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法人税の下限に関する国際協定。その具体的な方法論

総論(1) の続きです。

法人税は現時点でもかなり複雑なものです。
{法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷(1+事業税率)
基本的に下記は維持すべき。
1.「大企業負担>中小企業」
2.国税オンリーでなく地方税も。
3.法人住民税的なものと、利益・活動等によるものの組み合わせ。

世界の主要国はそれぞれ小国のタックスヘイブンに自国企業が移ってしまうことを恐れています。
(「その影響は少ない」と考えることはできても「その可能性」は永遠に否定できません)

それは「企業が海外に出てゆくと雇用・社会に影響、当然経済指標にも悪影響があるからです。


なので、各国が
「大企業の手先でなく、本当に自国のための政治をやっていれば」
「産業を育成し発展しようという大国は賛成するはず」。
だって
「時間とお金をかけて産業政策で育ててきて大企業になったら、外国に逃げてしまう」ってあまりに酷い話だと思いませんか?
義理・人情・思いやり・正義 どれをとっても×でしょ?
主要国の共通課題なんです!


で設計発想)
「法人税下限」国際協定を考えるにあたり、ひとつのアイデアはこんな感じ。
協定国の法人税
=1(創業国に払う)+2(現在の国に払う)+3(創業国継続なら割引)とする。
1)創業国ありがとう税 = 創業国が課税、法人は今までの感謝の気持ちで払う。
2)現在負担かけてる税 = 現在主に活動している場所に感謝の気持ちで払う。
3)割引        = 協定国内であれば、割引を適用する。

例えば)
現在30%法人税で
ホンダが
■日本国内(協定国)に継続して本社あれば
17%(創業)+17%(現負担)-4%(割引)
=30% 全額が日本の税収

■現行17%法人税のシンガポール(協定)に本社を移したら
17%(創業)は日本税収
16%(現負担)はシンガポール税収
-4%(割引)
会社の税率=29%
(シンガポール想定:5%(創業)+16%(現負担)-4%(割引)=現行17%)
*シンガが協定国とするとー4%割引

■現行17%法人税のシンガポールが協定外で、本社を移したら
17%(創業)は日本税収
16%(現負担)はシンガポール税収
-0%(割引なし)
会社の税率=33%
*創業税17%が既にあるため、シンガポールが現行の17%の低い法人税で誘致しようという政策は維持できない。
(シンガポール想定:5%(創業)+16%(現負担)-4%(割引)=現行17%)
もちろん、ゲーム理論でタックスヘイブン的な国はいろんな対抗策・企業支援策はあるだろうけれど
やってみる価値はあると思いませんか?
協定国の割引があるので協定に入るメリットがあるのもいいね!

↓こちらのサイトとっても勉強になります
グローバル化の必然の帰結としての不平等
人口小国のタックスヘイブン化と人口大国の対処

*初稿:2018.10.15.

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