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【2022年度最新版】海外の野犬対策まとめ


突然ですが、筆者は2022年8月、ボリビアで一ヶ月のうちに3回も野犬に噛まれてしまいました。全く嬉しくない最悪の経験ですが、めったにないことだと思うので、どうせなら記憶の新しいうちに海外の野犬対策について書き留めておくことにしました。今後野犬の多い地域に渡航予定があるよって方も、そうでない人も少しでも参考になれば嬉しいです。


※筆者は犬のスペシャリストでもワクチンの専門家でもありません。
あくまで個人の実体験に基づいた記事ですので、その点を踏まえて参考程度に読んでいただけると幸いです。

渡航予定国の情報をしっかり調べよう



基本的なことですが、めちゃくちゃ大事です。
私が把握している限りでは、比較的野犬が多くて狂犬病ワクチンの接種が推奨されているのはインド、南米、アフリカなど。例えば同じアフリカでも国によって野犬の有無・狂犬病の発生率などは違ってくると思うので、国ごとにしっかりリサーチした方がよいかなと思います。

国ごとに必要なワクチンを知りたい方はこちら↓↓↓


事前に日本で狂犬病ワクチンを打とう



特に狂犬病ワクチンの接種が推奨されている地域に渡航予定の方にお願いです。

絶対に事前に日本でワクチンを打ってください。

いや、そうは言っても実際に犬に噛まれる確率なんてたかがしれてるし、
万が一噛まれたとしても現地でワクチンを打てば何とかなるでしょ?
そう思われる方がいるかもしれません。


私もそんな感じで完全に舐め切っていました。
一応、今まで中国に行く前もインドに行く直前もなんなら南米に来る前、2022年1月にもブースターを打ってきたけど、今までも大丈夫だったしまさか実際に噛まれるなんてことはないだろうと思っていました。


が、そのまさかが起こってしまったのです。

「心配事の9割は起こらない」というフレーズがあります。
日本に限ってはそうかもしれませんが、海外では余裕で起こり得ます。
万が一噛まれた場合でも、事前に日本でワクチンを打っているのとそうでないのとでは狂犬病に感染するリスクが全然違ってくるし、何より精神的にも安心できます。実際に噛まれてしまった直後も、もちろん感染のリスクを考えるとめちゃくちゃ怖かったけど、それでも一応日本で6回接種済みという事実があるのでかなり安心材料になりました。


日本での狂犬病ワクチン接種記録(計6回)


日本での狂犬病ワクチン接種記録(計7回)


日本で初めて接種する場合、最低でも三回、一回ごとに一週間〜十日ずつ期間を空けて約一ヶ月かけて打たないと効果が出ないそうです。しかも一回の接種で13,000円〜15,000円。かつ保険適応外なので狂犬病だけで軽く50,000円もかかってしまうのはかなりイタい。が、自分の命には変えられないので出来るだけ事前に打って行くことをおススメします。


都内なら東京医科大学病院がオススメです。
狂犬病だけでなく黄熱病も一緒にワクチン接種したので、追って記事にしたいと思います。


※コロナ以前は、タイなどの東南アジアで狂犬病、黄熱病などのワクチンを一通り安く打ってから世界一周旅行に行くというのが通例だったようです。
単純に日本に比べてワクチン代が安いため。ただ、今大分各国の入国制限が緩和されているとはいえ、色々と衛生面がうるさく言われている中他国でワクチンを打つことができるのかどうかは不明。筆者は元々2022年2月に出国予定で、ブラジルに到着する前に東南アジアを経由するためだけにPCR検査したり書類を準備するのがめんどくさかったので、多少高くても全部日本で打ちました。


なぜワクチン接種が必要なのか?



私が海外渡航の前にワクチン接種を強く勧める理由は主に五つあります。


  • 万が一噛まれた場合でも、事前にワクチンを打っていた方が全くワクチンを打っていない状態と比べて感染リスクがかなり軽減される

  • ワクチンを打っていることが精神安定剤になる

  • 海外で噛まれた後すぐにワクチンを打てる環境があるとは限らない

  • 相手は動物。どれだけ注意しようと、人間の意志だけで100%回避できるものではない

  • 国によっては、全ての飼い犬・野犬に狂犬病ワクチン接種済みというところもある。しかし、結局確証はない


噛まれたら結局その後もワクチンを打たないといけないんですが、事前に接種していることで精神的安定剤になります。実際に私がそうでした。



国にもよりますが、海外でワクチンを打つのって想像以上に大変です。
日本と違ってどこにでも病院がある訳ではないし、近くに病院自体はあっても狂犬病ワクチンを扱っているかどうかは分からない。私はたまたまボリビアの中でも大きめの都市に滞在していたため、噛まれてから半日ぐらいでなんとかワクチンを打つことができたけれど、もし医療機関が整っていない辺鄙な所で起こっていたらもっと時間がかかっていたと思います。ワクチンを打つために都市部に移動して、病院を探して、言語もうまく伝わらない中何とか医者に状況を説明して、、いつワクチンを打てるか全く分からない中で不安と戦いながらそれらのミッションを遂行するのはあまりに体力的・精神的負担が大きすぎます。

野犬から身を守る具体的な方法については後述しますが、先に結論を言ってしまうと犬と極力距離を置いて歩くことしか噛まれるのを未然に防ぐ方法はないです。しかし、相手は動物。人間の意志の及ばない存在なので、どれだけ注意していたとしても正直噛まれる時はあっさり噛まれます。ある意味、言葉が通じる人間の強盗とかの方がまだ未然に防ぎやすいかも。
いや、どっちも出会いたくはないですが。。


ボリビアに限った話ですが、野犬・飼い犬にかかわらず基本的に全ての犬に狂犬病ワクチン接種済みだそうです。にわかには信じがたいですが。
てか野犬にもわざわざワクチン接種してるんなら、そこで終わりにせずその後もちゃんと保護するなりなんなりしろよと思ったのは私だけ?
接種済みの犬に逐一印を付けてるなんてこともないので、正直現地人がどれだけ言おうとどの犬がちゃんとワクチンを受けてて、どの犬が未接種かなんて確証はないです。特に海外の人は発言めちゃくちゃテキトーなので。


野犬を避ける最大限の行動を取ろう



事前にワクチンを打つのはマストとして、現地で野犬に噛まれないように最低限気をつける必要があります。自分が実際に体験したことと、現地人のアドバイスに基づく野犬に対して取るべき行動はこちら。


※あくまで素人の感想です。

  • 極力野犬には近づかない。一定の距離を取って歩こう

  • 犬を視界に捉えても、ガン見しない。見て見ぬフリをしよう。視界の端にとらえつつできるだけ犬を避けて歩こう。一度犬と目を合わせてしまうと相手がこちらに興味を示してしまうため。

  • 犬が吠えてきたらNo!と強く大きな声を出して犬より自分が強いということを見せつけよう

  • 万が一犬が追いかけて来ても、逃げたり転んだりしてはいけない。相手に背を向けたり低い姿勢を取ると、人間=自分より弱い相手だと犬が認識してしまうため。


と、当たり前のように書いていますが、正直筆者も全然できません。ムリ。
てか犬に吠えられながら追いかけられているっていう状況で逃げずに立ち向かうとか無理だろ。ちゃんとリードに繋がれていて狂犬病のきの字もない犬しか慣れていない日本人がいきなり南米の犬に立ち向かうとか、よっぽど犬に慣れてる専門家の人でない限りできません。


実際、現地人の友達、学校の先生、医者などあらゆるボリビア人に
「必要以上に犬を怖がるからその恐怖感が犬に伝わって、人間=自分より弱い存在だと認識するから襲って来るんだよ。人間の方が強い存在だってことを見せつけないと」
と散々言われたので、現地人がやっているのを真似して大きな声を出して追い払えば自分にもできる!と信じてやってみましたがやっぱりダメでした。少しずつ迫ってくる犬に向かって、何度も何度も「No!」と言い続けましたが案の定また噛まれて余計に恐怖心が強くなってしまっただけでした。。


※念のためですが、暴力はふるっていません。暴力をふるう勇気もないし、何より犬が逆上してより攻撃的になるかと思うと怖すぎる。

万が一噛まれてしまった場合、一刻も早く病院に行って狂犬病ワクチンを打とう



万が一噛まれてしまった場合、一刻も早く現地の病院に行ってください。
現地人の知り合いに聞くなり、自分でネットで調べるなりしてワクチンを取り扱っている病院を見つけてください。

ここで重要なのは、どれだけ時間がかかろうとも、体力的・精神的に疲労困憊していようとも、金がかかったとしても

絶対に必要な量のワクチンを確実に打ってもらう

というミッションを遂行しなければいけないということです。
既に前述しているので繰り返しになってしまいますが、海外でワクチンを打つのって想像以上にめんどくさいです。大袈裟ではなくガチで。

なんでワクチンを打ってもらうまでに時間がかかるかっていうと、ワクチンを扱っている病院があまりないっていうのと

ボリビアではそもそも犬に噛まれた後にワクチンを打つっていう概念がない

からなんですね。この価値観のギャップを埋めるのにめちゃくちゃエネルギーいりました。何回医者を説得してもなぜワクチンが必要か全く理解してもらえず、最後の方になるとこっちも疲れてしまって、まあ日本でワクチン6回も打ってるし最悪打てなくてもなんとかなるか。。いや全然大丈夫ではないけどもうスペイン語で話すの疲れた。。と半分諦めモードでした。

自分の命がかかってるっていうのに、事がこじれてめんどくさくなればなるほどどうでもよくなってくるのは私だけ?笑
そんな私でも何とか耐えてワクチン接種まで漕ぎ着けましたよ。
という訳で、皆さんも諦めずに医者を説得し続けてください。何なら金の力も存分に使ってください。私はたまたまタダで打ってもらえたけど、金をふんだんに積めば場合によっては解決できるかも(確証はありませんが)。

↓↓↓実際の医者との奮闘記はこちら↓↓↓


100%ではないにしろ、狂犬病の暴露前にワクチンを打てば発症のリスクはかなりの確率で軽減されるそうです。噛まれてから発症まで数週間〜二年の潜伏期間があり、結構長いです。実は私が最後に噛まれてからまだ二週間ぐらいしか経っておらず、ワクチン自体は噛まれる前と後で合計13回も打ったものの、今後も発症しない可能性がゼロではありません。。しかも3回目に噛まれた後はまだワクチンを打ててないし。
※あまりにも噛まれすぎて、どのタイミングで何回ワクチンを打つべきなのかもうワカラン

という訳で内心ビビりながらもこの記事を書いています。。

現地人のアドバイスをもらおう


当たり前ですが、海外に関することは現地人に聞いた方が早いです。
ここで重要なのは、出来るだけ多くの人の情報を得た上で、どのアドバイスを信じるべきか自分で精査して判断すること。

狂犬病に感染していないか?という不安を少しでも払拭するべく、友達、学校の先生、行きつけのカフェの店員さんなど、噛まれた後はとにかくあらゆる人に質問しまくってました。

今まで犬に噛まれたことある?噛まれた後どうしてた?
犬に噛まれたら病院に行くべき?
どの病院に行けばワクチンを打てる?

私は内心、ワクチンを打ったことがある現地人、いわゆる自分と同じ状況になった事がある「前例」を見つけ出して少しでも安心したかったのですが、私が聞いた限り現地人で実際にワクチンを打った人はいませんでしたね。
そんなん傷口を市販薬で消毒して安静にしていれば大丈夫だよ、そもそもボリビアの犬はワクチン接種済だから気にする事ない、という人がほとんど。


スペイン語で「心配ないよ」はNo te preocupesというのですが、
この時ほど信じられなかったNo te preocupesはない。笑

色んな人にアンケートをとったことで、医者だけでなくその他の現地人にもワクチンを打つっていう概念が本当にないんだなと実感しました。

ボリビア人はほとんどワクチンを打たないというのは事実ですが、なんせ海外の人はあることないこと自由に言います。
なので現地人の言う通りにするというよりは、現地人は同じ状況に陥った場合通常どうしているのかを徹底的に聞き出して現地の対処法を理解し、それを踏まえて自分はどうするべきなのかをしっかりと把握することが重要だと思います。


今回の場合、ボリビア人にはワクチンを打つという概念がないという事が分かったけど日本人の私はやっぱり打たないといけない、ということをあらためて実感しました。

病院には、できれば信頼できる現地人に付き添ってもらった方がベターです。自分一人だけだと意思疎通が難しいのはもちろん、見知らぬ土地で医療制度も何も分からないままいきなり凸するのはちょっとハードル高いです。実際にボリビア人の友人に付き添ってもらったおかげで、何とか病院で消毒してもらったりワクチンを打つ事ができました。
普段から日常的に交流していて外国人の考え方もある程度理解してくれている彼女がいなければ、無事にワクチンを打つことはできなかったかもしれません。上手く現地人を味方につけて助言をもらい、いざと言う時には助けてもらうことも海外渡航の際には必要なスキルだと思います。


まとめ


長々と書いてしまいましたが、私が言いたいことは以下の通りです。

  • 海外渡航前に必ず狂犬病ワクチンを打つ

  • 犬に限らず、現地では動物を最大限避けて行動する

  • 万が一噛まれた場合、すぐに病院に行ってワクチンを打ってもらう

  • 何が何でもワクチンを接種するんだという強い意思を持つ


私が言えたことではありませんが、海外渡航の際は人間にも動物にも十分気を付けてください。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。



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