犬違いか人違いか

我が家の黒い犬、ナルとの散歩ばなし。

前方から女性が歩いてきて、
犬に、ナルに呼びかけます。

「あら、ゲンちゃん！」

近くに寄ってきてくれて、しゃがんで
ナルに話かけてくれてます。
「ゲンちゃんっ！今日は暖かいねー」。
たぶん私にも話しかけてくれていると思います。


しかしそもそも、この方はナルの名前だけを間違えているのか？
それとも、
ゲンちゃんと飼い主セットで間違えているのか。
つまり、私のことを、ゲンちゃんを連れている別の人だと思っているのか。

少しだけ思い当たる節はある。
ごくたまに、
うちのナルとそっくりな黒い犬を散歩させている
Vaundyのような雰囲気の人とすれ違いざまに挨拶をする。

彼はVaundyのような人なので、
パーカーを着ている。私もパーカーを着ている。

彼の犬って、もしやゲンちゃん？

そんなことが頭によぎりながら、
私は、「今日は暖かいねー」に返答をする。

「そうですねー。本当に」。

そしてナルのリードを引っ張りながらこう言った。

「じゃあ、行こうか。ゲンちゃん」