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デッドリフト強化方法 〜ウエイトリフターの美しいフォームの秘密〜

はじめに

デッドリフトにおいて、私が最も重要だと考える点は、体幹の姿勢です。スクワットも同様の要素が重要でしょう。
しかし、直接動作を目視で観察するだけでは、適切な力の入れ方が分かりにくいという課題があります。

特にウエイトリフターは、爆発的な速度のデッドリフトが求められるため、パワーリフターに比べて瞬間的に強力な体幹の姿勢保持が必要とされます。ウエイトリフターの視点から見た、姿勢改善のためのポイントを、このノートを通じて全てのトレーニング愛好家に共有できればと考えています。

腰を曲げずにデッドリフトを行うことのメリット

そもそも、強い力を発揮するのは、股関節と膝関節であり、腰椎の伸展による力の発揮は、前者の2つの力に比べれば、かなり力の出力が弱いものだと推測されます。
なぜなら、股関節伸展に寄与する筋肉は、(大殿筋、ハムストリング等)が、腰椎伸展に関与する筋肉(脊柱起立筋等)よりも圧倒的に大きくて強力であるためです。
そのために、股関節、膝関節主動によるデッドリフトは背骨の安定による様々な関節損傷への予防、大臀筋、ハムストリングの活性化による筋力発揮の向上が考えられます。

股関節伸展と腰椎伸展によるデッドリフト
動作の違い
赤くマークしたところが主に働いている

上記のイラストを見てもらえばわかるように左側の図では、股関節を中心に上半身が起き上がっているのに対して、右側の図では股関節(三角形の部)はほとんど動かずに、背骨の反り返りで上半身が起き上がっているということがわかります。

腰が曲がらないための対策

股関節外旋

日本発祥のデッドリフトの方法にフロッグスタイルや相撲スタイルがあります。これは基本的につま先を外側に向けて、膝をつま先と同じ方向に出して股関節外旋状態でデッドリフトをする方法です。

フロッグスタイルでデッドリフトを行う本多選手


個人差はありますが、このような形でバーベルを引くことによって、股関節の可動域が広がるという選手が多いと言えるかもしれません。
実際に、股関節外旋状態でないと深くしゃがめないという選手もいます。
しかし、関係する論文を探しましたが、見つけることができませんでした。

スクワットにおいても同様に、このようなスタンスを取ることによって、腰椎の屈曲が軽減され、股関節をスムーズに曲げることができると考えられます。

タンク式デッドリフトメゾット

ある研究を紹介いたします。
デッドリフトを各フェーズに分けて筋電位を観察すると、第一フェーズでは主に大腿四頭筋の筋活動が高まっています。第二フェーズでは、ハムストリングスの筋活動が特に高まっています。

第一フェーズ:バーベルが床から持ち上げられる状態
第二フェーズ:バーベルが膝の高さまで持ち上げられる状態
第三フェーズ:バーベルが最後まで持ち上げられる状態

"Electromyographic comparison of the barbell deadlift using constant versus variable resistance in healthy, trained menより筆者作成

Vidar Andersen, Marius S. Fimland, Dag-Andrè Mo, Vegard M. Iversen, Tommy M. Larsen, Fredrik Solheim, Atle H. Saeterbakken

なおかつファーストフェーズの股関節角度は、ほとんど変化がない選手が多く、膝関節が開いていくことによってバーベルが挙上していきます。

これらの筋肉の特異的な筋活動を考慮して、新しいトレーニング方法を提案しています。
それはタンク式グッドモーニングタンク式デッドリフトです。

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