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「私」と「関係性との関係性」の変化

この記事は「システムコーチング Advent Calendar 2023」の記事です。

こんにちは。たにちゃん(@tany3_)です。私はエンジニアのバックグラウンドを持つシステムコーチ兼パーソナルコーチです。2023年11月にはORSCC(CRR Global認定の組織・関係システムコーチ)として認定されました。

今回のエントリーでは、システムコーチングを通じて得た学びと、それが私の内面や世界観にもたらした変化についてお話しします。この内容は他のAdvent Calendarのエントリーとは少し異なるかもしれませんが、その違いを楽しんでいただければ幸いです。

関係性が正直分からなかった

「コーチング向いてないんじゃないの?」

妻の言葉

2021年に発令された緊急事態宣言。急遽オンライン開催になったORSC基礎コースの休み時間。妻が私に放った一言。忘れられない言葉です。

その直後に「関係性の四毒素」をコースで教えてもらう訳ですが…笑

関係性というものが正直分かりませんでした。親しくなるのが良いこと、気が合わない人がいても仕方ない、心を開けば仲良くなれるかもしれない、ぐらいの解像度しかない。内向的な私は、人と関わる仕事なんか無理だ!と思っていたのでエンジニアというお仕事を選んだぐらいです。

いまのわたしたちって、どんな感じ?

なんで一緒に遊ぶ?

関係性を話し合う場面って、どれぐらいありますか?
例えば職場の関係性。一緒に仕事をしているけれど、なんで一緒に仕事をしているんだっけ?どんな関係性で一緒に仕事したいんだっけ?これからどんな私たちとしてやっていく?普段こんな会話をすることはないと思います。

現実は、関係性を表に出さない代わりに、別の表現をする。例えば、本心では「その仕事したくありません」と思っていても、「その仕事は失敗するからしない方がいい」という。または「上司がきらい会社もきらい」と感じていても、「新しい挑戦がしたい」と表現する。言葉で表現せずに態度や行動で示す。

これは家族、趣味、遊びの仲間でも同じ。本当はそこにある関係性は表に出ないまま、みんな複雑なコミュニケーションをしている。

システムコーチングを学ぶと、関係性を見る新しい視点が得られます。これは人間同士だけでなく、集団、国、自然、概念(お金、結婚、常識など)との関係性を見つめることができるようになります。関係性が見えると、その関係性に積極的に関わっていくことができるようになります。これは非常に重要な学びでした。

さて、妻がなぜあんなことを言ったのか、当時はまったく分からなかった訳ですが…いまなら分かるかもしれません。いまも分かっていないかもしれないけれど。

心理的安全性と勇気

私が言いたいことは、教科書的なことじゃないのです。

わたしは心理的安全性への誤解で覆い尽くされた、自己の表明がない受容は無視と同じだと言いたい。

「そういう考え方があるんですね」というコミュニケーション。最初はいいかもしれない。しかし、これをずっと続けると、結局はスルーしていることと同じになってしまう。だからこそ、関係性の可能性を開くためは「あなたとわたしの違い」を明らかにしていくことが重要です。

これをするためには、自分の意見を言う必要がある。そのためには自分が自分の真ん中にいなきゃいけない。自己の表明ができると互いの違いが場に出る。そして互いの違いにこころを開くことで、わたしも、あなたも、変化を受けれて、より良い方向へ変わっていくことができる。

自己の表明とはこころを開くことだ。なぜこころを開くのが難しく、こころを開いてもうまくいかないのかについて、この文章を読んでなるほどな〜と思いました。続きがあるけど一部だけ。

吉福・・・私は、いったい何を求めているのかということを、自分に対して正直に認める。それからある特定の限界の中で、私は誰かということを受け入れること、この作業をきちっとしたほうがいいとおもう。さらにコミュニケーションという関係性の中では、それをきちっと表現するってことが日本人の場合まずたいせつだとおもう。そのあとで、ある程度の自己の浄化ということができるとおもうけど、それを確立しないかぎりむつかしいとおもう。
アメリカは、そのいい例だとおもいますよ。今、松澤さんがいったようにね、まっ黒な自我が開いてしまうと、たいへんなことになってしまう。そういった意味ではあれは実験的な例ととらえていくしかない。
まぁ、日本人はなかなかあそこまではいきにくいけど

『静かなあたまと開かれたこころ 吉福伸逸アンソロジー』
自我の確立 自我のサレンダー

自己の表明互いの違いが場に出ることで対立が生まれます。対立に触れることは難しいけれど、それが関係性の可能性を開く「夢への扉」となります。自分の「黒い自我」から対立ではなく、自分の中心にある「願い」から対立を起こす。そうすれば、互いの違いにこころを開くことができ、システムが求めていた最も望ましい、新しい関係性が出現していきます。

心理的安全性への誤解が広まった日本に必要なものは、願いから対立を起こす勇気です。

関係性に勇気を持ち込み、夢を現実にする

私のワールドワークは「関係性に勇気を持ち込み、夢を現実にする」ことです。これは私の体現したいビジョンです。

私の体現したいビジョン

ORSCのプロフェッショナル実践コースに参加すると全員が「ワールド・ワーカー」となり、「ワールド・ワーク・プロジェクト」に取り組みます。

私たちシステムコーチは、「チーム/組織」「夫婦/家族」など2人以上の関係性を「関係性システム」として捉え、それぞれが独立している存在ではなく、相互依存し合い影響を受けあっている存在として関わっていきます。

そして目の前の関係性に関わることを通じて、その先にいる人たちにまで影響を与え、世界を変えていく存在になることを目指しています。

私たちはそうしたシステムコーチを「World Worker(ワールドワーカー)」と呼んでいます。

このメディアについて | World Workers - ワールド・ワーカーズ

システムコーチングでは、技術的なツールの使い方だけでなく、人間関係の中での勇気ある行動が求められます。システムコーチはセッション中にクライアントシステムに対して言いにくいことを伝える必要があります。

セッションの中で、チームの一員が勇気を持って行動を起こすこともあります。これはまるで海に飛び込むファーストペンギンのように、新しい動きの始まりを告げるものです。この瞬間からチームの関係性は大きく変わり、新しい関係性システムが出現します。

この体験に何度も立ち会うことで、世界を変えるリーダーシップとシステムコーチとしての理想像が実は似ていることに気づきました。

私がシステムコーチングを通して体得したことを凝縮するとこれだけです。

  • 自らの願いの中心に立ち続けること

  • 願いを正直に伝え、関係性に勇気を持ち込むこと

恐れからではなく、対立して、傷ついて、傷つけて、怒られて、悲しませて、挫けそうになっても、願いからコミュニケーションを取り続けること。願いから外れる時があっても、願いに立ち戻ることを諦めないこと。

それぞれの関係性にある普段のムードを壊し、本当に大切だと思っていることを持ち出すことは難しい。楽しい雰囲気の中で不安を話すのは難しく、悲しい場面でユーモアを取り入れるのも同様です。今、このようなことを文字にして表現すること自体もまた、私にとっての挑戦です。

私のワールドワークは、私のビジョンを目の前の関係性に持ち込み、体現しようとし続けることです。すぐに大きな変化が見えるわけではありませんが、徐々に変化が起き、影響が広がっていくことを願っています。

システムコーチであり、ワールドワーカーであり続けるためには、リーダーシップを発揮し、現状に立ち向かい、新しい一歩を踏み出す勇気が必要です。これは、単なるスキルや能力を超えた、人としての成長と変化の旅です。

システムコーチングのセッションは、世界の縮図であり、フラクタルな構造の一部です。私たちがそれぞれの場でリーダーシップを発揮することによって、全体に影響を及ぼします。

小さなことにくよくよせず、願いを持ちながら、目の前の小さなことに全力を尽くすこと。起きていることを受け入れ、不条理に屈せず、願いに基づいて行動する勇気を持ち続けること。これがシステムコーチングを通じて得た学びであり、それが私の内面や世界観にもたらした変化です。


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