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フグタ社長業務日誌『取締役人事』

このシリーズは2007年9月~2008年9月まで1年にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。※巻1は自2007年9月24日~至10月30日。

フグタ社長業務日誌(巻1-2):9月25日(火)

 業界団体連合会は、アベ前社長が退任したので、新たに全国総会(略称・国会)で仕切り役の会長を決めなければならない。
 もちろん最終的には、業界トップシェアの自慢堂社長である私が、会長になるのに決まっているのだが、競合会社の万寿堂のオジャマ社長がうるさいので、一旦彼の顔を立てて、しなくてもいいような手続きを踏む。それが一日仕事だ。17:35、第91代連合会会長に選出就任。
 
 そんなこんなで時間がつぶれて、会社に帰ってきたのはもう夕方6時を回っていた。今日中に取締役人事を終えなければならない。
 18:31、社長室長になったマチムラさん(海外担当専務から異動)と、とりあえず打ち合わせ。
 19:01、協力会社の社長と業務提携の継続確認の打ち合わせ。
 19:25から同58分。新しく取締役になる人たちに、秘書から電話をさせる。いわゆる「呼び込み」。

 ただ今回の役員人事は、ほとんどいじらない。マチムラさんを動かしたのとアソさんが取締役を辞めるので、その関係だけ。海外担当にタカさん、守衛室にイシヤブさん。後はそのまま。今、下手に動かすと収拾がつかないので異動は必要最小限に留める。
 社内報の編集担当が「サプライズがない・・」とぼやいていたが、私は別に社内報の記事を作るために人事をやっているわけではない。

 20:21、社長室を出て役員会議室へ。同9時11分、同室を出て社長室へ。
 21:45、社長室を出て、同46分から同10時12分まで、業界紙記者と会見。その後秘書課長と明日26日のスケジュール打ち合わせをしながら、夜食のカップ麺をすする。
 23:31、会社を出る。まだ社宅が空いてない(アベ前社長の荷物が残っている)ので自宅へ向かう。
 26日午前0時、東京・野沢の私邸着。張込みの業界紙の記者さん「初日終えての感想は?」の問いかけに「(笑顔で)疲れた」。
 「シンデレラ(死んでれら)って言えばよかったかな」フフフ♪ と後から小声で(秘書注)。

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注:
2007年9月25日の内閣総理大臣指名選挙は、与党が過半数を占める衆議院では指名されたが、参議院では野党が過半数を占めており指名されなかった(民主党の小沢一郎が指名される)。いわゆる “ねじれ国会”である。両院協議会が開催されたのち、法規によって衆議院の議決が優先され、福田首相が指名された。就任年齢は71歳、奇しくも父・福田赳夫氏の首相就任時の年齢と同じであった。
※『フグタ社長業務日誌:取締役人事』は、ブログ『tanpopost』に2007年9月27日 付けで掲載したものです。


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