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20歳の夏休み全部使って日本一周してみた(34:大阪〜奈良〜伊勢)

第34日目

今日はテキトーに奈良と伊勢をぶらぶらして、伊勢の快活で1日を終えるというなんの変哲もない1日です。しかし、ぶらぶら行くのにも、安く済ませるためにはいろいろ頭を使わなくては行けません。それはそのはずで、まず関東民の僕は大阪奈良京都周辺の路線図をまともに把握しきれていないからです。そして、この世の中には金券ショップというものがあります。僕はそこを利用すれば、さらに安く旅行できることを知っているのです。

今日は1日、近鉄を利用します。近鉄、南海、阪神とさまざまな私鉄が乗り入れ、複雑な路線網となっているこの地域は基本的にJRの利便性があまり高くありませんし、その他私鉄と比べて高いです。なので、今日は青春18きっぷは使いません。まずは近鉄の始発駅となっている大阪難波駅に向かいます。昨日の夜も訪れたところですね。この駅の近くには星の数ほどの金券ショップがありますので、地下街を歩けば徒歩0分で金券ショップを見つけることができると思います。

お目当ての券を見つけました。1枚1300円で販売されている近鉄の株主優待乗車券です。この手の私鉄の株主乗車券は1回限りの利用のみ有効となる仕様になっていて、長距離の利用をするときに1300円以上になるのであれば、得になります。例えば東武の株主優待乗車券を浅草とかで購入して、東武日光まで行けば通常、押上から1300円くらいかかるところを800円で行けたり、西武の株主優待乗車券を使えば、西武秩父から池袋まで800円で行けるところを500円で行けたりします。

という感じで、どの区間であっても途中下車なし普通列車のみであれば1300円という定額でどこまでも行けることができるのです。今日は近鉄奈良から五十鈴川という駅の間の移動を通常1700円ほどかかるのですが、この切符を使って400円安く済ませます。しかし、今言った通り、大阪難波から近鉄奈良までは通常の乗車券を買うしかないでしょう。

安い切符を見つけ、調子を乗っていたら、慣れていない難波の地下街で見事に迷子になりました。大阪に来るたびにここは歩いているのですが、全然慣れません。新宿や渋谷のような蟻の巣構造になっている駅構内を完全に理解するにはその駅に3桁回くらい訪れないと無理だと思います。

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難波周辺は大きく分けて「大阪難波」と「南海難波」と「JR難波」と「なんば」があると思っておけば間違いないと思います。なんで1駅だけで4つも名前があるんだと、腹を立てる気持ちを抑えて、順番に見ていくと、まず南海電鉄が乗り入れる南海の難波駅があって、これは駅舎が美しく、昨日の記事に写真を貼った気がします。次に大阪難波となんばの2つに関しては、地下の駅です。大阪難波には近鉄と阪神の2会社が乗り入れ、なんばには御堂筋線などの地下鉄が乗り入れています。最後に残ったJR難波は言うまでもなく、JRの駅なのですが、こちらは他の3つと地理的に距離が離れており、地図上で見ても一目瞭然かと思います。

東京にも永田町と赤坂見附のように、近い駅同士がくっついちゃった例がありますが、ここはそれのさらにスーパーデラックス版だと思っておけば納得できます。このことは僕も今回やっと理解しましたし、自分でこのように説明することでさらに理解することができたのかもしれません。

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しかし、知らない土地であることには間違いありません。普通に迷子になりました。特に雨が降っていましたので、地上階で移動すると濡れてしまいだるいのでぶっと地下にいる必要があったのも大変でしたね。やっとの思いで近鉄への階段を見つけ、改札をくぐることができました。

近鉄奈良へは40分ほどで到着。相変わらず雨は降っていますが、駅を出て続くアーケード街から雨足が弱まるタイミングを見計らって、公園の方は向かいます。興福寺の隣の猿沢池が見えてきた頃、鹿がちらほら見えてきます。ここの鹿は広島の厳島神社の鹿と比べてノリがいいと思います。木の下で集団になって地面に生えている草をむしゃむしゃしています。

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少し進むと公園内に設けられている水路から雨で増水した濁流が軽い氾濫を起こしていまして、鹿たちが公園の一角に取り残されている様子を見ることができました。すると、1匹の鹿がその水路をぴょんと飛び越えたことを筆頭に、次々と鹿たちが水路をジャンプして飛び越えていきます。こんな光景、雨の中の奈良公園でしか見られないんじゃないですか。アマゾン川を渡るヌーの大群に一瞬見えましたが、やはり鹿は鹿です。飛び越えて別の草地を見つけると、再びむしゃむしゃし始めます。観光客が減って鹿せんべいも全然与えてもらえなくなってしまったのでしょうか。少し寂しそうな顔つきに見えました。

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公園探索を終えたら、奈良名物の柿の葉寿司を何個か購入し、列車の発車時間までに食べ終えます。12時26分発車かと思っていたら16分に発車していることに20分過ぎたあたりで気づいて、1時間遅くゆっくり伊勢に向かうことにしました。柿の葉寿司は安定の美味しさで、さばとさばとさけでした。

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最遅で13時16分に近鉄奈良駅を出発するものに乗ればよかったのですが、途中乗り換え駅でもぶらぶらできると思い(優待券利用なので改札内のみですが)、12時40分くらいに近鉄奈良を出る列車に乗ったかと思います。ここからは乗り換えに乗り換えを重ね、伊勢神宮内宮の最寄駅である五十鈴川駅を目指します。

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まず大和西大寺という駅で乗り換えるのですが、この駅は日本でも有数なポイントの複雑な駅で知られています。奈良方面と大阪方面、京都方面、橿原神宮方面の4方面からやってくる列車たちを捌くわけですから、たしかにこれくらい複雑になるのも納得です。しかも近鉄には普通列車以外の急行や特急も運行本数が豊富ですから、さらにカオスなことになります。ホームの上には、これらのクロスを上から望める展望デッキのようなスペースも設けられています。

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大和西大寺駅の改札内にあるお店に1個300円のおにぎりを3個で500円で売っているタイムセールス中の店があって、思わず購入してしまいました。夜ご飯にしようと思います。900円の買い物が500円で済んでいます。買うまでに本当に500円か2回くらい確認したと思います。この店の人は掛け算はできているのか。本当に500円か。いろいろ疑うものがありましたが、本当に500円で買えました。うなぎやあなごなど、1つあたり160円ちょいのクオリティとは思えない、おにぎりのコンテンツとなっています。コンビニおにぎりよりもコスパいいんじゃないですか。

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ここから先は初めて聞く駅、知ってはいるけどどんなところか全く想像つかない駅を次々に通り過ぎて行きます。大和西大寺、大和八木、桜井、榛原、名張、伊賀神戸(これ「いがこうべ」じゃなくて「いがかんべ」なんですね)、榊原温泉口、伊勢中川、松坂、宇治山田などを通って、終着駅の五十鈴川駅に到着しました。途中、伊勢中川駅手前のデルタ線で、僕の大好きなyoutuberが描かれている看板を見つけることができました。ほんの1秒くらいしか見れなかったのに、写真に収めることができて、めちゃくちゃ嬉しいです。

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五十鈴川駅から内宮までは徒歩で25分くらいです。バスも走っていましたが、そんなに早くついてもやることがないですし、交通費の節約になるので歩きます。伊勢神宮には内宮と外宮があり、参詣する順番なるものが厳密に決まっていると思うのですが、そんなもん忘れてしまいましたし、調べるのも最早めんどくさい状態になったので、諦めてさっさと内宮へ行きます。内宮の手前にある有名なおかげ横丁という商店街がありますが、誰がなんと言おうと、絵に描いたようなシャッター商店街になっていまして、観光崩壊を起こしていました。医療崩壊が騒がれる中、観光崩壊が無視され続ける理由がよくわかりませんが、営業してる店はすみっこぐらしのミニカステラ屋さんとスターバックスくらいでした。いつから伊勢は三流観光地になったんでしょう。恐るべきことです。もちろん赤福本店も閉じています。

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観光客も僕以外に10人いませんでした。ゴーストタウンにでも来たような錯覚を起こします。

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誰もいないおかげ横丁は至る所のベンチがひっくり返されたり、横に倒されていたりして、もぬけの殻状態でした。軒先に座れるベンチみたいなところがありましたので、先ほど購入したあり得ない価格設定されているおにぎりを食べて、駅に戻って赤福を探そうと調べ始めました。いろいろ調べたところ宇治山田駅周辺にある赤福を売っている店がどこも18時に閉まってしまうらしく、今からバスに乗って向かったからぎりぎり宇治山田駅構内のお土産屋に間に合うことがわかったので、バスに乗って行きましたが、どこも赤福は売り切れています。

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これはいつもだったら当たり前なのか、それとも観光客が少ないことを見越して、そもそもの生産量を少なくしているのかどっちかわかりませんが、伊勢もまたそのうち訪れるので今回はあきらめましょう。宇治山田駅構内だけで2箇所、少し離れた伊勢市駅構内にも1箇所、赤福を売っているお店がありましたが、どこも売り切れています。もう諦めて伊勢うどんでもやけ食いしようと、飲食店が集まっている市場のようなとこにも行ったのですが、写真の通り、まだ19時前だというのに、9割以上の店が閉まっています。

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この後は伊勢市駅から歩いて30分ほどの快活クラブに向けて歩いて1日を終えただけです。結局伊勢に来て伊勢らしいものに一つもありつけることができない空しい1日になりましたが、明日は朝から充実した1日となりそうな予感がします。鳥取砂丘の日と同じく、明日は3時半に目覚ましを鳴らして4時45分の始発に乗って、伊勢から紀伊半島を一周し、大阪に向かいます。

この旅も遂に残り4日になりました。今までやってきた道のりを振り返ると、1日1日にいろんなことがあったことが容易に想像できます。それほど毎日が充実した旅行になっていることは間違いないことですし、それら1日1日が日本一周の一部になって、今の自分がここにいることがにわかに信じ難いのも同時に湧いてきます。最後の最後まで家に帰るまでが遠足だと言われますが、もはやその言い回しを卓越した何かに挑戦している気分です。家の玄関に入る最後の1秒まで、この旅行を楽しみ尽くしたいです。

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