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◎スローイン・ファストアウト

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「私」目線の、きっと「恋」のお話。一話完結型の連載物。フィクションであり、ノンフィクション。匙加減は読んでくださるあなたに託させてください。終着点は、未だ未定。
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#恋

【連載】スローイン・ファストアウト 0

【連載】スローイン・ファストアウト 0

背はどれくらいだろう。高いわけではないが私よりは確実に高い、日本人男性の一般的な高さ、172.3といったところだろうか。
この三行で私のサイズが豆なことをご理解いただきたい。今後の話に一切絡むことのない情報だが。
体のラインはかなり華奢で痩せ型。私より軽いんだろうな、と思うと少し病む。

スーツに着られている感じはないが、夏場に着ている白のポロシャツの方が似合っていた気がする。羽織がないので細いウ

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【連載】スローイン・ファストアウト 1

【連載】スローイン・ファストアウト 1

読んでも読まなくても困らない前作

封筒を渡された。随分と分厚い封筒だ。
「これ、十万円入ってます。」と顔色を変えずに○○は言う。
「え?あ?は?」
言葉にならない声を発してしまっただろうな、あからさまに挙動不審な私。
すかさず「嘘です。」と○○は言った。
よく考えなくても嘘なことは明らかなのに、テンパったところを見せてしまって恥ずかしい。
あがり症なのでテンパってしまいがちの私をもう数ヶ月も〇〇

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【連載】スローイン・ファストアウト 2

【連載】スローイン・ファストアウト 2

前作

○○はおいくつですか。
意を決して聞いてみた。
この日は○○があまりにもプライベートな話をするものだから、合わせて私も調子に乗ってみた。
いつもより饒舌な○○は、表情は変わらないが少し楽しそうだったから。

「いくつに見えると思いますか、といつも聞くんです。」と○○は言う。
聞かれ慣れてる質問なんだと感じた。
爪痕を残したいのに浅はかだったなと軽く反省した。
「私、人を見る目がないんです。

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