2月のAI関連-気になるニュースまとめ「文化審小委」「幼児向け生成AI」「プログラミングの学習」

2月ももうすぐ終わりと言うことで、せっかくなので2月中のAI関連のニュースをまとめます。個人的な意見も含んでいるので、そういうのを見たくない人はリンク先のソースをご確認ください。
また、長いので気になるところにだけ、もくじで飛んでいただければと思います。


文化審小委、生成AI機械学習の考え方まとめ

文化庁が主催している、文化審議会小委員会は2月29日、生成AIにおける「機械学習」の権利侵害例などの「考え方」を公開しました。

概ね、AI側に有利な印象を受けます。個人的には今時点のものは、現実に即しており、空想的では無く、非常に良い内容だと思います。

重要な点は、「AI禁止」と記されたコンテンツも機械学習での使用が許容されるという解釈です(著作権者の利益を「不当に害する」とは考えられない)。

例えば、こういったものはよくX(旧Twitter)で見かけますが、そもそもXはAI開発のために機械学習に使えるとしているため、何かおかしいですね。
もっとも、イーロンマスク及びXのAI開発に自由に使っていただいて構いませんが、しかし、その他のAI開発に使って欲しくない、という意味なのかもしれませんが。

サービス利用時には、利用規約をしっかり読み理解することが重要です。

さて、他方で技術的に防止している場合は、侵害となる恐れがあるとの見方も示しています。その通りだと思います。家に鍵をかけて、それを開けて、というのと似ていることかと思います。突破できたからと言って、入っていいわけでは無いと思います。
逆にXの件で言えば、いわばAI大好きイーロンマスク国のXという土地を無償で貸したところ、そこで何か始めて更にAI使用禁止と看板を立てているようなものです(後からイーロンマスクが侵攻してきたとも見て取れますが)。
どうしても嫌なら、自分でドメインを取得して、プラットフォームを作れば良いと思います。割と安価にできますし、そうしているクリエーターも多いです。

概ね、それぞれの立場でかなり幅があるようですが、3月もまた同様に発表があるので気になるところですね。

余談:Xの収集する情報の範囲

あまり気にしていない人も多いとは思いますが、機械学習に使用されることをはじめとして、その他にも結構個人情報を収集しているということを意識した方がよいでしょう。

当社はまた、本ポリシーで概説されている目的のため、当社が収集した情報や一般公開された情報を、機械学習または人工知能モデルのトレーニングに使用することがあります。

Xのプライバシーポリシーより

これだけだと読めませんが、将来的にXの生成AIが、画像生成機能を搭載したときに、何か分かることがあるかもしれませんね。

ベネッセが幼児向け生成AIを発表

ベネッセとソフトバンクロボティクスは2月27日に、生成AIを活用した、キャラクターと会話できるサービス「AI『しまじろう』」を開発したと発表しました。

見た瞬間にスティーブ・ジョブズが自分の子どもにiPadを与えなかったエピソードが思い浮かびました。

この開発をした人は、自分の子どもがいたときに、その子どもにこのサービスを使わせるのでしょうか。
幼児期の教育に関しては詳しく無いので分かりませんが、あまりにもディストピアが過ぎる気がしますが大丈夫でしょうか。

確かに、子どもが静かになるからと、スマホでYouTubeやら、アンパンマンを見せ続けている人は見かけます。気持ちは分かります。そういったことに関しては各家庭の話なので、良い悪いの話ではないと思います。
これを是とするご家庭には、最高のプロダクトだと思います。

あと、もう一点気になるのが個人情報の収集される範囲です。
何を収集して、何を収集しないのかが気になるところです。
ベネッセおよびソフトバンクの関連会社は、過去大規模なやらかしをしています。こういった点からも、ガバナンスが正常に機能しているのかは、一般人からすれば疑問に思うところです。

ちなみに、ベネッセからは昔図書券か何かもらった気がしますね。
さて、その昔図書券をもらった子どもが親になって、またお世話になると考えているのでしょうか🙄

下記は昔のお話です(本内容とは直接の関係はありません)。

AIを教育に活用するというのは、個人的には賛成です。
しかし、扱う年齢制限は設けるべきだと思います。また、責任ある大人の指導の下で適切に扱われるべきです。
AIを使った学習はどうなるかというのはまだ未知です。どんな専門家も色々語りますが、憶測の域を出ません。我々はまだ、完全にAIに教育された人間を作れてはいないためです。

ただ、少なからず小学校、中学校、高校にはベースとして入れて良いとは思います。AIは子どもに性犯罪はしないので、それだけは安全かな、くらいがはっきり分かることですかね。
そして可能ならば「三つ子の魂百まで(左記は誤用ですが、スズメ百まで踊り忘れずよりは伝わるかと)」という諺にもあるように、確かな信頼できる人と人との関係と、同じ年頃の子どもとの社会的な生活を経験するというのは、極めて重要だと考えます。

プログラミングの学習は不要なのか

NVIDIAのCEOが「プログラミングを学ぶ必要は無い」という発言をしたことが波紋を呼んでいます。この意見には賛否両論が存在しますが、個人的にはこの発言は半分正解で、半分間違っていると感じます。
プログラミングを学ぶことの価値について、以下に深堀りしてみます。

まず、NVIDIAのCEOがこのような発言をした背景には、技術の進化が大きく関係していますね。
現代ではAIや機械学習の技術が飛躍的に発展し、プログラミング知識がなくても高度な技術を扱えるツールやプラットフォームが登場しています。
例えば、自然言語処理を使ったアプリケーションの開発が、専門的なプログラミングスキルなしに行えるようになっています。これは、OpenAIが提供しているChatGPTや、企業によっては導入しているGitHub Copilotを見れば明らかです。
(自分もたまにChatGPTで作っていますが。)
このような背景から、プログラミングの学習が以前ほど必須ではないという意見が出てくるのは理解できます。

一方で、プログラミングを学ぶことの重要性を全く否定するわけにはいきません。
プログラミングを学ぶことは、単にコードを書く技術を身につけるだけではありません。
論理的思考や問題解決能力を養うこと、そして何よりも自らが直面する問題を根本から理解し、その解決策を見出す能力を高めることにも繋がります。
特に、新しい技術やツールが登場する速度が速い現代では、その背後にある原理やロジックを理解することが、より深い理解や応用へとつながります。

また、プログラミングは創造性を発揮する手段としても非常に強力です。
自分のアイデアを形にする過程で、プログラミングは重要な役割を果たします。
この点においても、プログラミングを学ぶことは有益であると言えるでしょう。

さらに、プログラミングスキルは多くの職業で求められています。
技術が進化する中で、プログラミングが直接的な職務でなくとも、その理解が業務の効率化や新たな価値の創出につながる場合があります。

結論として、NVIDIAのCEOの発言には一定の真実が含まれているものの、それでプログラミングの重要性がなくなるわけではありません。
むしろ、プログラミングを学ぶことで開ける世界は広がっており、個々人がその学習をどのように活用するかがより重要になっているのではないでしょうか。
テクノロジーが進化する中で、プログラミングを学ぶことの価値を再考する必要があります。

さて、そうなってくるとどうなるのか。結局、PG(プログラマー)的な職業は厳しいと思います。他方で、SE(システムエンジニア)的な働き方はまだまだ可能性があると思います。
システムを開発する上で、顧客折衝を要する局面は多いです。その点はまだ人間の方が優れてます。これは、まだ当面続くと思います。
(もう少し広げて話すと、顧客が欲しいと思っているものが、本当に欲しいものとは限らないのです。今のところAIは正直にそのまま作るので、結果依頼した側が???となることもあるわけです。)

プログラミングというものが、絵を描く(つくる)と同じように、全く特別なスキルでは無くなってくるのは確実です。そこに、どのような付加価値を見いだせるのかがまた重要なのでは無いでしょうか。


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