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[東洋思想]オススメの入門書(儒教編)

こんばんは。
いよいよ本格的に寒くなってきましたね☃

先日ポストした記事に、
オススメの東洋思想の入門書があれば紹介してほしい」とのコメントを頂きました。記事にコメントを頂けるのは、とても嬉しいです。(工楽ノ佑さま、ありがとうございました!😆)

実は過去にも「東洋思想をどこから学ぶのがよいのか、取っ掛かりとなる本を教えて欲しい」という相談を受けたことがあります(noteではない場で)。都度、その人に合いそうなオススメの本を紹介していたのですが、よく考えたらnoteでも書いたことがないネタだったので、この機会にオススメ入門書について書いてみたいと思います。

とは言うものの、、、

そもそも、一口に「東洋思想」といっても、とても範囲が広い概念です。

仏教、儒教、道教(老荘)、禅、神道」の5つの思想哲学を包含しますし、何なら「仏教」だけでも一生掛かっても読み切れないほど本が存在します。

そんな中でどんな本をおススメするのがよいのか?ちょっと観点を絞った方がよさそうな気がします。

東洋思想の「入門書」に求められることは何か?

1) 何度も読み返したくなること

これは私見ですが「東洋思想を学ぶ」というのは

「へぇ~、そうなんだ。知らなかったわ😐」

と、自分の中にない「新たな知識や知見を獲得する」というよりも

そうそう、そうなんだよな・・・😌

と、自分の中にある(あった)大切なものを「思い出す、再確認する」活動です。

どこか懐かしいような、どこかで聞いたような、すっかり忘れてたけど、言われてみれば知らない話ではない。そういうものを掘り起こして身体に定着させるイメージです。これを消化して自分のものにするためには、何事もそうですが「反復」が欠かせません。なので、まず「何度も読み返したくなる」というのが重要な要素だと思います。今回は、実際に私が折に触れて何度も読み返している本をご紹介します。

2) 読みやすいこと

東洋思想の書物は基本的に古典です。めっちゃ古い書物です。多くは漢字で書かれています。その点、漢字圏に暮らす私たちは十分幸せ者なのですが、さすがに原典をいきなり読むのは辛いです。もちろん一字一句の字源を理解しながら追っていく奥深さもありますが入門書としてはヘビーです。かといって単に現代語訳して「そこに何が書いてあるか」を解説するだけの本も「ふ~ん😶」で終わってしまい微妙です。現代人とって読みやすく工夫されつつも、過度にライトにして原典のエッセンスを損なうことなく、書かれていることを自分に落として込んで考えさせる”余白”が残されていることが重要かなと思います。

3) 実績があること

最後に、入門書としてはやはりベストセラーというか、数ある古典の中でも特に「多くの人に読まれた・影響を与えた」など、ある意味で「実績」のあるものが良いと思います。そもそも古典として現代に受け継がれている時点でその書物は十分に多くの人に読み継がれたレジェンド級の至宝なのですが、その中でもより「普遍性」が高く入門書としての実績があるものが適していると考えました。なので、古典としてはある意味「王道 of 王道」なものを選んでいます。

東洋思想のオススメ入門書(儒教編)

①「大学」

私が東洋思想の入口として、そして儒教の入門書として真っ先に挙げるとすれば「大学」です。いわゆる「四書五経」のうち「四書」の1つです。

日本で儒教が最も盛んだったのは江戸時代です。
江戸時代では6歳になった子供が藩校や寺子屋に通うようになるのですが、1番最初に使うテキストが「大学」です。現代風にいうと小学一年生が一学期に使う教科書です。小学生向けと侮るなかれ。むしろ小学生だからこそ。家庭から社会に出た子供が真っ先に抑えておくべき人生の要点が全て「大学」には詰まってます。

で、数ある「大学」関連本の中で一番オススメなのがこの本👇です。

ちなみにこの本は、私が東洋思想を学ぶきっかけである田口佳史先生の最新著作です。(決して回し者じゃないですよ・・・)。先日、田口先生が講義の中で「この本は久しぶりに我ながら納得のいく内容が書けた」と仰っていました。御年80歳を超える田口先生の50年に及ぶ東洋思想探求の、まさに集大成と言えるほど中身が濃い本です。

二宮金次郎が薪を背負いながら読んでいる本も「大学」です👆

②佐藤一斎「言志四録」

儒教は中国原産の思想なので儒教界の有名人といえば基本的に中国人です(孔子、孟子、董仲舒、朱子…)。一方、日本における儒教界のレジェンドと言えば佐藤一斎です。

なぜ佐藤一斎がレジェンドなのか?あの「明治維新」という奇跡的な偉業を、当時20代そこらの金も権力もない幕末の若者達が「人間力」だけで成し遂げた、その淵源を辿っていくと必ず佐藤一斎に行き着くからです。吉田松陰も、佐久間象山も、渋沢栄一も、皆、佐藤一斎の影響を受けています。そんな佐藤一斎が残した書物がこの「言志四録」です。正確に言うと「言志録」「言志後録」「言志晩録」「言志耋録(てつろく)」の四つの書から成る随筆(エッセイ)集なんですが、これが幕末の志士たちの心にバンバン火を点けました。儒教の世界観から「人間はどう生きるべきか」という生き方の指針を説いたものですが、とにかくアツイ🔥です。言葉が。

中でも私が好きなのが

一灯をさげて暗夜を行く。暗夜を憂うなかれ、一灯を頼め。

「言志晩録」 一三条

シビれます。自分はいまどんな「暗夜」にいるんだろう?そんな中で自分の足元を照らしてくれる「一灯」は何だろう?とか考えちゃいます。

言志四録のオススメ本はこちら👇です

「また田口先生やないか!

というツッコミが聴こえてきそうですが、ちょっと最後まで聞いてください。この本のどこが良いかというと「自分に火をつける言葉」という副題がある通り、自信を失いがちな現代人にピッタリな内容なんです。

田口先生は今でこそ、御年80歳を超える東洋思想歴の大家ですが、50歳まではビジネスマンをやっていました。それもただのビジネスマンではなく、日本有数のコンサルティングファームの経営者でした。今でいうベンチャーキャピタルですね。東洋思想の勉強を続けながら経営者として厳しいビジネスに身を置いた末、50歳のときに東洋思想の道に転換されたのですが、経営者としてビジネスを実践してきた経験が東洋思想研究の上で非常に活きているそうです。そんな田口先生の本は、アカデミックな世界で仏教や儒教の研究をしてきた専門家の本とは一味違う、毎日を慌ただしく生きている私たちにより身近でリアルな表現に落とし込んで佐藤一斎の教えを解説してくれます。古典をこのように身近な話題に落とし込んで解説できるのは、田口先生と立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんくらいじゃないかと思ってます。

その他、儒教で私が好きなのは「孟子」、「書経」、「貞観政要」あたりですが、上記観点の入門書として適するかは何とも言えないので、今後見つけたら改めて紹介します。(貞観政要は出口さんのがいいかも)

仏教・禅編」まで書こうと思ってましたが、思いのほか長くなりそうなので2回に分けます🤤

仏教・禅編」につづく。

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