フォーク神様【毎週ショートショートnote】(403文字)
九回裏、二死満塁。一打サヨナラの場面で、キャッチャーのサインに俺は何度も首を振った。
「ここは内角ストレートだって」
「嘘だ、外角へカーブだろ」
ヤジの声が聞こえるようだ。どうしたらいいんだ。神様、頼む。また負けたくない。焦燥感から無意識に天を仰いだ。すると雲の切れ目から、フォークの握り方がひょっこり覗いた。
フォークか。
俺は神様のお告げを信じて、フォークボールの握りに力を込めた。そして私が投げた渾身のフォークボールは、バッターの一振りで軽々とスタンドへ運ばれてしま