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【読書感想文】(物語編) Before Afterを書く

「うわー、夏休み、あと2週間しかないのに、どうしよう!」

子供達の声が、ここまで聞こえてきそうです。
夏休みの宿題が残っているのね。

その中でも、1番手強いのが「読書感想文」じゃないですか?


「読書感想文」は、日記や生活作文とは全く別物。手伝ってあげようとしても、どう書いていいのかアドバイスの仕方がわからなくて困っているお母様・お父様もいらっしゃるのではないでしょうか。
一人ひとり個別に指導することが必要な感想文の学習は、学校でも一斉指導が難しく、悲しいことですが、1年に1回の夏休みの宿題として書くだけのものになってしまっているのが現状です。宿題ですから、なんとか書き切って学校へ持って行くしかありません。つらいですね。
 
でも、頑張って書いた努力は無駄にはなりません。書き方を覚えると、文章を書くのが苦痛でなくなる。書くのが楽しくさえなるのです。

私もクラス担任をしていたときは、夏休みの後、放課後の教室で作文の手直しをすることがありました。
「放課後残って、先生と話し合いながら読書感想文の書き直しをしたのが楽しかったです。そこから書くことが好きになりました。」と、卒業後に手紙をくれた教え子もいます。


そこで、感想文の書き方のヒントをお話したいと思います。親子で一度書いてみてください。


物語と科学の読み物では書き方が異なります。
今回は、物語や伝記などの文学的な感想文の書き方についてお話します。

 

読書感想文のヒント

<もくじ>
1 読書感想文には、あらすじは書かない。

2 感想文の中心は、主人公ではなく、自分。
❶   主人公と自分を重ねる。
❷   主人公とともに自分の小さな成長に気づく。
❸ 自分の未来を書く。 
(本を読む前と読んだ後の  自分のBefore   After を書く。)

3 テクニック
❶  書き初めは、会話文で。
❷  文章中のどこかに笑いを入れる。
❸  はさみで切り離し、順番を変え、セロテープで貼り直す。(構成)

4 題名をつける。


1 読書感想文には、あらすじは書かない。

「読書」という言葉がついているのだから、本の内容をできるだけ詳しく伝えなければ。
あなたがそう考えているとしたら、それは大きな勘違いです。その本を読んだことのない人にもおおまかな内容がわかるように書くことは必要なのですが、あらすじばかり丁寧に書いては、感想文ではなくて本の紹介文ですよね。その子らしさが表れていないつまらない文章になってしまいます。


2 感想文の中心は、主人公ではなく、自分。

読書感想文には、自分の変化を書きます。その本を読んだことで、自分がどんな影響を受けたか、どんなことに気づき、どのように成長をしたか、これからどのように変わっていきたいかを書くのです。

感想文の中心は主人公ではなく、自分です。
「主人公の〇〇さんはすばらしいと思います。私ならできないです。」と主人公を称え、自分と切り離すのではなく、主人公を通して自分を見つめる。自分の小さな変化を見つけることが大切です。小さな小さな気づきの芽のようなものでいい。それが、普段の生活の中から出てきたものであれば、どんなに小さくてもその子だけの変化。それに、自分が気づくことができれば素晴らしいですよね。



では、ここからは具体的な書き方を説明しましょう。

❶   主人公と自分を重ねる
物語の<はじめ>には、主人公の悩みや葛藤が書かれていることが多いですよね。そんな主人公の気持ちを自分の普段の生活と重ねてみます。
「主人公はこう思っていると思う。私も同じようなことがある」などと書きます。

❷   主人公とともに自分の小さな成長に気づく。
物語の<なか>では、主人公を変えるきっかけとなる何かの事件が起こります。そのときの主人公の気持ちによりそい、主人公の心の変化に気づきます。
他人事にしてしまうのではなくて「もし自分だったら」と自分にあてはめて考えてみましょう。そうすると、今までの考え方と少し変わってきている自分の成長に気づくことができます。

❸ 自分の未来を書く。
本を読み終えた後の自分を見つめます。自分の未来について考えるチャンスです。

本を読む前と後の自分のBefor Afterを見つめる。
大きな変化や立派な成長じゃなくていいのです。

子供達が自分について考えた足跡が少しでもあれば、すごくすてきな読書体験だと思うのです。

 


3 テクニック
苦労して書き上げた読書感想文。
だからこそ、自分が書いた文章を読んだ人が少しでも面白いと思ってくれると嬉しいですよね。
そこで、表現力を簡単にアップできるテクニックを3つ紹介しましょう。

❶  書き初めは、会話文で。 
「どうして私の気持ちをわかってくれないの」と、あき子が叫んだとき、私は、、、、、、、、と思いました。私も、、、、、、のようなことがあったからです。
 
こんな書きはじめはどうですか。
会話文から書き始めると、インパクト大。読み手の興味を引き出すことができます。

❷  文章中のどこかに笑いを入れる。
戦争の話などの場合は別ですが、感想文のどこかに子供らしい、くすっと笑ってしまうような一文があると、心がほっこりしますよね。


❸  はさみで切り離し、順番を変え、セロテープで貼る。
最後まで書き終えたら、全体を音読します。そして、まとまりごとに切り離します。それをどう並べたらよいかを考え、テープで貼り合わせます。
ワードで文章を書くときに、コピペしながら、文章の組み立てを考えるということを、はさみとセロテープでやるということになります。
わかりやすい文章にするには、文全体の流れ(文の構成)を整えることが大切です。


4 題名をつける。

題名は最後につけます。
「●●を読んで」と書いては、もったいない!
題名は作品をアピールする「顔」です。
感想文全体をひとことで表すような読者をひきつける題名を工夫しましょう。

※最後に、もう一度、声に出して読んでみましょう。
家族の前で読むのもいいですね。小さな発表会です。
みんなで拍手してあげてくださいね。書いてよかったと満足感でいっぱいになることでしょう。




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私も娘が小学生の頃、読書感想文の宿題に付き合いました。私もその本を読んで、「この本のどこが好き?」「ここは、どう思った?」「自分だったらどうする?」と、1つ1つ投げかけて、自分だけの言葉が出てくるのを待ちます。ときには、私の体験や感じたことも話します。1日では仕上がらなくて、3日ほどかかったこともありました。でも、一緒にあれこれ話した時間はよい思い出になっています。

娘は今、文章を書くことを仕事の1つにしています。「小学校のときお母さんと書いた読書感想が基礎となっている」と、言ってくれています。 

コンクールに入賞することや見栄えの良い文章を書くことだけを目指すと、書くことが楽しくなくなります。(実は、私、コンクールの選考員をしていたこともあるんですけどね。入賞するかどうかなんてあくまで結果。そのためだけに書くのでは、寂しい。)
子供らしいほんわか温かい文章が、私は大好きです。そんな文章に出会うと涙が出そうになります。

感想文を書くことで、自分を見つめる時間を持つ。主人公に寄り添いながら変化(成長)した自分に気づくことができる。そんな読書感想文であってほしいと思っています。

 

少しの間だけ家事の手を止めて、読書感想文の宿題につきあってあげてくださいませんか。
何年も経ったとき、きっといい思い出の時間になりますよ。今まで気づいていなかったお子さんの成長に気づくチャンスかもしれません。




 


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