なぜテレワークと出社、0か100なのか。
緊急事態宣言が解除された。飲食店再開、休校解除と経済・社会活動が少しずつ再開に向けて動き始めている。民間企業についても同様に至るところで出社解禁か在宅継続かのニュースがあふれ、それに関する様々な議論が繰り広げられている。
自身のツイッターのタイムラインを見ていても出社するか否かの話で持ちきりだ。しかしはっきり言って程度が低い。
-働き方の選び方はその時々でパフォーマンスが最大化できるかどうかで決まる。
私の勤める会社では、一連のコロナ騒動のなかで原則在宅令が発令されたのが2月、在宅必須令が発令されたのは3月からだった。しかし実際はそもそもが在宅勤務がスタンダードな働き方として認められており、社員にその日の働き方は一任されている。パフォーマンスを最大化すること、という条件付きで、である。
おそらく世の中の企業や働く人々は出社と在宅の本質的な違いをあまりよくわかっていない。もちろんそれも無理のない話であり、今回はコロナという強制力を持った外部要因によって在宅という手段を取らざるを得なかっただけであり、ある種一時的なものだと考えてしまっているからだ。そして少し事態が落ち着いた今、改めてどこで(どっちで)働くかが議論になっている。
-使い分けという選択肢はないのか。
まず根本的に考えを改めなくてはならない。会社は社員をオフィスで物理的に働かせるために事業を営んでいるわけではない。収益を上げるために事業を営み、そのために社員を雇っているはずだ。社員をオフィスに収容しておくことは本当に収益化につながるのだろうか?これは在宅でも同じである。在宅勤務を促せば、収益化できるのだろうか?
-個人の活動の内容によってそれぞれ最適な空間がある。
在宅勤務に疲れた人たちは、はやく通常のオフィス勤務に戻って雑談できるような空間で働きたい、と言うが、集中してプランを考えたい時、資料を作っているときに雑談をふっかけてこられるとウザくないだろうか?
分けて考えると活動の内容は例えば3つある。
1. 集中
2. コラボレーション
3. テクノロジー/プロダクト
1は上述の通り、集中して資料作りなどの作業をするケースである。これは家やカフェが適している(子どもが家にいなければ、かもしれないが)。
2は誰かと会話をすることでアイデアを膨らませたり、イノベーションを生むケースである。Web会議でできるじゃないかというが、これこそ雑談が必要なケースだ。未知の情報との邂逅には人が自然に集まる場所が必要だ。
3は例えばハードを提供するIT企業やアパレルなどのように現物を触ったり動作させたりして検証するような必要があるケースである。これは会社でないと提供できない。
このように分解するとそれぞれの活動に合った環境が必要であることは明白である。にもかかわらず多くの人は固定席のパーテーションで区切られたデスクですべての仕事をこなそうとする、もしくはマネジメントの観点などとほざいてそこに居させようとしていては、生産性なんて上がるはずもない。そんなことのために痛勤をするなどもってのほかである。
今オフィスの考え方の中にABWというものがある。Activity Based Workingの略であり、活動内容に合わせたオフィス作りが必要という意味である。加えて企業としては在宅やコワーキングスペース、カフェ、学校などを含めたあらゆる場所での働き方を提供する必要がある。
言い換えれば、社員に対しては成果へのコミットを要求する代わりに、会社はそれを支えるためのあらゆる働き方を提供すべきだ。場所だけではない、ツールもデバイスも込みである。通話しかできないPHSを支給する理由なんてひとつもない。ハンコリレーなんて言語道断だ。
これからは社員と会社の関係はよりフラットになっていく。社員はどんどん会社に依存しなくなっていく。
出社か在宅か、0か100かしか考えられない企業はもう先頭集団に10周くらい遅れをとることになるだろう。
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