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雪女だった日

 二人の身体が重なり溶けていく。
 燃え上がる心と身体。
 白い吐息が霧のように。
 暖かいのに冷たい。冷たいのに暖かい。
 涙がこぼれてきえる。
 もうどうしようもなくて、ぐちゃぐちゃなまま唇をかわした。
 熱が行き交いくらくらとする頭と体。燃え上がりながら、どちらが先に消えてしまうのだろうか。
 二人一緒ならいいのに。
 働かない頭でそんなことを考えた。
 そして考えることをやめて、私は雪女になった。

 明くる朝目を覚ますと、濡れた布団に私一人。
 思いの外するりと理解が追い付き、悲しみが暴れだすことはなかった。
 冷たさのなかに香る暖かさに視界がぼやけ、数度こぼれ落ちたものが消えていく。
 私だけが残っても意味がないのに。
 期待したのが間違いだったのだろうか。私が手を伸ばさなければ、なにもおきはしなかった。
 まだ空は暗く、窓の先には冷気が充満している。
 立ち上がる気にはなれなかった。
 どうしようもなくなるまで、もうすこしだけこうしていたい。
 逃げ出さないように、体を抱き締めた。
 体の中で揺れる熱はこぼれ落ちることはなくとも、確かにさざ波をおこしている。
 ぼおっとする頭と体に今だけは救われたような気持ちになった。

 
 

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