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【青春18で行く】鉄道唱歌1人旅(東海道編第43番〜第45番)

43番

堅田に降つる雁がねの 絶え間に響く三井の鐘
夕暮れ寒き唐崎の 松には雨のかかるらん

三井寺へ訪れるには京阪石川坂本線の三井寺駅から徒歩15分なのですが、なぎさ公園からも歩いていけそうだったので、そのまま徒歩で訪れました。

旅行あるあるですが、土地勘のない場所をひたすらに歩き続けていたら、いつのまにか5km、10kmと歩いてしまっていたということが多々あります。

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三井寺で入場チケットを買ったのが、16時48分。受付のおばさんに「あと10分で閉門するよ」と言われましたが、鐘を見るためなら入場料を惜しまずにはいられないのです。さっそく境内に入っていきます。

映画「るろうに剣心」の撮影場所として選ばれたことある三井寺の境内には数多くの文化財や国宝が眠っており、歌に登場する「三井の晩鐘」はそのうちの一つです。鐘の写真を撮っていたら、たまたま通りかかったおばあさんが僕に興味を示してきて、無料で鐘をたたかせてくれました。鐘が鳴っているところを聞けるとも考えていなかったのに、まさか自分で鳴らせることができるとは思っていませんでしたので、旅先での一期一会の出会いとは、まさにこのことだと痛感した覚えがあります。

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唐崎も堅田も東海道線の駅ではなく、湖西線の駅名です。実は40番の「勢多夕照」と「石山秋月」、41番の「粟津晴嵐」、42番の「比良暮雪」と「矢橋帰帆」、この43番の「堅田落雁」「三井晩鐘」と「唐崎夜雨」で近江八景の8つを全てコンプリートするという、なかなか粋なことをしています。そのほとんどは、今となっては東海道線の車窓から見ることはできませんが、「その八景を居ながらに 見ていく旅の楽しさよ」と寄り道をしてでも、見に行くべき景観だということです。

44番

昔ながらの山桜 匂うところや志賀の里
都の跡は知らねども 逢坂山はそのままに

大津に来て「大津京」のことを偲ばずにいることができる人はいるのでしょうか。逢坂山も古くより交通の要衝として関所が置かれ、万葉集や古今集にも登場します。ついに京都が目前に迫ってきました。なんだか雲が美しいです。

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結局、京阪石川坂本線の島ノ関駅で降りて、湖西線の大津京駅まで、寄り道をしながらずっと歩いてきてしまいました。湖西線に乗って京都に上洛します。

45番

大石良雄が山科の その隠れ家は跡もなし
赤き鳥居の神さびて 立つは伏見の稲荷山

と、その前に山科にて大石良雄が登場します。彼を祀った大石神社がこの地に建立されています。

また昔の東海道線は、東山を貫くトンネル技術に限界があり、現在よりも南のルートを通っていた関係で、現奈良線沿線の観光地である伏見稲荷大社が当たり前のように東海道の歌に登場します。

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山科という駅は大津と京都という県庁所在地と府庁所在地同士に挟まれた肩身の狭い駅に見えますが、かつての東海道の京都への玄関口、いわば「山科ゲートウェイ」的な役割を少なからず担っていたことでしょう。

長かった東海道の旅も、ついに京都に到着です。唱歌はここから8番連続で京都について歌われます。それだけ歌う内容があるほど、この都市の魅力は古くから語り継がれてきたということでもあります。時刻は19時を過ぎましたが、ゆっくりと洛中を観光していきましょう。観光客の少なくなった神社仏閣の特別感は夜遅くと朝早い時間しか実現されませんし。

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