Dr.さいころのメモ帳

とある地方で働く救急医です。ボードゲームをよくします。 日々の診療でのCQをもとに書い…

Dr.さいころのメモ帳

とある地方で働く救急医です。ボードゲームをよくします。 日々の診療でのCQをもとに書いていきます。 時々、趣味の話をします。

最近の記事

私が救急を目指した理由

はじめに 早くもGWになり、時の流れの速さを感じるこの頃です。 今回は趣向を変えて自分が今の科を志望した理由を書いていこうと思います。 医学部に進むべきか 私の高校は県内でも医学部進学の多い高校でした。高校一年生のころは体感で1/4が医学部志望という環境にいました。 小さい時から人の役に立てれば何でも良いと考えていました。当初は生物(特に有剣類)と有機化学が好きだったので、材料科学の分野に進みたいと思っていました。 医学部自体も選択肢にはありましたが、医療を行うことの

    • 異物誤飲の治療戦略

      はじめに 救急外来で働いていると、異物誤飲の症例を何度か経験します。 「子供がおもちゃや電池を飲んでしまった」という主訴で受診されることが多いです。 飲んでしまったものによって対処が異なるため、詳細な問診が必要です。 小児では4割は飲んだときの状況を目撃していないといわれます(Am Fam Physician. 2005 Jul 15;72(2):287-91.)。 迅速に内視鏡での摘出が必要なものもあり、内科医との連携が重要です。 今回は異物誤飲の際の対応をまとめます。

      • 一次救命処置(BLS:Basic Life Support)

        はじめに 皆様は実際に蘇生の現場に遭遇したことはあるでしょうか? 職場や自動車学校などで講習を受けた方も多いと思います。医療従事者では新年度の春先に講習会を行うところが多いです。 心臓が原因となる心停止は令和4年度で約2万8000人であり、そのうち市民による心肺蘇生が行われたのは1万7000人ほどです。AEDを使用した傷病者数はより少なく1300人でした(総務省「令和5年版 救急・救助の現況」より)。 市民による心肺蘇生は傷病者の救命率に寄与します。施行しなかった場合の1

        • 献血にまつわるエトセトラ

          はじめに 皆様、献血をしたことはあるでしょうか? 救急では輸血を使用する場面が多く、ないことで致死的になる場合もあります。非常に貴重なものです。 個人的な信条として、急性期に従事するからには可能な限り私自身も献血に協力しようとしています。訳あって本日も献血をしてきました。 そんな献血に関して自身の経験を踏まえてお話します。 献血の実際 施設によりますが、基本的には祝日以外の日中に献血をうけることができます。 休日も可能ですがやはり混み合うので平日のほうがおすすめです。

        私が救急を目指した理由

          電撃傷へのアプローチ

          はじめに先日、宮崎市で部活動中に落雷をうけて受傷した事例がありました (https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240408/k10014415981000.html) 落雷での事象は稀ですが、特殊な点が多くまとめてみました 疫学電気熱傷および落雷による損傷は、米国では毎年3,000件の入院があり、熱傷の3-4%を占めています 最大40%が致死的で、年間推定1000人が死亡しています(J Safety Res.2003;34(3):241

          電撃傷へのアプローチ

          CQ(Clinical Question)解決・情報収集の方法

          はじめに 4月から新しく研修医や専攻医になった先生方は、日々の診療に関する疑問が増えてくる時期でないかと思います。 また少し年次が進むと質問される立場になり、そこでもCQに遭遇する機会が増えていきます。 今回は医療情報の収集方法や、それを集約するツールに関して紹介します。 UpToDate 臨床での疑問が生まれたら、最初にUpToDateを開くことをおすすめします(URL:https://www.uptodate.com/contents/search)。 全世界の論

          CQ(Clinical Question)解決・情報収集の方法

          帯状疱疹とアシクロビル

          帯状疱疹の疫学 帯状疱疹はコモンな疾患であり救急外来でしばしば遭遇する 米国でのデータでは年間約100万件が発生し、生涯リスクは30%とされる[1] 帯状疱疹の罹患率は過去60年間で4倍以上に増加している[2] 帯状疱疹後神経痛は10-18%、帯状疱疹に関連した髄膜炎は0.32%である[3] 合併症の頻度は大きくはないが、罹患数が多く留意する必要がある 臨床症状と注意すべきこと 患者の約75%が発疹に先行して前駆痛を自覚する 2-3日前に症状が出現することが多

          帯状疱疹とアシクロビル