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「人」抜きでは、考えられない。【探求フェスプレイベント参加者インタビュー】

探求フェスプレイベントの参加者へのインタビュー企画第2弾。今回は、大学生のフジモンにプレイベントに参加しての感想や大学でのご自身の活動についてお伺いしました。
話し手:フジモン(探求フェスプレイベント参加者。大学生)
聞き手:鈴木唯、辻村夏穂(探求フェス運営メンバー)

ーーー今日はよろしくお願いします。まず、プレイベントに参加したきっかけを教えてください。

学生団体S.A.L(※1)や国際関係会(※2)というサークルに入っているんですけど、学生団体S.A.Lが(ピースセルプロジェクト代表理事の)高遠菜穂子さんにお世話になっていて。先輩から「誰か行ける人?興味ある人いない?」と連絡が来て、「興味あります。行きたいです」って言って行かせていただきました。

※1:国際問題の知識を深め、啓発することを活動内容として2008年に発足した、慶應義塾大学に本部を置く学生団体。(https://www.salkeio.com/
※2:慶應義塾大学で最古・最大の国際系団体。「国際社会で活躍できる人材の輩出」「義塾の国際化」の実現を目指し活動を展開し続けている。(https://www.keio-iir.org/

ーーーS.A.Lはどんな活動をしてるんですか?

長期休みと授業がある期間で活動が違うんですけど、長期休みだとスタディツアーを自分たちで企画して、グループ作って、アポ取って、海外に行くみたいな。普段の活動は、S.A.Lの中で9つのプロジェクトがあって、プロジェクトごとに活動しています。僕は炊き出しをするプロジェクトに参加しています。

ーーーすごいですね。探求フェスに参加したのは、学生団体で声かけがあってということですが、それでもフジモンみたいに参加された方とそうじゃない方といらっしゃるかと思います。フジモンがお知らせを聞いて、そこから参加しようと思った理由は何でしょうか?

ドキュメンタリー鑑賞とジャーナリストさんがお話してくれるということに惹かれたから。 S.A.Lでドキュメンタリーを作ったり見たりするプロジェクトの副代表をやらせてもらってて、参考にしたいなと。それと、プロジェクトの代表がドキュメンタリー映画『わたしは分断を許さない』を見たいということで、ちょっと行って欲しいって言われました。

ーーー今世界に目を向けられてる中で、ジャーナリズムにも興味が向いているのでしょうか?

大学にメディアコミュニケーション研究所っていうところがあって、そこに所属してて。ジャーナリズムに興味があるから、ジャーナリストの人が来てドキュメンタリーを見れるなら行くしかないと。

ジャーナリスト・堀潤さんの講演では、世界各地で取材したひとりひとりの人生が紹介されました

ーーー堀潤さんの講演を実際に聞いてみていかがでしたか?

物事を見る視点が人それぞれ違う。平和とか戦争に対する思いも違うっていうのが一番心に残りました。

ーーークロージングの時にフジモンが仰っていましたけど、「足元と遠くの両方を見る」って、すごく端的でわかりやすいし、本当にそうだよなって思うところがありました。フジモンは広島出身で、 平和教育の話もされていましたが、自身の生い立ちや育ってきた場所が今の自分に影響を与えてると感じたりはしますか?

東京に来て、広島ならではの教育を受けてきたんだなとは思いました。8月6日には必ず平和祈念式典の中継を見るのが暗黙の了解とか。他の地方とは違うなって思いました。

ーーー平和教育を受けている広島出身の人たちも、人それぞれ広島に対するいろんな思いがあるんだなと思っていて。それを現地で伝えていかなきゃいけない人もいれば、世界に発信しなきゃいけない人もいれば、フジモンみたいに広島の教育を受けた上で関東に来たら、みんなとのギャップを感じてあれ?って思う人もいる。

小1、小2ぐらいから、早かったら保育園から広島平和記念資料館に行かされるのですが、僕も最初は夜寝れなかったですね。学校でも、毎年原爆の日が近くなると、平和教育の時間の展示が学校の中であるんです。教室に、ケロイドとか体からウジが出てる写真とか、ただれてる写真とか、血まみれの写真とか、資料館にあるような写真がいっぱい飾られて、それを絶対見ないといけない。それが強制的にトラウマを植え付けるんだなと思います。今でもあれは怖かったなって思うし、あの時を思い出すとぞっとするんで、トラウマは僕もあるかもですね。

ゲストの講演では、さまざまな視点や新たな発見を得ることができました

ーーー「平和教育ってどうあるべき?」というのも探求テーマになりますね。まずは知りましょう。で、知ったところからどう伝えていくか。伝える側のあり方や、後世にどう伝えていくのかって考えなきゃいけないですよね。幼少期にそれを与えるのって果たしてどうなの?っていうことも。難しいですね。

アメリカ出身の人とかは、そもそも何で日本がそんなに平和が良いと思ってるのかわかんないということもあるみたいで。平和が絶対正義で、戦争=悪と日本の教育は思いがちじゃね?みたいなことを言われて、平和教育自体が必要ないって考える人もいた。必要ないというか、平和教育自体を強制的にやる必要がないんじゃないのかと考えてる人もいて。
平和って他の国だと当たり前じゃないのかなっていうのも衝撃で。それで、広島の平和教育ってちょっと行き過ぎてたのかなと思ったというか。

ーーーそれは、目的の達成、得たいものや利益のためだったら、戦争も仕方ないというか、やって然るべきみたいなことなんですかね。

戦争しなくても、戦争の一歩手前みたいな駆け引きってあるじゃないですか。外交とかを含めると、戦争に繋がること全部が悪いっていうのは違うんじゃないのかっていう。現実として、国家間の繋がりや関係だと、戦争をちらつかせながらも外交していかないといけないから、平和だけを教えるとそういう視点で見れないというか理解ができないんじゃないのかな、と、その人は言ってました。最初聞いた時は、確かに…何も言えねえ…みたいな。

ーーー堀潤さんが講演の最後に、原爆乙女の笹森恵子さんとエノラゲイの乗務員のお孫さんの話をされていました。お孫さんは実際に原爆を落とした人じゃないから当事者ではないはずなのだけど、80年近く経った今も戦争の中をきっと彼は生きているんだろうなと思うと、言葉にできない気持ちになりました。

落とした側と落とされた側が一緒の空間で過ごせるんだな、とは思いました。落としたからもう大っ嫌いみたいな感じじゃなくて、ちゃんと相手の気持ちを考えると話せるのかなって。

ーーー原爆を落としたのはB29とか知識としては教わるじゃないですか。教わるけど、そこに乗ってた人とか、その人のその後の人生とか、そこまで考えてなかったよなと。どの出来事も全部「人」であって、そこに人生があると思うだけでも、色々変わってくるんだろうなと思います。

人抜きで考えられないってのは、探求フェスでも思いました。

クロージングでは、グループで話し合ったことをそれぞれが発表

ーーー平和教育について広島以外の場所で語ることには恥ずかしさを感じると言っていましたが、探求フェスを通して、こういう風に気持ちを変えて行きたいなとか、ちょっと見方が変わったなということはありますか?

自分の持ってるその平和観や戦争観を恥ずかしがらなくてもいいのかなと思いました。人に合わせた方がセンシティブな話題は丸く収まるかなっていう感じで、我慢したり抑えたりする時はあるんですけど、相手によっては自分の思いを言ってもいいのかなと思いました。

ーーーS.A.Lや国際関係の団体に所属していると、そういう話ができる人が多そうなイメージがあるんですけど、普段の大学のコミュニティと今回の探求フェスとで話しやすさは違いましたか?

そうですね。話しやすさは違いました。大学では、国際関係に興味ありましたとか、既に知識がある人が多いので、変なことを言ったら恥ずかしいとか、相手についていけるかなとか、そういう不安があったりするんですけど、探求フェスでは、国際関係を見る上で必要な視点を提示してくださって。集まる人も、専門的な人もいるけどそうじゃない人もいて、自分と同じような人も多くて話しやすいし、いろんな意見が出てくるので、面白かったです。

ーーーそういう風に感じてもらえたのはよかったなと思います。
他のプログラムのこともお伺いできればと思うんですけど、白川優子さんの講演はどうでしたか?


やっぱり戦争って残酷なんだなっていうのは一番感じました。日本で暮らしていると、人の目玉が飛んでいくとか内臓が出てくるとか、多分事故じゃない限り見ないし遭遇しないから、戦争がそういうものだっていうのを想像できないし、あまり信じてなかったんですけど。実際に目の前で、国境なき医師団の方のお話を聞くと、戦争って人間が人間じゃなくなるんだなと思いました。

ーーー今井紀明さんの講演はどうでした?

今井さんが支援している人たちとは世代的に近いと思うんですけど、悩んでる人たちは悩んでるんだなっていうか、周りにあまりそういう人がいなくて。悩んでる子がいないか見えてないかのどっちかなんですけど、人数を見ると、周りにいてもおかしくないんだなと思って。それぞれ金銭感覚が違うと思うので、ご飯を食べに行く頻度とか買う服の値段とか、そういう些細なことで傷つけたりしちゃいけないなと思いました。

ーーー本当はすぐ近くにいるのかもしれないけど、地域が少し違うから見ていないとか、関わることなく大人になってしまった、という感覚は私にもあります。学生団体の活動で炊き出しにも行かれるということですが、経済的に困窮してる方もたくさんいらっしゃる?

大阪の西成に炊き出しに行くのですが、炊き出しする側にも、犯罪を犯しちゃって矯正センターみたいなところを出て、その活動の一環として炊き出しに参加される方もいます。そういう方たちと話してると、育ってきた環境が違うのかなとは思います。
また、炊き出しを受けに来られるのは、ホームレスの方っていうけど、意外と普通に話せるし、優しいおっちゃんみたいだなっていう印象を持っています。

ーーープレイベント全体を通しての感想もお聞きしたいです。

堀潤さんのお話がめちゃくちゃ強烈。僕はジャーナリストになりたい方だと思うんですけど、ジャーナリストになって何をしたいのかがよくわからない。ジャーナリストが格好いいなっていうイメージはあるけど。堀潤さんの話を聞いて、現地に行って、そこの人たちの話を聞いて声を届けるってめちゃくちゃ格好いいなと思ったし、堀潤さんも働きながらずっと学び続けてるし、そういうのって楽しそうだなって思いました。

ーーーアンケートにも「足元と遠くの両方見ること」について書かれていましたが、遠くを近くに感じるっていうのはわかりやすいかと思うのですが、足元の中で遠くを見るっていうのはどういう感覚だと思いますか?

足元って捉えたのが日本で、遠くが海外。日本って恵まれた国と言われるけど、今井さんのお話を聞いて、日本のホームレスや貧困の問題を考えると、海外の貧困の見え方も違ってくるだろうから、ちゃんと見ないといけない。確率が高いのは日本に住むことだと思うので、自分の国をちゃんと知っておくってことも大事なのかなって書かせていただきました。

認定NPO法人D×P理事長の今井紀明さんによる講演

ーーー探求フェスを終えてから、探求を深めたいと感じていることはありますか?

イラクやイスラム文化とかに興味が出てきて。宗教が違うとものの見え方が違うとはよく言われるけど、イラクのことを調べてイスラムのことも調べると、ちょっと違う。中東に関して自分で学んだり、今年の夏トルコとかに行けたらいいなとか思っていたりとか。

ーーーいいですね!8月の探求フェスメインイベントは1泊2日でやる予定です。5月に参加しての意見や要望があればぜひ取り入れていきたいんですが、何かあったら教えてください。

対話の時間を設けてもらうっていうか、今回は同時並行だったと思うんですけど、1泊2日の時は対話だけの時間を取っていただくと楽しそうだなと思います。

ーーーぜひ取り入れて行きます。ありがとうございます。
最後に、フジモンはドキュメンタリーを今後作る可能性があるとのことですが、何を撮るのか撮りたいのか気になりました。


夏休みにフィジーへ行って、フィジーの人の幸福観について撮ることが決まってて。フィジーは世界一幸せな国って言われるんですけど、実際に行ってみて、よくある売り文句じゃなくて本当に幸せって思ってる人が多い国だったんで、彼らにとっての幸せは何かとか、ハッピーの概念とか、僕たちと違う時間の考え方とかを撮って発表したりする感じ。

ーーー世界一幸せ国=タイっていうイメージだったんですけど、フィジーもそうなんですね。 途上国だけど世界一幸せな国ってすごい。気になります。

終始柔らかな表情を湛えながら、ご自身の想いや経験を噛み締めるように話してくれたフジモン。学生団体での活動内容、スタディツアーでの経験、広島での平和教育や海外から日本を眺めた時に感じたことなど、幅広いエピソードを聞かせてくれて、今回もまたたくさんの刺激とエネルギーとをいただきました。フジモン、ありがとうございました!
(編集後記:唯)

探求フェスの今後のイベント予定

『探求フェス』ってなに!?~説明会&プレイベント報告会~

一般社団法人ピースセルプロジェクト
▶︎日時 6月3日(月)19:00 - 20:30
▶︎会場 オンライン(ZOOMにて実施)
▶︎チケット代 無料
▶︎チケット購入方法 Peatixより申し込み(下記リンクからお申し込みください)

探求フェスメインイベント 

▶日時 2024年8月25日(日)13:00〜8月26日(月)16:00
▶会場 長瀞げんきプラザ
▶︎参加対象 学びを深めたい方*年齢制限なし(多世代間での学び合い促進のため)
▶︎参加費・プログラム等の詳細は、今後順次リリース予定


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