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#06 なぜ急ぐ。

伸びる新幹線を横目にトコトコ走る在来線。
ゴールの金沢まであと少し。
ここもあと何年かすれば普通列車しか走らないローカル線に変わってしまうだろう。

青々と育つ稲はもう曇り空かとため息交じり。
せっかくのびのびとしようと思ったのに。

私は鉄道の旅が好きで、乗っている時間は全く苦にならない。
ちょっとの不便と贅沢に過ごせる時間がいいのにと、急ぐ人の気が知れない。

でも、社会人になってしばらくしてから、せっかちとは異なる”とりあえず”急ぐ感覚を知った。

とにかく早めにやっておこう。進めるだけ進めておこう。
一本早い電車に乗れた。ラッキー良かった。

この感覚、自分で選択して使っているのだろうか。
誰かに急かされているんじゃなかろうか。

会社という”人”のようで人ではない、擬人化した存在になのか。
あるいは見えない何かがまくし立てているのか。

人々も生物も同じ時間を過ごしている。
でも、そんなに急いでどうする。むしろ、誰のために急いでいる?
ルールを守るのは必要なこと。ただ、ルールの無いところでまで急いでないか?

ただ、速いことが美徳になって、生きることすらも急いでいないか?
生きる時間の品質は果たして速さなのだろうか。同じく与えられている時間をいかに濃く過ごすかでは無かろうか。

濃い時間を過ごすためには、目の前の時間を大切に使おう。
利己的な人のためでなく、自分のために。
一時一時を固有名詞で濃く生きる。今の世の中、これほど贅沢なことは無いだろう。
ただ、当たり前のことなはずなのに。

時間を濃く生きる。今この時間も自分のために使おう。
結果、周りの時間も濃くなるんだから。

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『青田の時間』Photo by Taromaru

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