、自分と同じように結婚して子どもを産む幸せを味わってほしいと思ってる母親に、わたしは自分の幸せがどんなものかを伝えることに疲れてしまっていた。

今、彼女のことを伝えて、
「そういう人に出会えてよかったね」という一言を言ってもらったことで、わたしと母の関係はもうそれで十分なんじゃないかと思っている。

だからわたしは、そのことを彼女に伝えて、
パーティーをするとしても、両親は呼びたくないと伝えてある。

それは、異性同士の結婚式ではありえないことだろうか。同性同士であっても、一般的な考えとはちがうかもしれない。

どんなに反対されても、説得して認めてもらう。
結局なんだかんだ言っても、親は子どもの晴れ姿が嬉しいもの。

そういうことは、わかっている。
わかっているけど、わたしが両親に自分史上たぶん一番幸せであろう姿を見てほしいとは思えない。

悲しい顔をする母親を想像しながら式に出ることはしたくないし、両親に遠慮して顔色を伺いながら出ることもしたくない。

いつからかずっと、家族といるときが一番自分を出せなかった。

申し訳ないけど、
父親にはこの先もカミングアウトをするつもりはない。父親がどれほどの知識を持っているかは、理解をしてくれるかはもちろんわからないけど、自分の娘のあまりに大きなことをこれまで知らされてこなかったという事実を受け入れられるとは思えない。

このまま言わないままだとしても、
良い家族だと思っている父親の気持ちを壊したくない。
たまに少し辛い思いをしながら実家に電話したり、帰ったりして、
それでもやっぱり愛してはくれたんだよなと思いながら、親の喜ぶことの中でできることを探して生きて行きたい。

自分にとって一番大事なことを伝える相手はもう、彼女だから、それは式とかパーティーとか籍とか、そんなものとは全然関係なく、彼女との関係性の中で築いてきた。

だから、わたしはパーティーには、わたしたちのことを、わたしたちがどれだけお互いを大切に思っているかを知っていてくれている、大事なひとたちを呼びたい。

むしろ、愛されて育ったのに家に居場所がないと思ってきたわたしが、これだけ呼びたい人がいることが、本当に幸せで、うれしくて仕方ない。

恋愛にもいろいろな形があるように、
家族との付き合いもきっと人それぞれで、
わたしたちはわたしたちの幸せを、こうやってこれからも考えていきたい。


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