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《創作大賞2024:恋愛小説部門》『友人フランチャイズ』第2話 白花色 0.5〜

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《第1章 第2節 白花色0.5~》

 僕の意識がいつもの世界に帰って来たのは、けたたましい講義終了の鐘の音と静かな緊張から解放された、周りの学生達が放つ雑音からだった。

 まだ、寝ぼけていたからなのか、頬から流れるよだれをいつもの癖で、袖で拭こうとした時、さっきまで僕の隣にいた女の子の事を思い出した。咄嗟とっさに腕をすくめて、隣の席をみると、そこには、もともと誰も居なかったように静かで次の主人を待つ椅子だけが閉まってあった。

 眠さで視界が狭かった時の記憶を頼りに、前の席、後ろの席、横の席を探してみた。けれど、あの女の子の姿がなくて、周りの話し声の中からも見つけることが出来なかった。

 周りをきょろきょろとしていると、多分同じ講義を受けていた、男性と目があって、その瞬間、ピリっと僕の中の危険信号が働いた。咄嗟に体が反応して、自分の机の上に目を逸らすと筆箱の中から、ペンを取り出し、出席シートに小絲 拓星こいとたくせいっと記入し、誰かに話しかけるのが苦手な僕はその目が合った男性が、講義室から出て行くのを待って、教材を鞄に押し込むと講義室の前に置いてある箱に出席シートを入れ、周りから気配を悟られない様にしながら講義室を出た。ただその中でも、あの女の子の姿を探しながら……

 でも、まー、今、会えたとして、なんて声をかける?「さっきは、どうも」って言えるほどのキャラクターを僕は持ち合わせていないし……。それに……それに……「いつか、君を描いてみたい」って言ってしまって……そんな恥ずかしい事言ってしまって……迷惑だよ……ね……。

 こんな風に僕の中の藍色が濃ゆくなった場合は、自然と決まった、とある場所に行ってしまう。大学に併設している図書館の資料室。他の学生が使っているメインホールではなくて、受付を済ませると、受付横の銀色の扉を開けてもらい、埃っぽい廊下を少し歩いた部屋。

 受付で簡単な説明に、はい。っとだけ言えば得られる1人だけの空間。1人になりたいだけなら、大学の外に出てしまえば沢山あるんだろう。だけど、ここには様々な理由でメインホールに出せなかった在校生や卒業生の作品に、創作資料になりそうな写真や文献が棚に所狭し並べられていて、沢山の作品達と会話ができるから好きで落ち着く。

 僕は、資料室の電気を付けて、埃っぽさの中にあるインクの匂いとか、油絵の具の匂いとか、彫刻作品から染み出ている古い木の匂いとか、僕の好きな香りを深く吸い込むと、鞄と一緒に緊張していた肩の荷をふー。っと机に下ろした。

 資料室の壁に掛かってある時計を見ると、まもなく11時を指そうとしていた。確か次に僕の受ける講義は14時30分だから、時間は十分にあるよな。っと確認。

 そして、んー。っと、背伸びをして凝り固まった体を伸ばすと2日前に見つけた15年前の作品集をペラペラとめくり、一作品一作品じっくり眺めた。

 へー。そこ、夜桜じゃないのに紫つかうの?っとか、これ描いてる時どんな気持ちだったの?っとか、人とは上手く話せないのに、作品を1枚挟むと僕は作者と心を通わせる事ができた。

 そして、ペラっと次の作品を見た時、またあの女の子が僕の心に降ってきた。ふわふわと。

 その絵は頭に黄色とかピンクとか沢山の色の花で作られた花冠を被って、お花畑に裸体で座る女性の肖像画。決してあの子に似ているわけではないのに……また、僕のいでる心に一粒の真っ白を落とす。心の中に小さな波を立たせて。

 変に考えてしまうのが、嫌になった僕は、バタっと作品集を閉じると、鞄から夏休みの課題で描き終えた油絵のタイトルとその作品に関するレポートに取り掛かった。

 タイトルは決まっていたし、レポートも書く内容は決めていたので、すぐに終えることはできるのだろう。だけど、その作品は僕なりに熱を帯びて描いたし、教授に選出されれば2週間後に大学で開催される展示会に飾ってくれ、美術界の大物が見てくれる……なんて噂もあったから、今はこれに集中しよう。っと、筆箱からシャーペンを取り出して気持ちを作った。

 僕は、頭の中で決まっていた内容を作品同様、熱を入れレポート用紙に書いた。ここにはこんな技法を使っていて、何故この部分に金青こんじょうを使って、何故この題材にしたのか?まで細かく。

 頭の中のスイッチが一度入ってしまうと、自分の思考の湖に入り込んで、周りの事が見えなくなってしまう。そんな時に手応えがあったりすると、背中がゾワっと心地よい鳥肌が立って形にしたい。って更に思考の奥へ奥へと潜って行ってしまう。この時も同じで、時間も忘れてレポートを書き終わる頃には息切れをしていて、さっき起こった出来事も忘れてしまうくらいだった。

 パンっと意識が戻って、壁に掛かっている時計を見ると16時を過ぎていて、14時30分から受けるべき講義が、僕の2つ目の不都合のせいで終わってしまっていた。

 作品に集中している時とはまた別の鳥肌が、背中から肩にかけて襲って来た。悪い事をしてしまった。っと。

 いくら、バイトのシフトが朝まででも、課題が終わらなくて完徹をしても、講義には遅刻も欠席もした事がないのに……それを通り越してさぼってしまった。教授に何て言おうか?……この場合、他の人なら何て言うんだろう。

 僕のぐるぐるする頭の中はこれまでの経験上で言うと、やばい方に入るので、この場合は問題を早く取り除く様にして、心の平穏を保つ事に努めている。

 意を決して、鞄を肩から下げると、図書館を後にした。誰にも気づかれないように、大学内を遠回りし、あまり誰も使用しない裏門から出ると、早足で家に帰った。そして家に着くと、今日、沢山の事が一気に起こりすぎた所為せいなのか、疲れた僕はそのままベットに倒れ込んだ。

 木目の天井を見ながら少しだけ冷静になった僕は、教授に次会ったら、何て言おうかな?図書館でレポート作成してて、時間が過ぎてしまって……って正直に言うべきかを木目の天井に付いている一点の黒いシミを見つめながら考えた。すると、昨日あまり寝ていない事も相まってか、少しづつ意識に白いもやがかかり始めた。

 そんな事より……いや……そんな事もないけど……布団が身体に吸い付いて来て、少しだけ眠くなって来たな。まー。さぼった事は起きてから考えようか。

 今日の朝みたいな心地よい眠気がやって来て、身体が何だか温かくなって来る。でも、エアコンをつける程の暑さでもなくて、そんな心地よさの所為もあるのか、今日出会った女の子が靄のかかる脳裏に浮かんで来た。

 またね。ってその女の子は言ったけれど、また……なんて来るのかな?でも、同じ講義受けてたし、同じ大学だろうから、また……は来るよね?もしも……次会えたら僕は何て声を掛けたらいいんだろう。あんな事言っちゃったし。でも、それも今だけは置いて、起きてから考えようかな。

 僕の意識がゆっくりと、ゆっくりと、靄に包まれて遠ざかって行く。靄に吸い込まれて遠くなる意識の中で、藍墨茶あいすみちゃの瞳をした大きな目の女の子の表情が、僕の藍色の心を少しだけ触れて白くしてくれる。この感覚の色は何色だろう?……あー、多分あれだ。夏休みの課題で描いた、暗闇の中の湖に雪の様な真っ白に光るドレスを着た女性が降り立つ所を表現した作品。それを描いていた時に感じた感覚の色を作品名にした。確か……タイトルは……そうだ。そうだ。『白花色しらはないろ』だ。僕は、今日の出来事を振り返っていると、いつの間にか心地よい靄に支配された。

 あの日の出来事から、もうすぐ2週間が経とうとしていた。さぼってしまった講義の教授は僕に関心がないのか……どうかは分からないけれど、何も言われる事はなく、安心と少しの寂しさを僕に落とした。

 それと、あれから、あの時の女の子は見ていない。あの時出会った講義にも来ていないし、大学内でも見かけない。僕が専攻している学部では関係のない映像学科研究室に行ってみたり、うちの美大が発行している広報誌の写真の隅まで探してみたけれど、あの時の女の子を見つける事ができなかった。

 体調不良で休んでいるのかな?っと考えだした午後での講義。夏休みの課題で提出した作品の評価が終わった事を篠宮しのみや教授が説明し始めた。

 篠宮教授の長い説明を要約すると、全体的に課題は各々あるがレベルが高かった事と、今から1人1人名前を呼ぶので、評価シートと明日に行われる展示会へ選出した作品と展示する場所を記したシートの合計2枚を取りに来る様に。との事で、僕の『白花色』は鳥肌が立つくらい時間を忘れて取り組んだ作品だし、自分の中では小、中、高と合わせて描いた作品の中でも最高に出来が良かったと自信を持っていたから、良い評価と展示会への選出は頂いた……なんて期待をしながら、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。

 「小絲こいと」っと僕の名前が呼ばれると、僕は早く結果が知りたくて、でも、自信あり気に行ってしまうと、周りの学生からの反感?の視線を痛く感じてしまうので、できるだけ平然を装って篠宮教授の前に行き、2枚のシートを受け取って、そそくさと席に戻った。

 席に付いて、一呼吸置いた後に僕は、評価シートに目を落とした。

 でも、見た瞬間、僕の期待とは裏腹に僕の心にちゃぽんっと音を立て、一滴の真っ黒が落ちて、そして溶けて消えた。

 まず、1枚目の評価シートは提出した作品の点数とレポートの点数の平均を出して評価した物で、S評価を最高点として、D評価が最低点。僕はその内のB評価で、明日行われる展示会で『白花色』が飾られる場所は、展示会場入り口の横にある、光の当たらない隅っこの壁。って事が、教授の「線が弱いが、可能性はある」っと言うコメントと一緒に記されていた。熱を帯びて、全力で表現した僕の中の最高の作品が、普通だったよ。っと烙印を押されるには十分な内容だった。でも、とりあえずは隅には飾ってあげるから。っと言うおまけ付きで。

 絶望と言えば大袈裟かもしれないけれど、それからの僕がどうしたかは、覚えていない。どうやってその後の講義を受けて、どうやって家に帰って来たのか。僕は気づけば家にいて、そして、そのまま泥の様に眠っていた。それくらい『白花色』は、自信を持って送り出した作品だった。

 次の日、なんとか思考だけはたもてるまでに回復したので、昨日のことはとりあえず置いて、目の前の事に集中しようと意識を切り替え、朝からぎっしりと入っている講義を終え、家に帰るため、美術棟の出入り口に繋がる廊下を歩いていた。

 そして、ふとある所に足を止める。ここを右に曲がれば出入り口のある玄関で、左に曲がれば僕の普通の作品が飾られた展示会場。

 いつもなら、右に行くのだけれど、後悔……っと言う二文字がなぜか脳に浮かび、左に行くべきだ。と、僕は自分の感覚に従い展示会場に足を進ませた。

 そして、僕は展示会場のある左へ何も考えずに進んだ。ここで、何かを考えてしまうと、踵を返していつもの様に逃げて、そして家に帰って、後から考えよう。っとベットに入って寝てしまい、後から『白花色』の事を色々と考えて、後悔してしまうのが想像できたからだ。だから今は、僕は普通の評価の『白花色』をこの目で確認して、昇華してあげなければ前に進めないと……そう思った。

 展示会場に続く廊下を歩いて行くと、パッと一際ひときわ、白く明るい場所に出た。『白花色』が飾ってある展示会場だ。

 篠宮 勝しのみや まさる大展示会場。と書かれた垂れ幕が天井から吊るされており、4年生の彫刻学科の先輩が制作した、象の神様をモチーフにした迫力がある大きな彫刻が入り口で来場者を出迎えている。入り口から見える範囲内だけでも数百点の工芸品や絵画が会場の奥まで所狭しに並べてあり、その全体の雰囲気を建築デザイン学科の3年生の先輩達が手がけた空間が下支えしていて、巨大な一つの作品として、それはまるで……大海原の様で……僕の『白花色』を描き終わった後の自信が凄くちっぽけに感じて、僕の中の藍色が少しだけ濃ゆくなったけれど、実力はまだまだ全然だって納得する事もできた。

 そんな大海原の中で、ん?何層グレーズしてるの?っと、1つ光る油絵が僕の足を止めた。その作品は『シャングリラ』っと付けられたタイトルで、森の中で暮らす人々の風景画。薄暗い森に佇む家から漏れる生活光は半透明の絵の具を何層にも重ねて手間暇かけたグレーズ技法で深く温かみのあるオレンジで表現されていて、とてもリアル。そして灯りに照らされた人々の表情がはっきりとした線で分からないのに、どんな言葉を交わしているのか、動きで分かるそんな作品。

 作者を確認すると、秋山 海あきやまかいっと書かれていた。同じ学部のどちらかと言えば僕の対極にいて、金髪で、チャラチャラしていて、よく他の学生と話しているって印象。

 そんな、秋山くんの作品が放つメッセージ性に、鳥肌が立ってしまった僕は、暫くその世界の余韻に浸ってしまった。

 ブラインドにあたる夕陽が斜線となって僕の顔に当たった時、このシャングリラが放つ世界観から現実に戻された。

 無意識に浸ってしまった事が悔しくて、でも、この巨大な大海原に1人でプカプカ浮かぶ『白花色』の事を僕だけでも、しっかりと見届けなきゃ。っと光の当たらない隅の方へ目をやった。

 すると、僕の自分に対しての憤りが内へ内へ波打ち荒れた藍色の湖に、一滴の真っ白を落として、魔法が掛かったように、心が一瞬で凪いだ。

 君は魔法使いか何かかい?

 僕の視線の先には『白花色』の前に立つ女の子の後ろ姿があった。

 艶のある黒い髪は肩下で揃えられて、雪色のロングスカートをふわふわさせ、黒のカーディガンがそのふわふわのリズムに乗ってなびいている。

白花色しらはないろ』が少し高い位置にあるからなのか、何度も何度も背伸びをしながら見ている女の子。あれは多分………いや……多分ではなくて、あの時の女の子だった。

「ねー。君は今、この一瞬、何を考えているの?」って僕に聞いて来た、あの時の女の子。

 あの時は僕に聞いて来たけれど、君は今、僕の全力を出した普通評価の『白花色』をそんなに必死に眺めながら、何を考えているの?

 僕は、意を決して僕の『白花色』をずっと眺めているあの時の女の子に、僕の2メートルくらいの絶対領域を飛び越えて近づき、後ろから声をかけた。

「ねー。君は今、この一瞬、何を考えていたの?」って。

 いきなり話しかけられてびっくりしたのか、肩をヒクっとさせると、僕の方を振り向き、藍墨茶あいすみちゃの瞳をした大きな目を僕の目に重ねると、「んー。やっぱり小絲くんの絵は凄いなって。後は、ここに来れば小絲くんに会えるかな?って考えてたよ」っとあの時の女の子は子供の様にキラキラとした表情で答えた。

 でも、何であの時の女の子は、僕の事を知っているんだろう?僕の事を知っていないと『白花色』が僕の作品だって分からないはず。同じ学部の中でもあまり僕は、目立たない様に行動していて、多分、僕の名前を知ってる人は少ないと思うのに……何でだろう。

 僕はこの疑問を解く為に、あの時の女の子に話を聞いてみようと思って、まず初めは自己紹介からだ。っと考え、息を大きく吸った。

「は……初めまして、こ……小絲 拓生こいと たくせいって言います。……ここの大学の1年生で18歳です。絵画学部です。好きな事は絵を描く事です」

 しっかりと自己紹介しようと思ったけれど、力が入ってしまって、やっぱり上手くいかなかった。でも、あの時のあの子は、顔が真っ赤になる僕を見て「うん。知ってるよ。小絲くんの事は。だからゆっくりいいんだよ」っと子供の様に目をキラリと輝かせながら僕を見つめていた。

「僕は、君に会うのは、あの講義の時が多分……初めてで……その前も会っているのかな?って思うんだけれど、ごめん。思い出せなくて……。でも、何で君は僕を知ってるの?」っと僕は僕なりの言葉でストレートに聞いてみた。すると、あの時の女の子は、こみ上げる様な子供の笑い声を放ちながら「大丈夫。大丈夫。私が一方的に知ってるだけだから、小絲くんが私を知らなくて、当然だよー。小絲くんは気を使いすぎだなー。本当」っと言って、では……っと、少しだけ背筋を伸ばした。

「私の名前は、波森 水穂なみもり みずほです。ザブーンザブーンの波に、ザワザワの森に、ジャブーンジャブーンの水に、サワサワの穂です。最後の穂は分かりにくかったよね?……稲穂の穂です。好きな事は夢日記を書くことです。あとー……私が小絲くんの事をなぜ知っているかは、秘密です」

 そこの秘密を僕は一番知りたい部分で、僕は僕なりの抵抗を波森さんにしてみることにした。

「僕はそこが知りたいんだけどな……」

 すると、さっきまで子供の様な表情だった波森さんは、少しだけ、大人の表情を浮かべると、んーっと考えて、僕のお腹にコツンっと軽く拳を当てた。

「女性はね、秘密があるから美しくなれるの。その秘密を聞いちゃう小絲くんってデリカシーないのねー。男女の関係を上手く築く為にはあまり秘密を聞きすぎないってのが、この場面で必要なHow toの一つだよ」

 そう言われてしまった後の切り返しを僕はまだ持ち合わせていなかったので「うん。分かったよ。How to……勉強しておくよ」としか、答える事ができなかった。

「よろしい!小絲くんは本当に真面目だなー。……でも、いつかちゃんと話すからね」

 波森さんはそう言うと、また子供の様な無邪気な表情に戻し、僕のお腹に当てていた拳をゆっくりと離した。

 そして、僕の横を通り過ぎると展示会場の中に入ることなく、スタスタと美術棟の出入り口の方へ歩き出した。

 「他の作品観たの?」っと、僕は波森さんの後ろ姿に問いかけると、波森さんは雪色のスカートをふわりとさせ振り返り、周りにいる学生や外部から来た一般のお客さんに聞こえるように大きな声で「私は、小絲くんの『白花色』を見に来ただけだから……っで、やっぱり、私は小絲くんの作品が1番だなって思ったよ。まっ、一応ついでに他の作品もパーっと観てまわったけど、普通って感じだった……っと言う事で、行こうよ。小絲くん」

 波森さんはふふふっと僕に微笑むと、きびすを返して、またスタスタと出入り口へと歩き始める。ガヤガヤとしていた展示会場の入り口が、波森さんの放った一言でピリッと静まり返り、同じ大学の学生と思われる数人が波森さんの後ろ姿を睨みつけていた。

 こう言った雰囲気がめっぽう苦手な僕は、いつもの癖でペコペコと周りにお辞儀をしながら、前を歩く波森さんの後を追いかけた。


《つづく》


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