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とにかくずっと不穏[LAMB]観た

※ネタバレ少しだけ


[あらすじ]
夫婦で牧場やって羊を育ててたら、羊から”羊じゃないもの”が生まれたもんで「じゃあ、我が子として育てようねぇ」つって幸せに過ごしてたらなんか色々起きる


「子供のいない夫婦の元へ急に赤ちゃんが来たから、そのまま育ててみた」っていう、おとぎ話でよくあるスタートなんだけど、とにかくずっと不穏。

アイスランド、スウェーデン、ポーランドの合作らしいんだけど、あちらの人たちってこんなに静かな方たちが多いのかしら。
明らかにヤバい生き物を見ても一切叫ばないのね。
夫婦も、家に来たおじさんも「え…」くらいの驚きで、無言のまま理解しようとするのすごい。

まあ、桃から赤ちゃんも、竹から赤ちゃんも、本当に出てきたなら「あら、おじいさん赤ん坊ですよ」「ありがたいねぇ」「育てようねぇ」とはならんよね。ひとしきり混乱したあと「ちょ…とこれ…どうする?」「いや…赤ちゃんだからとりあえず世話しないと…」から始まるよね。
とりあえずお世話してるうちに可愛くなってしまうのかもしれない。

羊から生まれたヤバい生き物は「アダ」と名付けられるんだけど、「アダ」って聞くと日本人は「あの時のあれがアダ(仇)になって…」の「あだ」を思い浮かべる人も多いと思う。
羊を育てながら普通に静かに暮らしてきた夫婦は、正にアレが生まれたことと、それを育ててしまったことが仇となってあんなことになってしまう。
そこら辺の言葉の意味と名前とのリンクも面白かった。

この映画は人間よりも動物が沢山出てくるんだけど、出てくる動物たちがみんな人間にすごくなついてる感じが良かった。
羊も人が来たら「あ、どうも。ご飯ですか」みたいな顔するし、猫は丸ん丸んだし、牧羊犬は賢くて可愛くて人間大好きだし。

見終わった感想としては、「あ、そっち側のお話なんだ」って感じ。
大きなテーマとして「命」てのがあって、特に「家畜(動物)の命と人間の命」というのを見せてきてたけど、ラストに向けては「人間には太刀打ちできない大きな力」というものをアイスランドの広大な自然と重ねて見せてくる。
で、結果「なんか、これから大変だと思うけど頑張ってください」みたいな気持ちになって終わる。
あと「ミスト」観たときと同じくらい「そのものの姿」が出てくるタイプのやつだった。

2023年最初に観た映画がこれになったんだけど、良かったんだろうか。

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