PENTAX K-7レビュー:2021年に2009年のカメラを使ってみる
こんにちは。
PENTAX K-7は2009年6月に発売された、1460万画素のAPS-C一眼レフカメラです。
まだPENTAXがリコーイメージングではなくHOYAだった時代というかなり昔のカメラになりますが、今回このカメラを買ってみましたので、ざっくりとですがレビューしてみたいと思います。
*ちなみに前置きが長いので、途中をすっ飛ばして「外観」という項目から見てもらった方が良いかもしれません。
買ったきっかけ①オーゼキコーキさん
さて、なぜK-7を買ってしまったのかということからお話したいと思います。
知らず知らずのうちにPENTAXファンになってしまっていた私は、生産中止で中古価格がお買い得になっているPENTAX機で遊びたいなと思っていました。
中古のPENTAXてなんか魅力的でして、面白そうなのが多いんですね。現状PENTAX最後のccdセンサー搭載機・PENTAX K-mや、ペンタ部のリーゼントヘアーがかっこいいPENTAX K-30や、伝説のミラーレスカメラ・PENTAX K-01などなど。。。。
いやーどれが良いかなと思っていた、そんなときにぶっ刺さったのがこちらの動画です。
これはイケボプロカメラマン・オーゼキコーキさんがまだまだ使える中古カメラを紹介するという趣旨のYouTubeチャンネルなのですが、このK-7の紹介を見て一気にやられてしまいました。
また、スタンドエフエムというラジオアプリでもオーゼキコーキさんがラジオをやられているのですが、そこではこの動画に収まり切らなかったK-7の魅力が存分に語られておりまして。。。この動画+スタンドエフエムのパワーで完全にK-7を買うモードに入ってしまったのでした。
オーゼキさんが語られていたところで私が特に気に入ったのがこちら。
・グリップが良い
小型ながらとても握りやすいカメラとのことで、グリップが良いカメラが好きな私には好印象でした。
・安い
生産終了してから結構な時間が経っていますから安いです。1万円~2万円というデジタル一眼レフカメラとしては超お手頃価格で手に入るのが嬉しかったです。
・ノイズが素晴らしい
決定打となったのがこれ。オーゼキさん曰く、K-7はノイズが少々でやすい機種とのことなのですが、ノイズと言っても嫌な感じのノイズではなく、ISO1250(1250がミソとのこと)のノイズがまるでフィルムカメラの粒状感のような良い味がでるとのこと。どれくらいフィルムカメラっぽいかというと、「PCに取り込んだフィルムカメラの写真とK-7の写真を間違って同じフォルダに入れてしまい仕分けようとしたが、ぱっと見どっちがどっちか分からなかった」というエピソードがスタンドエフエムで語られているほど。
後述するようにストロボ内蔵のカメラなので、ストロボ焚いてISO1250にすればめちゃくちゃフィルムカメラっぽくなるのでは?ですとか、モノクロしてISO1250のノイズを載せればフィルムカメラ時代のGRっぽくなれたりするか?とか、
フィルムカメラっぽい写真が撮りたい、という気持ちが盛り上がっていたころだったので、これはもうK-7買うしかないっしょということで購入に踏み切りました。
*ちなみにオーゼキさんはPENTAX好きな方でして、ブログ等でもたまにPENTAX愛を語っておられますので是非ご覧ください。
買ったきっかけ②K-3Ⅲの相次ぐ遅延
PENTAX K-3Ⅲが幾度も遅延発表をしていたころで、私自身なんとなくやきもきしていまして、何か買いたいなと思ってしまって・・・。
そんな折に先ほど述べたような動画等を見てしまったわけですから、
・PENTAX
・APS-C
・固定液晶
ということはこれもう実質K-3Ⅲじゃんということでついつい買ってしまったわけですね。
買ってすぐにレビューを書かなかった理由
ということで、ちょうどメルカリでいい具合っぽいK-7が確か1万3千円くらいで出ていましたので購入しました。
実はその購入したのが3月くらいでして、この記事を書くまでになぜこんな時差が生まれてしまったのかというと、以下の事情がありました。
ウキウキで開封してみてちょっと使ってみたのですが、ファインダー内にゴミがあったり、アップデートされていないのかSDXCを認識してくれなかったりしたので、リコーイメージングスクエアに行き清掃とアップデートをしていただくことに(これで3000円くらいかかりました)。
その際、使っていてちょっと気になる点を確かめていただきました。それがAF精度。
ピクセル等倍で細かく検証したとかそんなことではないのですが、背面液晶で見ているだけでもなんかピント合ってるような合ってないようなよく分からない画像ばっかり撮れるので、そこもちょっと調整してもらおうかなと。
で、結果としては、AFがもう調整できないレベルにおかしくなっちゃっているとのことでした。。。
要はカメラ側のピント微調整ではもう修正できないレベルでAFが乱れており、かといって修理しようにもカメラが古くて部品がもう無いそうなんですね。まあ現行品じゃないので文句は言えないですね。つまり私はつかまされました。
いやまあ正直覚悟はしていました。実はオーゼキさんのスタンドエフエムでも、「このカメラの欠点はAF精度、合焦してから体を前後に動かして微調整する必要があるのでほぼMFです」的なことは仰っていたんですね。それにAFが弱いことで有名なPENTAX、しかもその生産終了レベルの古い機種ですから、確かに良くは無いんだろうけど、まあ言ってもそんなにひどくはないだろうとどこか楽天的にとらえていたんですが。。。まさかここまでとは。。。
ということで、撮っても撮ってもピンぼけチックな写真が撮れてしまうことが非常にストレスになり、ならばMFで合わるしかないかとMFで合わせようとしても、いまいちピントの山がつかみにくく、「ピント合ってない→ピント合いそう→ピント合いそう→ピント合ってない」て具合でイマイチピントの山の頂上にたどり着けないんですよね(語彙力無い説明でごめんなさい)。
そんなこんなで私の中ではストレスしかないカメラとなってしまい、MNG報告をする気も起きず、半ば黒歴史のように私の机の横で封印されていたのです。レビュー書くにもある程度好きなカメラじゃないとだめなんですね。
いや、意外と良いかも?
じゃあなんでこの記事を今書いているかということなんですが、
最近ですね、私のツイッターのタイムライン上で、K-7の購入報告が相次いでいるんですね。確かにPENTAX好きだと魅了されてしまう何かがK-7にはありますからね、仕方ない。
それに触発されて封印していたK-7を見てみると、AF周りがひどすぎるだけで見た目とかはやっぱりかっこいいんですよね。まあせっかく縁があって買ったわけですから、K-7の外観とかを撮って、ピンぼけした作例を撮って、AFが効かないダメな中古を掴んじゃいました~という記事を書いて成仏させようとしたわけです。
ということで作例を撮りに行ってみると、
あれなんか・・・綺麗に撮れる・・・
実はやけくそでピント微調整をなんも考えずマイナス10に振り切ってみたのですが、それが意外に良かったのか謎にAFが(ちょっとひどい時もあるが)決まりますし、明るい晴天下だとMFも決まる。
あれ結構良いじゃんK-7。
ということで、急遽色々作例を撮って記事にしてみようかなと思ったのであります。
ここまでが長い前置きでした。お疲れ様でした。
外観
では早速外観を見ていきたいと思います。
うーん、カッコいい。
コンパクトでとても良い見た目。最近のPENTAX KPやPENTAX K-3Ⅲと比べるとペンタ部のとんがり具合がまだマイルドですね。
内臓ストロボを展開するとこうなります。これまたかっこいい。
背面はこんな感じ。現行PENTAX機とほとんど同じではありますが、実際使ってみるとこのAFボタンがなんとも押しづらいところにあり、親指AFをほとんどしなくなりました。(私はアイピースを外して使うことが多いのでこの写真ではアイピースがありませんが、アイピースはもちろん付いています)
個人的にはこのRIKENON50㎜F2.0というオールドレンズを付けたときの見た目がすごい好みです。このレンズ、当時PENTAXとは特に関係なくただKマウントのレンズとカメラを作っていただけのリコーが発売していたものなのですが、K-7のみならずK-1Ⅱにつけてもすごい格好いいのです。そのリコーがのちにPENTAXのカメラを扱うことになるとは、なんか不思議な縁を感じますね。
それではK-1Ⅱと並べてみます。
全体的にPENTAX K-7はコンパクトに収まっていますね、センサーサイズの違い的にそりゃそうなのですが。
とはいえ、調べてみると実はK-7の幅は130㎜、K-1Ⅱは約136㎜ということで、横幅に関して言うと6㎜くらいの違いしかないんですね。意外とK-1Ⅱの横幅って短い。
ダイヤル類が少ないため、K-1Ⅱよりも肩液晶が大きくなっています。
厚み比較。 K-7薄いですね。
良い部分
ではここから、K-7の良い点について述べてみたいと思います。
・グリップとシャッターフィーリングが良い
K-7を買うまでは、ネットで外観画像をちょっと見たくらいで実機を触っておりませんでしたので、グリップやシャッターの感覚を全く知らず、実際に触ってみるまで不安がありました。ただ、触ってみると杞憂に終わりました。
小型でありながらグリップはしっかりと握れます。同じくPENTAX機のK-70の方は、グリップの厚みはあるものの小指余りがすごく、正直快適とは言い難いグリップだったのですが、多分そんなにサイズが変わらないはずのK-7のグリップは打って変わってかなり握りやすいグリップになっています。もちろん、握り心地のみでいうとK-1Ⅱに劣りはしますが、このコンパクトさでこのグリップなら素晴らしいと思います。
また、シャッターも気持ちいい。静かで、どことなく深みがあるような音です。これはPENTAXユーザーの方にしか伝わらないかもしれませんが、PENTAX KPのシャッター感と似ている感じがします。
あと、シャッター音が長い感じでして、シャッターを切ると、「カシャッ」ではなく「カシャッンー…」という音が鳴ります。こんな変な擬音の説明しか出来ず申し訳ないですが、このちょっとした余韻みたいな響きが個人的にすごい好きです。
・ファインダーも良い
ひと昔前のカメラですので、ファインダーがダメかもしれないとも思っていたのですが、こちらも良い意味で裏切られ、広くて見やすいファインダーでした。ただピントの山が若干つかみにくいのが玉に瑕。
・発色が良い
序盤の花の写真もそうですが、発色がすごい良いです。鮮やかというレベルを超えて暴力的なまでに発色するときがあります。特に、やはり緑色などの自然の被写体を撮るときにそれを強く感じますね。
・軽量コンパクト
APS-C機ということもあり、とても軽量コンパクトに感じます。
一応スペックだけで言うと、
約130.5mm(幅)×96.5mm(高)×72.5mm(厚)
約670g(本体のみ) 、 約750g(電池、SDカード付き)
となっておりまして、ミラーレスに比べると特別軽いわけではないのですが、普段K-1Ⅱという超重量級カメラを使っていることもあり、カメラを持って歩いたり、カメラを構えたりといった動作一つ一つで「軽っ」と思います。取り回しもいいですし、やっぱり軽くて小さいのは正義ですよね。
・内臓ストロボが付いている
今のカメラではほぼ省かれている内臓ストロボがついています。実はこれも購入に至った理由の一つでして、
ピント合ってないないですが、こんな感じでストロボ直当ての、写ルンですなどの昔のフィルムカメラ風な写真が撮れるのも良いところです。これでポートレートとかを撮りたいですが、まだできていないのでいずれ撮影してみたいです。
ちなみに、このストロボの開き具合・閉じ具合も良質なんですよね。閉めるときはパタンと静かに心地よく収納できるため、最初のうちは意味もなく開いたり閉じたりしていました。
・電池持ちが良い
電池持ちはよく、メーカー公称で980枚撮影することができます。使ってみた感覚としても、バッテリーの目盛が全然減りませんでした。ちなみにバッテリーはD-LI90というものを使っており、これは現行のK-1ⅡやK-3Ⅲにも使われているので共用できます。
ダメな部分
使っていてちょっとな・・・と思ったところを書いてみます。
・暗い場面が撮りにくい
まず、最近のカメラに慣れていると、K-7の手振れ補正はかなり弱いです。作例は43㎜レンズ(換算約66mm)を付けて撮りましたが、シャッタースピード50分の1くらいから怪しくなってくるので、手振れ補正にはあまり頼らずそれ以外の部分で頑張った方が良いかもしれません。
おまけに高感度も弱いので、総じて夜などの暗い場面では相当撮りにくいカメラです。
これで1/30、F3.5、ISO1250ですが、これ以上ISO上げるとノイズが厳しくなってくるので難しいです。まあ2009年発売のカメラですから、善戦と言えるのかもしれません。
・露出&ホワイトバランス
K-1Ⅱの感覚で撮っていると露出がいまいちうまくいきません。大体このくらいかなと露出補正の数字をいじっても、アンダーすぎたり明るすぎたりと結構気難しい。
あとホワイトバランスもオートを使っていると変な色が出ることが多く、
こんな色になったりします。このときは曇天にすると見た目通りの色に仕上がりました。確かにこのときは曇り空だったので、ホワイトバランスの曇天とか晴天って本当にその通りなんだなと妙に感動してしまいました。
K-1Ⅱだとあまりホワイトバランスをいじることが無かったので、普段使っているマルチパターンオートWBは優秀だったんだなと実感させられました。K-7を使う場合は細かく自分でWBをいじる必要があるかもしれません(特に薄暮時などは)。
露出やホワイトバランスなど、総じて最近のカメラがどれだけ優秀になっているか&普段自分がどれだけ適当に撮っているかということを突き付けられました。ある意味師匠のようなカメラですね。
・カスタムイメージ
これはダメな点っていうことではないかもしれませんが、PENTAXユーザー的に大事な点なので書いておきます。
K-7は2009年発売ということもあり、現行のPENTAX機と若干カスタムイメージで違う点があります。まずカスタムイメージのリバーサルフィルム・銀残し・フラットが入っていません。ただし、アップデートをすればリバーサルフィルムが追加されます。そして項目についてですが、「ほのか」の調色という項目が色相になっていますので、多少使い勝手が異なります。
ここらへんが分かった上で購入したほうがいいかと思います。
・AF
この記事の序盤ではAF意外と良いかもっていう風に書いてしまいましたが、改めて撮ってみるとやはりAFは不安定だと思います。
このVASK(VASKってなんだ)のステッカーにフォーカスが合っていたはずなんですが、拡大してみるとどことなくぼやけたような感じ。
中央のROXYにピントを合わせたのですが、拡大するとやはりぼやけており、OFF THE WALLに合っちゃってるのかと思うと別にそうでもないみたいです。
この桜の写真はわりとAF合ってる方だな・・・と思いましたが調べるとMFで撮影していました。
とはいえ、記事の冒頭に載せた青い花の写真、あれはAFで撮影していたんですよね。謎だ。
ということで、やっぱりAF精度は問題ありだがたまにAF合ってる風な写真になるということで、無限遠かMFにした方が良いということに私の中では結論付けました。ただMFも明るい状況だと見えやすいんですが、暗いと難しくなるので日中くらいしか使えないのかな、と思っているところです。
もちろん、私の持っている個体は中古で購入したものですので、すべてのK-7のAFがひどいということではないと思われますが、どうなんでしょう。
ノイズ
さて、冒頭で言ったノイズの出方ですが、正味ちょっと分かりづらかったですね。
ノイズが出ている部分の例を出します。
たしかにフィルムカメラっぽいノイズで綺麗です、が、日中のスナップとかだとあまりノイズが見えず分かりづらいですね。プリントまですると分かりやすいのかもしれません。私もちょっと追い込んで使ってみようかと思います。他のノイズが分かりやすい写真も作例編で出してみます。
ちなみにここまで載せてきたK-7の作例はすべて例のISO1250で撮っているのですが、いかがでしょうか?
今なお使えるのか?
さて、PENTAX K-7は発売から12年経った今なお使えるカメラなのでしょうか。
もちろん「使える」の定義にもよりますけど、当然すぎる結論で申し訳ないですが、結局、メインカメラとしては厳しいけど遊ぶサブカメラなら楽しいというところですね。
やはりAF関連で細かくストレスが溜まりますし、暗くなってくると普通に撮れなくなりますし、露出もなんか難しいです。特にAFですね、これによって撮影時は結構しんどくなります。
ただまあPENTAX好きであれば、持っておいて損はないかもしれません。やはり安いし見た目も良いですからね。
また、カスタムイメージ(銀残しとフラットは無いけど)や発色やハイパー操作系など、当たり前ですが今のPENTAXに通ずるものが結構色濃く出ていますので、PENTAXを触ったことがないという方にも安いしおすすめです。AF不良の場合の責任はとれませんが。。。
終わりに
ということでPENTAX K-7のざっくりレビューでした。
ここまででかなり長くなってしまったので、作例写真(というのもおこがましいですが)はもう一つ記事を作ってそちらに載せようと思います。
それにしてもK-7、カッコいいですがなかなか気難しいカメラだなという印象です。手間がかかるほど可愛いなんて言ったりもしますが、PENTAX K-7は私にとって可愛いカメラになるのか、これからも触って検証してみたいと思います。
以上
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