修士まで出たけど研究職に就いたら後悔して転職した話 ー高い木に登った猫ー

理系の花形の仕事といえば、研究職ではないでしょうか。

高校の文理選択から始まって、熾烈な受験戦争。

大学入学後も研究室配属を見据えて、勉強・研究生活に打ち込みました。

それもこれも、いつか研究職で食べていくことを夢見て…

私は運良く研究職に就職することができて、医薬品の開発に従事しました。

入社2−3年ほどから自分が一生研究して食べていくことに関して、違和感を感じはじめました。

結局、ずるずると転職を先延ばし、10年ほどその会社で働いてしまいましたが、今思うともっと早く辞めてもよかったと感じるのです。

一生、研究室の中で終わることをイメージできるか

研究職のキャリア開発は案外難しいと思っています。

ヒラの研究職からスタートして、その後に主任研究員。

管理職に昇格すれば、部下なしのマネジャーになりますが、実態は主任研究員+会社の雑用係。

さらに昇格すれば部長クラスになり、研究室長になることもあるでしょうか。

ただ、それも同じ「研究職」のレールの上でのみでしか動いていません。

そう、研究職は基本的に一生研究職であることが普通なのです。

確かに「技術営業に回りたい」「特許関連をやりたい」「経営に関わりたい」と思っていれば、一部の人はキャリアチェンジをすることは可能かも知れません。

しかし、それは一部の人、さらに言えば異動させてもらえるほど優秀な人である必要があります。

もしあなたが研究職から異動したくなった場合、「研究で結果を出す」というジレンマに挟まれるのです。

では、大多数の人は研究室内でキャリアを終えることになります。

毎日、同じ空間・人間関係で60ー70歳まで仕事することがイメージ出来るか

もし出来ないのであれば、一度立ち止まって考える必要あります。

寝食を忘れて研究できるか

裁量労働制を敷いている会社もある通り、研究職の仕事の範囲は曖昧です。

普段の研究に割く時間に加えて、論文を読む時間、闇実験*をする時間、ディスカッションする時間などは業務時間に入っているのか微妙なところです。

*闇実験:新しい研究テーマを見つけるために行う、非公式の実験。

例えば、会社で論文をコピーして帰宅してから読む、おそらくこれは業務時間外。論文は無数に存在し、テーマを見つけようとして論文を読むのであれば、いくら時間があっても足りません。

一方で、研究が大好きな同僚は24時間、研究のことを考えています。

そこから頭ひとつ出るためには、プライベートを削る覚悟が必要になってきます。

新しい生む苦しみとはそういうことです。

研究は基本上手くいかないし、運も大きい

研究は基本上手くいかないです。

どんなに熟考して、仮説を立てても、次の日には無きものになっているでしょう。

その屍を次なる仮説の糧にして、毎日挑戦しなくてはいけません。

もちろん、筋のいい研究者はいますし、そういう人は人の何倍もの成果を挙げることもあります。

でも、やはり私みたいな凡人には時間と運を使うしかなさそうです。

それに耐えることができるか、考えてみる必要がありそうです。

まとめ ー高い木に登った猫ー 

以上、研究職に就く上で、チャレンジングになるポイントでした。

私は正直、研究職という仕事は向いていなかったと感じていますし、10年もの時間を研究に当てるよりは、早々に転職してしまった方が良かったと思っています。

研究者はよく「高い木に登った猫」に喩えられます。

学生時代から勉強をしてきて、周りからは褒められ・おだてられながら、高校・大学・大学院・就職としていきます。

調子に乗った猫がどんどん高いところに登っていくように、気づいたら随分と高いところまで登ってしまったことに気づきます。

でも、高すぎて、もう降りるのが怖くなってしまいます。

でも降りていいのです

猫は高いところから降りても怪我しないように、そこまで頑張ったあなたならどこでもやっていけますよ。

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