コーチ物語 〜明日は晴れ〜 クライアント6 疾走!羽賀コーチ
はぁ、はぁ、はぁ。こ、こんなに走ることになるとは……。追っ手はとりあえず巻いたようだな。風呂敷に包まれた荷物を胸に抱え、夜の街を右に左に走っていく。普段からこんなに走ることなんかないから、もう息が上がって……とりあえず暗い路地に身を隠し、体力の回復を待つことに。
あの人のところまでもう少し。あそこまで行けば落ち着くはずだ。あとはあの人に任せればいい。
ネクタイをゆるめ、一番上のボタンをはずす。営業マンとしてこんなにだらしない格好はご法度なのだが。今は事態が事態だからな。