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自然界のウラに隠れた算数とは?〜自然科学者(おしごと算数#10)〜

小学生向け探究学習プログラム「なりきりラボ®」「おしごと算数®」(2019年度グッドデザイン賞受賞)。子どもたちの探究心や創造性を刺激する、数十の職業が詰め込まれています。マガジン「なりきりラボ・おしごと算数の世界」では、その一つひとつのタイトルの魅力をご紹介します。今回は、「自然科学者」(おしごと算数#10)です。

<プログラム開発者、いわたくに聞きました!>

いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、㈱a.schoolを創業。探究学習塾エイスクールを運営するとともに、さまざまな探究・創造的
教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

ー 「自然科学者」ではどんなことを学ぶのですか?

「おしごと算数®」はその名の通り、算数と社会や仕事との繋がりを探究していくプログラム・シリーズなのですが、学校で学ぶ「算数」は「身の回りのあらゆるもの」と繋がっているということを体験して欲しい!という願いが原点にありまして。さまざまな仕事を切り口に身の回りの物事をプログラムに組み込んできましたが、未だカバーしきれていなかったのが「自然界」という分野でした。

改めて俯瞰してみると、自然界は算数に溢れているんですよね。ハチの巣は「正六角形」で出来ていたり、一見同じような金属には「密度」という違いがあったり、ぽとんと落ちた木の実が跳ね返る軌跡を辿ると「放物線」が描かれたり・・・。そこで今回は、算数と自然界の隠れたつながりを、生物・化学・物理という3つの観点から、実際に手を動かして体感・発見してもらうオムニバス形式のプログラムとしました。

テーマが自然界全般と広範囲なので、登場する算数の分野も多岐にわたります。生物では「図形・数量」、化学では「立体・比・割合」、物理では「直線/曲線・数式」といった具合ですね。オールスターとも呼べるラインナップになっています。

ー 学校で学ぶ「理科」に近いような印象を受けたのですが、今回の「自然科学」とはどう違うのでしょうか?

たしかに、理科や科学の分野が主な対象となりますが、いわゆる「小学理科」をイメージされると、ちょっと違和感があるかもしれません。

1つ目の違いは、小学校で学ぶ範囲には留まらないということですね。例えば化学にまつわるワークでは、分子模型を作るミッションに挑戦します。原子・分子は小学校の理科では扱いませんが、分子構造の土台となる考え方には、小学校の算数で習う「比」が使われています。子どもたちにとって"酸素"や"二酸化炭素"は「どこかで聞いたことはあるけど、よく知らないもの」かと思いますが、今この瞬間学んでいる算数との繋がりがあると知ることで、興味関心が高まりやすくなります。

とはいえ、クイズなどをとおして小学生向けにわかりやすく噛み砕いた解説も用意しているので、ご安心を!

もう1つの違いとして、学校の理科では扱わないような体感的なワークを採り入れていることが挙げられます。

雪の結晶やブロッコリーなど、「一見複雑な形をしているが、とあるルールに沿って構成されている構造」が自然界には多く存在しています。これを「フラクタル構造」と呼ぶのですが、実はとても算数的でシンプルな規則性に基づくものなんですね。裏を返せば、規則性さえ掴めたら、複雑かつ美しい「フラクタル図形」を描くことができるんです。そこで、みんなで描いてみよう!という実践してみることで、算数的な思考を働かせながら自然界の美しさを体感する、論理と感性を掛け合わせるような「自然科学者」ならではの学びを得ることができます

ー 小学算数が根底にあるからこそ、小学理科の範囲を超えて自然界の不思議に迫ることができるんですね!『探究学習100』のプログラム・シリーズにはほかにも、「研究者」(なりきりラボ®)のような一見すると似通ったプログラムがありますが、相違点はどこにあるのでしょうか?

「研究者」では、「自分で研究・実験をする」ことに重点を置いています。「問い→仮説→実験→考察」という研究サイクルを実際に何度も繰り返す、まさに「研究者になりきる」プログラムです。

一方「自然科学者」は、「自然科学の世界を知る」ことにフォーカスしています。その過程で、図形・比・密度・長さなど、たくさんの算数的要素に出会えるのが最大の醍醐味です。

また「自然科学者」では6週にわたりあらゆる切り口から自然界と算数の繋がりを体感したうえで、最後の2週間で「興味を持ったテーマのさらなる深掘り」を行います。自分なりの問いをゼロから探し出す「研究者」とは異なり、(先人が積み重ねてきた研究結果の先をのぞこうとする)「巨人の肩の上に乗る」体験ができるのも大きな特徴です。

ー なるほど、それぞれに特徴があるんですね!2ヶ月間かけて学んだことが、さらに夏休みの自由研究へと発展すると面白そうですね。

そうですね、特に自分が興味関心を持てる自然科学のテーマを発見し、研究の第一歩を踏み出すきっかけづくりとしてはすごく良いかなと思います。例えば、図鑑を読むだけでも自然科学への興味関心は湧きますが、いざ自分で研究しようとしてもその方法論がわからず戸惑ってしまうことは少なくないかと思います。

対して「自然科学者」では、幅広いテーマとそれに紐付いた多様なワークを用意しているので、まずは気に入ったワークを続けてみる、少しだけ発展させてみるなど、研究に向けた初めの一歩が踏み出しやすくなっています。

より本格的な研究の手法については「研究者」のプログラムで学んでもらうとして、理科が好きな子も苦手な子も、「自然にはこんなにたくさん算数が隠れているんだ!」とたくさん発見して、科学の世界をどんどん探究し続けて欲しいですね。

▼ 「自然科学者」のプログラム詳細

▼ 全国の校舎で開講中!


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