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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その11 3. BIMのLOD、LOI、LOG、LORを考える


3. BIMのLOD、LOI、LOG、LORを考える

3.1 情報サイクル

情報サイクルとは、情報を収集し、評価し、分析し、結果を元の情報へ反映し、また同じ経路をたどることをいう。

情報は「あることがらについての知らせ」であり、これを使って「判断を下したり行動を起こしたりするために必要な知識」と言われる。前者をインフォメーション、後者をインテリジェンスという。FMで言うとBIMモデル(インフォメーション)から情報を収集し、適当に分類し、長期修繕計画の計算を行い、ライフサイクルコストなどを計算する。また、分類に従い点検をし、劣化モデルで余寿命を計算し、BIMモデルに反映し同じ経路をたどって結果を算定する。

BIMは建物を情報化する道具で、建物の大きさ、広さ、機械の場所、床壁天井の部材など構成要素としている。建物が情報になればグルーピングしコストや交換時期などを特定できる。あるいは他のグループと比較してメリット・デメリットを指摘することができる。さらにAI(人工知能)を使って状態の予測をすることができる。

BIM以前では、建物を巡回し、点検し、建物状態を記録していた。記録に従い修繕・保守を行い建物の現状を維持していた。維持管理は人手による活動であり管理は建物を構成する主要部位機械の範囲でした行われない。

情報サイクルはリアル情報とモデル情報に分けられる。

図では上側がリアルな情報領域、下側がモデル情報です。リアル情報は施工BIMのオブジェクトと実際の建物の構成の属性情報は同じであり一対一の対応となっている。

一方、モデル情報のFMBIMのオブジェクトには、一つの要素に修繕、清掃、警備、点検などのFM活動に係る情報がリンクしている。情報サイクルはこの図で言うと、建物から点検、環境、劣化、状態などの情報を収集し、それらを評価し分析して経営者へ報告する。その報告に従い、修繕、更新工事をし、あるいは模様替えの計画を提案しそれぞれのBIMへ戻す。これが、FMの「情報サイクル」という。

たとえば、点検をし、劣化状態を収集し、対象の劣化の統計モデルで劣化推定を行う。推定値と建物の統計値を比較し、更新時期の判定を行う。これを長期修繕計画の耐用年数に反映しコスト計画を修正する。

収集した情報は信頼性、正確度、適切性などの諸条件から情報を評価する。この評価はBIMのオブジェクトの情報量により評価の信頼性が変化する。情報の評価はLOD(Level of Development)、LOI(Level of Information)、LOG(Level of Geometry)、LOR(Level of Reliability)などの値で評価される。モデル情報はリアル情報をどれ程再現しているか評価しなければならない。


図 28 リアル情報とモデル情報

3.2 BIM情報の詳細度

一般的に、BIMの情報量を分類するメカニズムには、おもにLOD、LOI、LOGの3つの項目がある。これら3項目の内容は、FM活動とFM情報の関係によって決まる。FM活動、BIM、施設状況・評価の関係を下図に示す。BIMオブジェクトには、FM活動に使われる情報が記述されており、これにより、FMサービスの内容がLODで提供される情報で決まる。 LODは、グラフィック情報と文字情報に分類できる。文字情報はLOIに分割され、グラフィック情報はLOGに分割される。


図 29 BIMとFM活動の関係

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