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「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その8 6. 環境対策(カーボンゼロシティ、ゼロ・エミッション・ビル(ZEB)、サステナビリティ、TCFD)で求められるデジタルデータ


6. 環境対策(カーボンゼロシティ、ゼロ・エミッション・ビル(ZEB)、サステナビリティ、TCFD)で求められるデジタルデータ

環境対策において、⼤きなCO2排出量となるビルや住宅。これらの排出量算定においても、多くの建物デジタルデータが⽤いられている。

本章では、カーボンゼロシティ、ZEB、TCFDなどについて、その施策の概要といかに建物のデジタルデータがリンクされているのかについて、述べておきたい。


6.1  カーボンゼロシティ

地球温暖化対策が進むなかで、環境対策の⼤きな⽬⽟は、カーボンゼロシティの構築を政府が進めているが、そのためには、都市における CO2 排出状況を正確に把握し、対応を検討する必要がある。グーグルEIE(Environmental Insights Explorer)では、世界の⼤都市におけるCO2排出量を建物と⾃動⾞に絞ってシミュレーションし、その対策を都市として考えるプラットフォームを提供しているが、そこで CO2 排出量の推定に使っているのが、建物のデジタルデータである。建物を事業⽤途と住宅⽤途に区分し、それぞれの CO2 排出量を算定している。

2020年4⽉時点で、2050年に温室効果ガスの排出量実質ゼロを⽬指す「ゼロカーボンシティ」を表明した地⽅⾃治体が89(17都道府県、39市、1特別区、24町、8村)となったと発表した。これら⾃治体の⼈⼝は合計約6255万⼈、GDPは約306兆円となり、⽇本の総⼈⼝の過半数にもなる。

京都市は、EIEを採⽤するとともに、2019年のIPCC第49回総会京都市開催記念シンポジウム「脱炭素社会の実現に向けて〜世界の動向と京都の挑戦〜」のなかで、世界の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑えるべく,2050年ごろまでに⼆酸化炭素排出量の「正味ゼロ」に向けて,あらゆる⽅策を追求し具体的な⾏動を進めていくことを決意し,世界に訴える「1.5℃を⽬指す京都アピール」を発表した。

京都府でも、2019 年10⽉に、京都府総合計画「京都夢実現プラン」(2019 年 10 ⽉策定)で「温室効果ガス排出実質ゼロへの挑戦」を掲げるとともに、現在、京都府地球温暖化対策条例および京都府地球温暖化対策推進計画の⾒直しに向けた検討を進めている。

⼀⽅、CO2 排出量のうち、業務部⾨は全体の16%を占めているが、そのなかでも、事務所ビル、卸⼩売業の排出割合が業務部⾨の約2割を占め、⼤きな CO2排出量となっている。特に、昨今の床⾯積の増加は、CO2排出の増加につながっている。実に、2005 年度⽐で CO2排出量が 40%以上増加している。

それゆえ、いかに、オフィスビル等の CO2排出を削減するかは、地球温暖化防⽌に向けて重要な課題となっている。

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