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子供②

前回の【子供①】に引き続き、ちょっと前の事を思い出しながら記事を書いていきます。
前回は不妊治療〜妊娠してお腹が大きくなるまで、でした。今回は出産するまでの話になります。

まず妻が妊娠して思ったのは、周りのみんなが暖かい対応をしてくれるってことでした。
僕ら夫婦の共通の友達は既に子供がいる夫婦が多かったこともあり、みんな優しい言葉をかけてくれました。
20歳の頃はあんなに尖って女性を泣かせてきた友達も、
「今は奥さんの体調優先なんだから鹿がちゃんと支えてやれよな。」
とか言ってきました。
分かってはいたものの、その友達もいつの間にか人を思いやる父親になっていることに少し驚いた記憶があります。

出産時期が迫って僕は勝手に勘違いしていることがありました。
出産間近になったら入院すると思っていたんですよ。何故そう思ってたのかわかりませんが、実際はそれなりに健康だったら陣痛が始まるまで普通に家で過ごしてるんですよね。

2018年1月4日、その日僕は朝4時に起きて運転業務に向かいました。
その時の妻のことは正直思い出せません…多分寝てたかな…?いや起きてお腹痛がってたっけかな…?

多分7時頃、仕事中に妻から電話が着ました。
「お腹痛いから…病院行くわ…」
かなり辛そうな声だった事だけはしっかり覚えています。
幸いにも産婦人科は徒歩5分位の距離で、家の隣のマンションには妻のご両親が住んでいるので、付き添ってもらい歩いて病院に行ったみたいです。

僕はまだ何も実感がないまま会社に現状を連絡をしました。
上司は出先から帰社したらすぐに帰っていいと言ってくれました。

実の所、僕は出産に立ち合いたくなかったんです。出産をした女友達の話だと、旦那が邪魔だったとか必要ではないとか言われてましたし、妻が苦しんでる姿見たくないし、実際行ってもやる事ないだろって思ってたんですよね。
「んー間に合えば行くかぁ」くらいなスタンスでした😅

帰社したのは10時頃で、会社のみんなに帰れ帰れと言われながら、後の仕事を同僚に任せて会社を出ました。
家までの帰り道は40分くらいですが、その日はめちゃくちゃ長く感じました。
果たして本当にちゃんと産まれてくるのか、
これからどんな生活が待っているのか、
まだ産まれてないのか、
昼飯先食った方がいいのか、
てか猫の朝メシあげたのか、
妻が叫びちらしてるの聞くの嫌だな、
あれ?名前全然決めてなくね?
明日の仕事どうすればいいのか、
サボって家で寝ちゃおっかな、
どんな子に育つのかな、
やっぱりギターはやらせたいな、
いやいやまずちゃんと病院行けよ、
などなど…
僕の頭の中で何十人もの僕が色んな意見を出し合ってました。

家に帰りタバコの匂いのついてない服に着替えて速攻で病院に行きました。なんやかんやでサボる意見は却下されたみたいです。

病院に着いてもまだ妻は分娩台に乗っていないようでした。
これも知らなかった事なんですが、本陣痛が始まっても子宮口が開かないと分娩台には乗らないんですよね。タレントさんは準備できてても導線が全然確保できてないからもう少し楽屋でお待ち下さい状態。…違うか?

妻が分娩台に移動してから僕も隣に案内されました。角度的に女性器は見えないのでホッとしました😅
どうしたらいいかわからないまま、苦しみながら息む妻の手を握り、看護師さんが指示する呼吸を真似してたりしました。お前が産むわけじゃないのに…

確か昼の13時前くらいでしたかね。

遂に赤ちゃんが産まれました。

なんか最後はドゥルン!って感じでしたね。
産声もしっかり聞くことができました。
すぐさま先生がへその緒を処理し、看護師さん達は赤ちゃんを綺麗に拭いていました。
妻はほぼ賢者モードみたいな顔をしながら赤ちゃんのことが気になる様子。
僕は何も考えられずに、その新しい生命が誕生した瞬間を目の当たりにしたことだけで自然と涙が流れていました。

看護師さんの計らいで拭いた赤ちゃんを妻のお腹に乗っけて3人で初めての写真を撮ってくれました。
3人…
今までずっと写真は2人だったのに…
と思った瞬間赤ちゃんはしょんべん漏らしてました。
汚ねぇ!って感情は一切無く元気っぽくて良かったなと思っていましたね。

その後妻は出産の時に切った出口を縫う処置を受けに行き、僕は看護師さんが赤ちゃんの体を洗ったり体重を測ったりするのを写真に納めていました。
キレイになった赤ちゃんを初めて抱っこしたのも僕でした。
僕は嬉しい気持ち半分、本当は妻が最初に抱っこさせてやりたかったな…と申し訳ない気持ち半分でした。
赤ちゃんを持つと「か…軽ぅぅ」と思うと同時に「ここまで長かったな…やっと報われたんだな」と不妊でしんどかった事とかを思い返しました。
それと同時に出産に立ち合えて本当に良かったと思いました。さっきまでの自分をぶん殴ってやりたい気分ですよ😡

すごく軽いけど、すごく重かったです。


さて、これくらいで終わります。
前回分を含めてこの記事を読んだ人がどう思うかは自由です。
不妊で苦しめられましたが決して特別だとは思ってませんし、こんな経験してる人もいるんだぁくらいで構いません。

ただ、ちょっとだけ人の命が尊いものだと思っていただければ僕は満足です。

🦌🦌🦌

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