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2-16 (引用)高校3年生の君たちへ

ドラマ「先に生まれただけの僕」の台詞より

今テレビで放送されているドラマ「先に生まれただけの僕」(櫻井君が主演)で,校長先生(櫻井君)が高校3年生に語る場面がありました。同世代の高校生にも響く言葉があるのかな?と思い,文字起こししてみました。約10分のスピーチ。覚える櫻井君もすごいです。脚本は「福田靖」さん。「海猿」「HERO」「ガリレオ」など,有名なドラマの脚本も担当しています。(設定:学校改革をしようとした校長だが,その対象に高校3年生は入っていなかった…。そのため,3年生からも不満の声が聞こえてきて・・・みたいな設定。)

(2022.01.10追記 / もう4年も前のドラマです。懐かしい人もいるかもしれません。でも、内容はまだまだ色褪せません。多様な進路・人生を選択を選択する高校生たちに届けたいメッセージです。脚本の福田さん、さすが!)

引用『先に生まれただけの僕』4話

クラスの子たちみんなに謝ります。僕は,この高校を改革するために校長として赴任してきました。でも。その改革プランにみんなは入っていません。卒業が近い3年生だから仕方がなかった。君たちの心を傷つけたのならば僕の失敗です。ホントにごめんなさい。

ただ敢えて言わせてもらいます。こんなこと社会に出れば普通にあります。社会では,人は公平に扱われません。必ずどこかで線引きされ、評価され、誰かが選ばれ誰かが落とされ,そうやってそれぞれの居場所が決まっていくんです。

●就職するあなたへ

社会に出たら理不尽なことが沢山転がっています。今,君たちは僕に腹立てているかもしれないけど,社会での理不尽なんてこんなもんじゃない。それは覚悟しておくべきです。もちろん、入った会社がブラックだったら、そんなのはすぐに辞めてもいい。次の仕事を見つけるのは大変かもしれないけど。でも,心を病んだり,命を落としたりするような職場だと思ったなら,さっさと逃げていいよ。でも,さっきも言ったように<理不尽なこと>は当たり前におきます。<理不尽な人>も沢山います。ちょっと嫌なことがあったからって,それだけで心が折れてしまっては,この先生きていけません。そんな時に,まさに「線引き」です。どういうときに頑張るのか,どういうときに逃げるのか。よく考えて,「線引き」してください。


●専門学校に進学するあなたへ

専門学校に進む人,自分の将来の事を今から決めて,そのための勉強を選択したことは素晴らしいと思います。でも,ここでもやっぱり現実の厳しさがあるんだ。専門学校で習うことは,どの業種もそうだと思うけど,基礎中の基礎。実際にその職場に行っても最初は何もできないと思います。その仕事で必要なスキルは現場で学んでいくんです。だから,「こんなはずじゃなかったー」なんて思っても,それは普通の事だと思ってください。仕事をしてお金をもらうということは簡単な事じゃないんです。

●大学に進学するあなたへ

大学に進学する人,この中のどれぐらいの人が勉強するために大学に進学するのか,まぁ僕はよくわかりません。でも,「大学を卒業した方が就職に有利だから」とか,「今は将来やることを決められてないから,とりあえず大学に進学して、それから考えよう」って人も沢山いると思います。

でも。でも,あえて言います。今のうちの高校のレベルで,まぁつまり,みんなのレベルで入れる大学は,決して就職に有利と言える学校ではありません。多くの企業は,大学のランクを採用のポイントに入れています。それが現実です。だからこそみんなは,「大卒」という肩書ではなくて1人の人間として,<人間力>で勝負しなければならないんです。

だから,大学4年間は絶対に無駄に過ごしてはいけません。まぁ僕の経験上から言うと,大学のいいところは自由が増えるところです。受けたい授業を自分で選択することができるし。毎朝決まった時間に「起立、礼」なんてのはありません。あとはー・・・ん・・・そう。まぁキャンパスで,1人でいても全然大丈夫。高校だったら、その付き合いが悪い奴と思われるかもしれないけど。大学だったら,誰も,なにも言いません。

でも,大学に入れば戸惑うこともあるかもしれません。例えば・・・例えば,政治学部に入ったら,どんな授業があると思う?どんな政治?例えば,18世紀のイギリス政治について勉強したりするわけさ。いやもう,これはもう,高校以上に「これ一体何の役に立つんだろう」って思うかもしれない。でも仕方ないんだ。大学は。専門的なことを勉強する場所なんだから。だから,受けたいと思う授業が有れば面白いかもしれないけど,そうでなければ,単位のために,卒業するだけのために頑張らなければならない。それが,大学という場所です。

でも,そこで勉強するのは学問だけではありません。僕が田舎から東京の大学に来て思った事は・・・「とにかく色んな奴がいる」っていうことなんです。まぁ同じ学年にも、まぁ上にも下にも。色んな人間が沢山いました。そんな奴らと、とにかく話したりするわけさ。んー,教室とか,サークルの部室とか居酒屋とか。真面目な話からどうでもいい話まで。とにかく,熱く,議論を沢山しました。そうすることで自分の視野が広がっていくんです。君たちは,そんな体験することですごく成長できると思うよ?

今回,みんなに指摘されて僕は問題に気付くことができました。やっぱり,人しては正面からぶつからないとならない。黙ってないで,行動を起こさなければならない。そういうことを,みんなは僕に思い出させてくれました。大学に行くみんなは「これからの4年間がこの先の人生を決める」,くらいに思っていなければなりません。


●君たちが語るべきこと

僕たち企業の人間から見るとダメな奴はすぐわかっちゃう。(校長先生は企業から出向で来ている,という設定)どんなに自己アピールしてもどんなに話盛っても,嘘は,すぐ見抜かれてしまいます。だから,そういった場所で君たちが語るべきことは,「実際に自分たちが体験したこと」や,「自分たちが感動したこと,感じたこと」。そういったことでなくてはなりません。

君たちはまだ10代です。これから10年後,20年後,どうなるかなんてわかりません。もちろん,将来どうなりたいかもう決めていて,逆算して,それに向かう努力をして,実際にそうなれれば,それはそれでいいけど。

でも,もし今,将来の自分をイメージできていなかったとしても,それはそれで構いません。だって,10代の君たちが思いつく仕事なんか,たかが知れているのだから。

これからみんなは沢山の人に出会うと思います。色んな事を体験して,色んなことを考えていくでしょう。そうした中で,自分がどういう人間なのか分かっていき,自分にふさわしい仕事が見つかっていくと思います。そうしたなかで君たちの事を分かってくれる誰かが,「こっちきたらー」なんて誘ってくれることもあると思います。そうやって自分の仕事を見つけた大人は,沢山います。

思い通りの人生なんて,絶対にないよ。絶対に。人は壁にぶつかり,悩み考えることで自分を作り,その壁を乗り越えることで自信をもっていくんだ。

一番ダメなのは何もしないことです。何もしない奴にはチャンスはやってこない。サッカーだってそうだ。走っている奴にしかパスは回ってこない。

これからうちの高校は変わっていきます。でも,みなさん3年生も大事な生徒であることには変わりありません。これから卒業まで残り5か月。最後まで自分と向き合って。友達を大切にし,出来るなら,後輩たちを励まして。充実したと言い切れるような高校生活を過ごしてください。

●あとがき(引用してみて)

当時,高校3年生の担任だったボクは,リアルタイムでこのドラマを見て「この話紹介したい!」と思ってひたすら文字起こしをしました。けれど、櫻井くんと違うボクですから,ホームルームで急に読み上げても,10分も静かに話を聞いてくれるとは思えませんでした(泣)。ビビったボクは,生徒の誰かに読んでもらおうかとも思いましたが、読んでくれる子はいなくてこれまた失敗(笑)。紙だけ配って終了しました。
 脚本の福田さんはどういう想いで書き上げたのか…。それは聞いてみないとわからないけれど、一般企業に就職して、転職して遠回りで教師になったボクだからこそ語れる言葉・引用できる言葉があると信じ、明日も教壇に立ちます(^0^)/

●脚本家:福田靖  「HERO」、「海猿」、「ガリレオ」、「龍馬伝」,数々のヒットドラマの手掛けられた脚本家と聞いたら、どんな人を想像しますか?いわゆる"売れっ子"なので気難しい人だと想像する人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には福田さんは物腰が低く、講演では「私は、工藤官九郎さんや三谷幸喜さんのような才能はありません。普通の人です。」と胸を張って(!)仰います。なぜ"普通の人"が数々のヒットドラマを書けるのでしょうか?
福田さんは、『普通の人だからこそ、普通の人の心に突き刺さるエピソードが書けるから』、といいます。福田さんは山口県の田舎で生まれ育ち、東京で入った大学では勉強についていけず中退。自ら劇団でもまともな生活ができず、現在の職業である脚本家になってからも6年半はずっと誰かのピンチヒッターで、しかも仕事も単発のものだったそうです。それがいきなり13年前の「HERO」で大ブレイク!その後はさまざまなヒット作品を書き続けていらっしゃいます。例えればマイナーリーグのピッチャーが、いきなりメジャーリーグで投げてそのままエースになるような話です。
このようなドラマはたまたま福田さんにだけ訪れた幸運だったと片づけてしまえばそうなのかもしれませんが、福田さんのお話を聴くと必然であったのではないかと感じます。ドラマの脚本家として、長年の辛抱があったからこそ今がある。自分が「続けていれば、いつか売れるだろう」と信じ続け、書き続けたから今がある、と思える講演です。福田さんの人間性も含め『福田さんがあれだけ頑張っているのなら、よし、今から私も頑張ろう。継続は力なりだ。と思える内容です。(HPより引用)



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