フグタ社長業務日誌『金庫番の面接』
フグタ社長業務日誌(巻6-1):3月12日(水)
古い会社なので、経理部の奥に大きな金庫がある。金庫の扉の前には立派な椅子が置いてあって、そこにいつも(うつらうつら居眠りしながら、誰にもとがめられることもなく)金庫番が坐っている。金庫番は経理部を定年退職した人を、嘱託で採用している。実際には別にいなくても支障はないので、いわば老後の第二の人生を、名誉職として優雅に送っていただいている・・。
今度、その金庫番を勤めてこられた方が隠居されることになった。後釜には、副金庫番を勤めてきたMさんが、まあ順当に昇格されることになっていた。のではあるが・・。
何でも反対したい人はどこの会社にもいるのである。さしたる理由があるわけでもないが、ああだこうだともめている。経理部の天下りという声もあるが、そんなものはたかが知れている。
昨日、仕方ないので、一応金庫番の後釜採用の面接試験を行った。
Mさんは長年経理部に在籍されていたので、話に面白みはないが、真面目な人である。ボケて金庫の鍵をなくすおそれもなさそうだし、借金でヤミ金に追われているようでもない(むしろ莫大な借金を背負っているのは、うちの会社の方だ)。
私としては、別に誰でもいい。だから業界紙の記者さんに
「このまま今の人事案にあくまでこだわる考えか」と聞かれても
「なんでね、悪いのかよく分からないからね。ですから困ってるんですよ。今、そういう状況」
としか言いようがないのである。
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