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自転車に乗ってじぶん探求の新生活|タペストリー交換日記 018

ゆうこさん

東京にきて4ヶ月が経ったよ!お返事、長い間待っててくれてありがとうね。新しい土地でいろいろあるけど、何とかやってるよ。

ゆうこさんが言ってた障害物競走。この例えがとても役に立った(立っている)数か月間だった。変わること、変わらないこと、本当に毎日いろいろあって大変。だけどこの状況を障害物競走中なのよ、って言った途端にこころが軽くなる。素敵な表現。

楽しいことって何だろうって思って考えてみたのね。ちょっとご馳走的な値段だった日本食が普通に食べられることとか、本屋さんに行けば日本語の本が溢れてるし、4ドル払ってた3パックの納豆がすごく安いこととか(100円くらいで買えるんだよ、ゆうこさん!)

でもその中でも、自分が育った地元を自転車で駆け回ることかもしれないって思ってる。昔遊んだ公園、必死に登った長い坂、昔から変わらないちょっとさび付いた橋、豊かな緑や紅葉と季節ごとに変わる花々。

そんな中を電動自転車でぎゅーんって走るの。昔の自分と、今の自分を一緒に織り込んでいくような感じ。そんな時に思うの。ああ、幸せだなあって。私にはこのいろんな自分を統合していく感覚が欲しかったのかもしれない。

見えないことが沢山あって、いろんなことが怖かったし、今もその気持ちはあるんだ。大人になって、家族を持って、仕事もして、それから居を移動する中で、こっちに帰ってくる前に自分のノートに書いたプロコンリストにはないことが、毎日やっぱり色々出てくるんだよね。

そんな不安な気持ちもある中、嬉しいこともあるのよ。最近一番嬉しかったのは、アメリカと日本にいる私を知っている友人から言われたこと。

「けいさんはどこにいてもけいさんで、何だか安心しました」って。

目頭が熱くなっちゃったのだけど、私やっぱり怖かったんだなと思った。長年住んだシアトル離れて、たくさんの出会いが詰まった土地を離れたら、私は「シアトルのけいさん」から何になるんだろうって。

前にゆうこさんにも話したよね。音楽バンドとかアイドルグループとかからソロ活動始める人いるでしょ?でもソロ活動しても、支持され続ける人と、そうでない人もいる。「なーんだ、ソロになっちゃったんだ。ふうーん」って。グループ名や所属名がなくなると、何になるんだろうって。

そういう不安を重い気持ちで抱えながらも、決めたことは決めたから動いてたのだけど、その言葉で心がすとんと落ち着いた。あ、私は大丈夫だって。

あとね、決心して何か動かすと、いろんなことが舞い込んでくるっていう実感もある。

8歳の娘は二学期から私の地元の母校に通っていて、今じゃ毎日お友達や上級生グループと一緒に通ってるのね。その姿を見るだけですごく幸せなんだ。車社会と治安の面でアメリカじゃなかなか出来なかった、お友達と歩いて学校に行くっていうことが、彼女の日本で楽しみなことの一つだったのね。きっとちびまる子ちゃんがたまちゃんと一緒に歩いてるの見たりして思ってたんだろうね。

でね、こっちでの生活が始まって数ヶ月したとき、朝ごはん食べた娘がふいに私を見て言ったの。「ママ、あの夢叶っちゃったね」って。「本当だね」って。泣けてきたよ。進めば叶う夢もあるんだよね。

大きな変化があると失うものにこころが持ってかれすぎてしまうけど、その時は見えづらいけど得ているものに心を向けることも大事なんだよね。

ゆうこさんはさ、いろんな大陸に行ってみたりと移動が多い人生だったでしょ?移動した先で、今までの生活とこれからの生活に対しての心の切り替えみたいなのはどんな風にしてきたの?教えてほしい~。

この日記も海を越えた文通になってきたね。
タペストリーが新たなステージに入ってきた!

お返事のんびり待ってます。
2023年、今年もよろしくね。

けい

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