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4DFF学会備忘録

10/10に開催された4DFFカンファレンス。

研究協力している案件の抄録発表が行われるとのことで一緒に参加。
そのほとんどが3Dプリンタに関する演題発表や取組みについて。
3Dプリンタ初心者の私にとっては初見の情報、あるいは3Dプリンタそのものについての知見が大きく広がる演題が豊富で、内容も濃くて、とても充実した一日。
以下、演題内容で面白いな、と感じたものや感想。

基調講演『手とTEC』

ISSAI MIYAKE所属デザイナーによる基調講演。
ブランドで展開している新シリーズ『DOUGH DOUGH』

たかがファッションという勿れ。
ついこの間アナ・ウィンターの『ファッションが教えてくれること』を観たのもあって、変幻自在の帽子に未来を感じる。
曰く、

●デザイナーの仕事がデザインだけではなくなる。
●世の中の価値が変わってきている。
●形状記憶で「どうにでもデザインできる」ファッションにおいては、デザインの在り方そのものへの投げかけになってくるのではないか。
ファッション(デザイン)を着こなすのではなく、ファッション(デザイン)がコミュニケーションになる可能性。

素敵。特に、デザインのコミュニケーションっていう概念に変化していくなんて、素敵。
もちろん今までもファッションアイコンを通じてそういう風潮はあったのだろうけど、それは固定のデザインありきのもので。
この素材はYouTubeやInstagramが情報発信やマーケティングの在り方を変えてしまったように、ファッションの在り方を変えるものなんだろうなって。

3Dプリント技術がもたらす新しい食品

なんと、食品を3Dプリンタで作れちゃう。
そうなのか、『2020年、Tokyo』っていう昔のSF系のモノローグになりそうな時代を今まさに生きているんやな…っていう驚き。
つまり、データを作って、出力時に柔らかさを事前設定することができるから、

●介護食、嚥下食を3Dプリンタで生成

っていう魔改造飯が作れてしまう。
しかも、てっきり構想段階なのかと思いきや、実用化されていた。

すごいね北欧…

●3Dプリンタを通して栄養指導レシピなどがクラウド管理できるようになる未来

あぁ、未来感。

看護×Fab 臨床ニーズに即応するものづくりと新しいケア

FabNurseプロジェクト、ご存知ですか?

慶応義塾大学の宮川先生による講演。

●病気があろうがなかろうが、その人らしい生活を送るための支援をすること、が基盤になっていく。『生活』が基盤。

私たち医療職は、ある意味「治療すること」と「よりよく生きること」の両立に悩んで、狭間で葛藤し続ける生き物だと思う。
主語は誰なのか。
目的は何か。
いつだって正解はなくて、でも問い続けているんだろうなぁと。
医は仁か、それとも科学か。

今回演題協力したテーマもそうなのだけれど、今、医療業界ではFab laboが熱い、と思っている。
というわけでニーズと技術が出会う場「Super fit Lab」が紹介されていたりだとかも。

だけど、命を扱う現場で新しい技術を取り入れていくのであれば、そのための指針も構築していく必要があるよね。
ということで、

●モノづくりを通じて実現される「新しいケア」としての指針
 ①ケアの一部として考えた時に、安全性・有効性を評価する
 ②ケアに埋め込む、隣接させる「サービス」としてデザインする

この感覚を大前提として持とうね、という。
そうしていろんな知見を集めて、収集していく過程で、

●医療×エンジニアで協業していくときに、お互いの共通言語を発見して、その共通言語で協業していく

要は多職種連携だよね、これもまた。

個人的展望

たとえば『DOUGH DOUGH』を利用した帽子。
脱毛や抜毛に悩む方にとっての医療用ウィッグのような立ち位置で使う選択肢、それも「好みのデザインを選ぶ」のではなく、「好みのデザインにする」っていうところからスタートできる。
そんな未来を見せてくれたり。
たとえば3Dプリンタ製の食品。
既存の食品と掛け合わせることでよりアートでインスタ映えするビュッフェが楽しめたりする可能性があったり。
新しい技術だからこそ、なんにでもなれる可能性があって、ガイドラインだって手探りの中自分たちで作っていける。
素敵ね。

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