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【青春18で行く】鉄道唱歌1人旅(東海道編第35番〜第37番)

35番

父養いし養老の 滝は今なお大垣を
三里隔てて流れたり 孔子の名誉と諸共に

名古屋を出た列車は北上し、岐阜、大垣と進んでいきます。岐阜を出たところで、家々の屋根に薄く雪の膜が見え始めます。大垣に近づく頃にはあたり一面銀世界に変わり果てた車窓になっていました。

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「養老の滝」というのは大垣から養老鉄道に乗り換えて、南下すると訪れることができる孔子物語の伝説で知られる滝ですが、今回は時間の都合上、スルーしていきます。

この旅を通して、歌に登場したのに訪れることができなかったというか、訪れようと思わなかったのは宇津の谷峠と養老の滝くらいです。言い訳になってしまいますが、本線から離れていて時間を要してしまう。残念ですが、そのためだけに半日を潰すわけにはいかないのです。

36番

天下の旗は徳川に 帰せし戦の関ヶ原
草むす屍今もなお 吹くか胆吹の山おろし

今はなき、ムーンライトながら号の終着駅、大垣を出て関ヶ原駅に到着しました。あたりは一面雪が積もっています。

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駅前から関ヶ原の古戦場記念館までの道中、関ヶ原の戦いのおびただしい数の解説が壁に貼られていました。「天下分け目の戦い」と呼ばれるこの合戦が、如何に壮絶な戦いだったかがひしひしと伝わってきます。

人が歩けるように申し訳程度の除雪がされている中を注意深く前進し、関ヶ原の古戦場に足を踏み入れます。雪の中にひっそりと佇む石碑を発見しました。

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昨日一昨日の雲ひとつない天気から一転、この日はどんよりと厚い雲が標高の低いところに停滞しています。それにこの後の行き先、米原・彦根周辺では雨が降っているというのです。

37番

山は後ろに立ち去りて 前に来るは琵琶の海
ほとりに沿いし米原は 北陸道の分岐線

擬音語で表現すると、ちょうど「しとしと」が当てはまる雨の降り方をしています。米原駅に到着です。岐阜県を抜けてからは車窓から雪が消え去りました。

今までに何度もあったように、作曲者の視点の移り変わりが、明確に示された歌詞のうちの一つです。

これまでも、例えば2番「右は高輪泉岳寺」や29番「右は入り海静かにて」「左は遠州灘近く」など、バスガイド的歌詞が何個か登場しています。今回は後ろに立ち去る山々から前に見えてくる琵琶湖へと視線を移し、旅にも歌にも抑揚を出しています。

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米原駅は北から北陸本線が合流する「北陸道の分岐線」となっています。ついに滋賀県まで来てしまった自分に呆れすら感じますが、鉄道唱歌東海道編のハイライトである、京都・大阪が目前まで迫ってきているので、まだまだ楽しみが途絶えません。

駅名標もJR東海のオレンジ色だったものからJR西日本の青基調のものとなり、旅情を感じざるを得ません。次回は雨の中、彦根・草津と進んでいきます。もちろん傘は持ってきていません。

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