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”意味がある”に価値がある  -販売員の価値-

先日、山口周さんの『ニュータイプ ~これからの時代に求められる人材になるためには~』をオンライン受講し、大切なことを改めて考えるきっかけとなりました。

正解が溢れる世の中

印象に残ったのは、今の時代便利さとか機能(いわゆる課題解決に対する正解)にはさほど価値はなく、意味があることに価値があるということ。

もちろん当たり前のことだけど、具体的に聴くと改めてなるほどなと感じることが多くあった。

代表的な例で言うと、高度成長期の産物「冷蔵庫」「洗濯機」「車」など。

「冷蔵庫」は食料を長く保管できるようにし、「洗濯機」は、冬の寒い時期に手洗いのしんどさを解決し、「車」は行動の範囲を安全に広げることを解決した。

今までの時代は機能面を上げることに価値があったので、どんどん機能的価値を上げた結果、機能面での個体差は少なくなり、価格競争になり、消費者である私たちは、便利を低価格で手に入れられるようになった。

「課題」に対する「正解」は、定量データで分析され、ある程度の情報を集めれば、どこの企業も「正解」を出すことができる。
誰からみても正解なことに全社、全世界が取り組むことにより、機能価値は向上し、価格は下がり、儲からないものとなっている。

昭和35(1960)年に発売された85リットルの電気冷蔵庫のお値段は6万2000円。 大卒の初任給の平均が1万6115円の時代なので、現在の感覚としては50万円以上したということ??

50年前大卒初任給の半年分でしか買えなかった冷蔵庫は、20年前私が一人暮らしをする頃には誰の家にもあるものとなり、今はアルバイトを60時間ほどすれば(@1,000×60H)冷蔵庫に洗濯機と電子レンジと炊飯ジャーまで購入できる時代だ。

決して悲観する話ではなく、いい時代なのだけれど。


めんどくさいから愛おしい

便利を安価で変える時代に、CDの売り上げを昨年レコードが上回った。

便利で機能的なものは安く手に入れたいが、「不便でめんどくさいけれど愛おしいものには惜しみなく高いお金を払う」というのが最近の流れ。

問題解決の正解が明確で溢れているいま、世の中は「意味があるか」にお金が集まっている。

エアコンよりも暖炉の方が価格が高いだし、最新のものよりもビンテージの方が価値がある。

少し前に読んだ本に拡大から縮充の時代へという文章が心に残っている。
縮充とは文化的成熟のこと。

いま、時代は成長・拡張から、縮小ではなく、縮充に向かっている。


小売店はめんどくさいけど愛おしいもの

これから社会はますます、インターネットを介した商品との出会いが主流になるだろう。
販売員だった私も、店舗で購入することは極めて少なくなっている。

けれども、店舗が必要ないのか?というとそれは違って、店舗でしか体験できない価値がある。

販売員さんとの会話はストレスがあることもあるけれど、思いがけない感動や友人よりも本音で話せる癒しの存在になることもある。

試着は面倒だけれど、プロに接客してもらって初めて気づく新しいスタイリング、新しい自分と出会えることもある。

わざわざ店舗で買うのは荷物になるけれど、それでも今日家に連れて帰りたい衝動は、1つ荷物が増えたの足取りは軽い。

昔よく購入していた店舗に足を踏み入れて、懐かしい記憶が蘇ったり。

店舗での買い物はめんどくさい。めんどくさいけど意味がある。


機能的価値より情緒的(意味的)価値

私も消費者の1人として、店舗で買い物をするのだけれど、少し残念なのは「機能的価値」の話だけをする販売員さんが多いこと。

色とかサイズとか素材とか。

それは決して間違えていなくて、10年くらい前まではきっと販売員としてそれは店舗側しか持っていなかった情報だから開示することに価値はあったのだけれど。

今は、その情報の多くをお客様は知っている。

そうなるとやはり大切なのは、情緒的(意味的)価値。
情緒的価値とは「お客様の感情に働きかける価値

感情が動くのは、一般の話ではなく、「私だけの話」をしてくれるから。

もちろん、商品の情報がいらないというわけではないので『商品が〜だから、あなたにとっては〜〜』という話が聞きたい。

自粛の続くこの時代、情報収集する時間は増えているし、テレワークなどで「私」としての会話が少なくなっているからこそ、個と個の話をすることがもっとも彩りのある時間になるはず。

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売り上げのこと、本部はいろいろ言ってくるかもしれないけれど。
店舗の販売員さんを見ていると、すこし疲れている顔が多いのかな?と感じたりも。

私は、コロナ禍になってから店舗で働いていないので、皆さんのことはただただ尊敬するばかりなのですが、

店舗で働く方達の本当の価値はとてつもなく大きなもの。
なので、まずは販売員さんが自分らしく、たとえ少しくらいお客様のニーズにマッチ提案をしてしまったとしても、当たり障りのないことを言ってなんの心のふれがないよりも、良かれと思ってどんどん自分らしさでお客様の時間を楽しんでいただけたらと思っています。

少なくとも私は、当たり障りない商品の説明をされるよりも、私が素敵になるために努めてくれる販売員さんから購入したいと思います。

みなさんはいかがですか?



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