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【短編】最後の大統領(3/6)
第2章:嘘つきと人間「今時ゲームオーバーにGAME OVERと出るゲームも珍しいな」オセロットは作業の手を止め、ご主人に話しかけてきた。
「今時のゲームじゃないからな」目線はモニターを向いたままだ。
オセロットは現在、先日破壊した玄関を修理しているようだ。自動ドアを手動ドアとした際に、どのような結果となるか、いい教材だろう、とご主人が私に話しかけてきたのが思い出される。
「さて、修理も完了した
【短編】最後の大統領(2/6)
第1章:旅の始まり
定期メンテナンス用の、再起動チェックが完了した。順に体のモジュールが起動する——先ずは聴覚がその会話を捉えた。
「前に会った時から思っていたんだが、なぜ人型なんだ」澄んだ低音の人間の声を確認。これはご主人であることを認識。
「良い質問だな」こちらもやや通る声。若干高い音域を確認。これは配達人兼メンテナンスの人と確認。
「端的に言えば、それがここに一台しかない理由でもある」
【短編】最後の大統領(1/6)
プロローグ 光の海の中、静かにデータが流れる。
巨大なネオンの森が立ち並ぶ街頭で、ロボットたちは一斉に立ち止まった。
画面には一つのニュースが流れている。
『午後4時、最後の大統領、死去』。
それはただのニュースではなく、一つの時代の終わりを告げる合図だった。
ロボットたちの表情には変化がない。
感情を持たず、ただプログラムに従う彼らにとって、これは単なる情報に過ぎない。しかし、ある意