【元技術公務員が解説】なぜ公務員は文章力が身につくのか?
こんにちは元技術公務員ライターの和地です。
先日、「公務員が身に付くスキル」に関してこんな記事を読みました。
この記事をざっくり言うと、国家公務員の人気がなくなってきたのは、仕事がハードなわりに、身につくスキルが文章力と調整能力だけだからだ、というものです。
この記事についてどうこう言うつもりはないのですが、なぜ公務員が文章力が身につくか、自分の公務員時代を振り返って解説させていただきます。
公務員の文章への「こだわり」
公務員は文書主義の文化であり、とても文章を書く機会が多いです。
そのせいか、文章に「こだわり」を持つ職員も中にはいます。例えば「言い回し」などを含め、上司から何度も文章の修正を求められることも少なくありません。
それが直属の上司だけでなく、課長、次長、部長など上の立場の方も同じであり、さらに、それぞれが書き方の考えや感覚が違うので、A4資料1枚を作成するのに何日間も時間を要すこともめずらしくありません。
特に大変なのが議会です。答弁書の作成は、担当部署の職員が作成しますが、限られた時間、文字数で、正確かつ説明責任を果たせるような文章を作成する必要があります。
答弁書の担当職員は、いつものようにまず直属の上司に見てもらい、今度はその上の上司に、また今度はさらに上の上司に見てもらいます。
1度や2度の修正で済めばいいですが、前述のとおり、そううまくいかないのが現実です。
さらに上の上司になるほど、他部署からの答弁書も見たりするため、協議の調整に時間を要し、何時間も待つこともあります。また、議員からたくさん質問が来れば、その分だけ答弁書を作成しなければなりません。
議会中は、通常業務に加え、議会対応の業務がONされるため、深夜まで残業している部署も少なくありませんでした。国となれば、おそらく地方の比ではないと思います。
こうして公務員の文章は、多くの労力を費やされて出来上がるのです。よって、必然的に文章力が身につくわけです。
公務員の文章は正確さ重視
公務員が書いた文章は、いわゆる「公文書」。一定の表記ルールの元、書かれたものです。
そのルールはとても細かく、使用する漢字・ひらがな・言い回しなど規定されています。
文章のルールブック的なものは、民間のメディアなどにもありますが、公文書の特徴は、やはり「正確な文章」だと思います。
ルールに則った上、嘘や間違ったことを書かないのは当然として、誤解が生じたり、複数の意味に捉えられたりするような文章や、行政が「できること、できないこと」の区別をきっちり使い分けながら、正確な文章を書きます。
文章化した以上は説明責任が伴うので、将来できそうもないことや何も決まっていないようなことを、「できます、やります」というのはダメなわけです(良い悪いは別ですが)。
当然、文章なのでわかりやすくする工夫もしていますが、公文書の場合、どうしても正確さの方が重視される傾向があります。
つまり、文章力が身につくというのは、「正確さ重視の文章力」といった方がより正確かもしれません。
私も現役の時は、文章を作成する時に「言葉遊び?」と疑問を持つこともありましたが、確かに上司から文章を添削されることで、様々な視点があることを学べたと思います。
これからは時代の流れとともに、公文書も、世間一般の文章のように、わかりやすさや面白さも求められてくるかもしれませんね。
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