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身近でお手軽!手っ取り早くわかりやすい!最強の自己肯定感爆上げ法!

それが、皆さんご存知「恋愛」である。

「No.1にならなくても良い もともと特別なOnly one」

あの流行歌が毎日テレビで流された2003年、私は10歳だった。当時はゆとり教育の真っ只中で、誰かと競わずとも、なんびとも唯一無二の尊い存在だとそれはそれは頻繁に聞かされたものだ。

ナンバーワンの栄光の味を知ることはとても難しい。
何かの大会で優勝すること。周りを凌駕する大作を創り上げること…
それを味わうには、誰かに何かを認定してもらう、もしくは誰かを負かす必要性を孕んでいるからだ。ひとりきりでナンバーワンになることはできない。

「世界に一つだけの花」ー 誰もが生まれながらに特別なのだと強調される度に、後天的に手に入れるナンバーワンと自分の間にある計り知れない距離を私は感じてしまう。

遠い夢を追いかけ絶望するよりも、このありふれた日常こそオンリーワンかつナンバーワンなのだと思い込み、自分の限界を認識していこうじゃないかと強制に近い形で提案されているような気もするのは、悲観的すぎるだろうか。

そして、人は見るなと言われたものを見たくなるし、逃げられると追いかけたくなるものだ。
私たちが罪悪感なく諦められるよう教育されたナンバーワン。諦めた方が幸せな程、遠い遠いナンバーワン。それは一体、どれほど甘い味がするのだろう。

ナンバーワンの入手方法

そんな中、恋愛は最も身近に、ナンバーワンを手にすることができる方法である。

何者でもないものが急に、誰もが知る"完璧で究極のアイドル"にはなれない。しかし、君を愛していると言われることは、スーパーアイドルになることと比較すると非現実的なことではない。

恋人や結婚相手などのパートナーがいると言うことは、一般的には自分が相手にとって唯一無二の存在、最も大切なひとの1人であることを意味する。片思いされるのも然りだ。
そしてその愛されている事実は確かに、ナンバーワンかつオンリーワンの称号だ。

ここで言う「愛され」は、恋愛文脈でのパートナーの話。
「愛され」って中毒性がある。好きな人に思いが届いたら、なんか世界一になった気がする。逆に失ったりなかなか手が届かなかったりすると、世界一不幸な気がする。それくらいの魔力だ。家族愛や友情では得られない性欲が絡みつく話だから、ドーパミンやらの生物学的な作用もあるだろう。

さらに「愛され」は、何かのチャンピオンになることに比べればずっと、再現性がある。過去にしがみつかずに、愛の供給源を変えればね。恋愛対象として見てくれる人間が周りにいれば成り立つ、かなりインスタントな自己実現だ。

お詫びに近い本音

この話にオチや教訓なんてない。だって恋愛に悩んでヤケになってるだけだから。自分を一番に思ってくれていた男の気が変わってしまったことに絶望している。ナンバーワンでオンリーワンだったのに、その座を降りなきゃいけないくらいにダメだったんだ私。

このnoteは恋に病み、LINEのアイコンを真っ黒にしたり、ストーリーに小〜さい文字で悲しみを記したり、過激さに差はあるがリストカットの写真をアップロードしたり…そんな、世間に一蹴されてきたありきたりな劣情ないしは自己陶酔と同じだ。なけなしのプライドで、「もぅマヂ無理。。。」に多少のお飾りを添えて表現しているだけである。
なんとか、恋愛以外の、自分自身の力で自信を取り戻すために。

オンリーワンが諦められない私は、きっとこうして半ばヤケクソで自分の傷をなんとかコンテンツに昇華しようとしたり、また訪れる恋愛に寄りかかったり、ある種の自傷行為みたいなものを繰り返していくのかもしれない。

きっと私をナンバーワンにしてくれるひとって、他にもいる。

それでも、私から見えているあなたって、1人しかいないのだ。

数ヶ月もしたら、他の男にそう言ってんのかもしれないけどね。

あーあ。

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追記 2024.2.23

黒歴史を見返す。歴史、と言っても、ぶっちゃけるとこれは2022年の文章なので、たった一年ちょい前のことだ。

数ヶ月もしたら、他の男にあなたしかいないと言ってんのかもしれないというのは、紛れもない事実だった。 

この記事を非公開で書き殴ってすぐ、私はすんなり恋をして、そのまま結婚までしてしまったのだった。
あんなに病んでいたのに、愛の供給源の鞍替えはあまりにもスピーディだった。

やっぱりこの話に大したオチや教訓なんてないけれど、心が多少健康になって、わかったことがある。
「愛され」を武器にし続けるのはしんどい。他人から得る養分だけで存続する花畑はない気がする。恋愛と自己実現を混同すると、きっといつか痛い目に遭う。
こすり尽くされた表現だが、他人軸で生きるのはやめよう!というお節介は信じたほうが多分得だ。

ただ、ここで重要なのは、筆者は当時「恋愛以外の自分自身の力で自信を取り戻す」などと供述していたのに、
結局私のいまの幸せの大半は夫からもらう愛から形成されているということだ。ナンバーワンでオンリーワンにしてくれる、愛。

夫の出張中に1人の時間ができ、久々にnoteにアクセスしてみたところ、下書きにこの記事を見つけて思い出した。
この血濡れたnoteをまる一年すっかり忘れ、のんびり奥さんライフを楽しんでいた自分に気付き、恋愛という自己肯定感爆上げ法の威力を改めて知ることになったのだった。

世界一を自覚した怖い夜だった。

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