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フグタ社長業務日誌『夫婦住込可』

このシリーズは2007年9月~2008年9月まで1年にわたる、福田康夫総理の「首相動静」を基にしたフィクション(パロディ)です。※巻4は自2008年1月1日~至1月31日。

フグタ社長業務日誌(巻4-5):1月14日(月)

 やっと社宅に引っ越した。家具などはすでに運んであるので、身一つ。ほとんど普段の出勤と変わらない引越だった。

 社宅といっても、社長専用なので中々立派なものである。部屋数も多いし広いし、自宅の何倍もある。しかしなあ・・、と思う。いかに便利で職住近接とはいえ、社宅は会社の目の前で、徒歩1分である。ちょっと帰りに赤坂で寄り道して・・と気軽にいかないのが辛い。

 とにかく寒いし、なにより落ち着かない。仕方ないので映画にでも行くことにした。
 品川プリンスホテルアネックスタワーの映画館「品川プリンスシネマ」。女房と二人で「アース」を鑑賞。まるで冬休みの子供だ。どこかで外食したかったが、連休のせいか、めぼしいところがどこも空いてない。すごすご社宅に帰る。

 「お父ちゃん、そろそろ部屋暖まってるかしらねえ・・」と女房。
 「社宅を守るってのは、われわれの大きな仕事だ」と私。午後6時27分、同タワー発。同44分、社宅着。
パチンコ屋の2階に住み込む、店員の夫婦みたいである。

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注:
「公邸」と「官邸」は同じ敷地で徒歩1分ほどの距離である。官邸は執務を行う「仕事場」であり、公邸は首相の「住まい」といえる。公邸は1929(昭和4)年に首相官邸として建てられたものだが、2002年に現在の官邸が完成したので、86億円をかけて公邸としてリフォームされた。鉄筋4階建て約7,000㎡。一般的な3LDKマンションの約100倍の広さである。
豪華だが築年数は古い。そのため犬養首相が暗殺された「5・15事件(1932)」や、青年将校のクーデター「2・26事件(1936)」が起こった事故物件であり、幽霊が出るという噂もある。そのためかどうか安倍首相は公邸に住まず、都内の自宅から官邸に通っていた。
ちなみに岸田首相が親族らと「忘年会」をしてはしゃいで記念写真を撮っていたのは「公邸」の方である。
※『フグタ社長業務日誌:夫婦住込可』は、ブログ『tanpopost』に2008年1月17日 付けで掲載したものです。


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