No.051 ミステリクイズ


問題文

俺たちは今、中学の合宿で圏外の山奥にいる。
トントントン
ドアがノックされ、開けるとAが立っていた。
中に招き、とりあえず椅子に座らせる。

A「今日、部屋に戻ったら玄関にこんな手紙が。私、怖くて」

俺はAから手紙を受け取る。

” A へ
 あなたの秘密を知っています。
 合宿最終日が楽しみですね 
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俺「これは……ラテン語か…」
A「この文章にどんな意味があるか、わかる?」
俺「この”秘密”に心当たりは?」
A「全然心当たりない」
俺「この件、俺以外の誰かには?」
A「万一、この文章に”秘密”が書いてあるとして、解読されたらと思うと……
  友達にも相談できなくて……君しか頼れない」
俺「一つ、確認したいことがあるんだが……」

その後、調べによってA以外にも他クラスの女子、B、C、Dも同様の手紙を受け取ったことが判明した(ラテン語の文章も同じ)。
A、B、C、Dは互いに面識も共通点もない。

さて、この怪文書騒動の真相は何でしょうか?




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ヒント

A,B,C,Dに送られた手紙はすべて同じ文章であることから、少なくとも個人的な秘密は書かれていないことが分かります。
これより、もしラテン語の文章に秘密の暴露があるとすれば、集団での出来事による秘密となります。
しかしA、B、C、Dは互いに面識も共通点もないです。
このことから、およそラテン語の文章には秘密など書かれていないことが分かります。
ではこの手紙は何の目的に書かれたのでしょうか?


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解説

この手紙は受取人が信頼している人物を炙り出すために書かれました。

A、B、C、Dに送られた手紙はすべて同じ文章であることから、少なくとも個人的な秘密は書かれていないことが分かります。
これより、もしラテン語の文章に秘密の暴露があるとすれば、集団での出来事による秘密となります。
しかしA、B、C、Dは互いに面識も共通点もないです。
このことから、およそラテン語の文章には秘密など書かれていないことが分かります。

またAも秘密に心当たりはないと話しており、この手紙が秘密の暴露のために書かれた可能性は低いと思われます。

では何が目的か?

この手紙を受け取ったAの行動を想像してみましょう。
Aは手紙を読んで怖くなりました。
圏外のため家族には相談できませんし、電話やLINEも使えません。
相談するには合宿所にいる人間に直接会って相談するしかありません
そしてAは友達、教員に相談せず俺に相談してきました。

友達に相談しなかったのは友達に相談しラテン語の文章が解読された場合、友達に秘密がばれることを恐れたため
でした
(万一、そこに根の葉もないウソが書かれていたとしても、それが嘘だと証明するのは難しく、友達にしてみればむしろ言い訳しているように聞こえるため、信頼を失う可能性が高いです。友達以外に教員に相談しなかったのも同じ理由です)。

以上のことより、Aは友達、教員より信頼のおける俺に相談したのでした。
つまりこの手紙により差出人はAが信頼している人物として俺を炙り出したのでした。

犯人の狙いはA、B、C、Dの誰かです(仮にAがターゲットとします)。
犯人はAに友人よりも信頼できる存在がいるのか知りたかった
(例えば犯人はAのことが好きでAに恋人がいるのか知りたかったとか、あるいはAが自分のことを信頼していることを確認したかったとか)。

この犯行の巧妙なところは、手紙を置くところを見られたり、尾行していることがバレたりしなければ、犯人にはたどり着けない点です(犯人につながる手がかりが少なすぎます)。
また仮にラテン語の文章が秘密と関係ないと気が付かれたり、Aが誰にも相談しなかったとしても、また次の機会を狙えばいいだけです(殺人や強盗などとは違い、軽微な事件のためやり直しが何回もできる。プロバビリティの犯罪に似ている)。

ちなみに手紙のラテン語の文章は”lorem ipsum”の最も一般的な文章から一部抜粋した文でした。


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