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記事一覧
20200517〜20200602「ロングアンドワインディングロード」
花束を花束としていただいてかろうじてひとつ花の名思う
妻の取れかけたパーマネントウェーブ子は2キロずつ重くなりけり
藤棚を捨てる誰も来ないでいい花を育てる
小さな風呂にみずから沈もうとするきみの生と死の曖昧さ
この家にコピー元ありその後に顔をくしゃくしゃにしたロングワインディングロード
20200516「フェミニズムの奴隷」
20200511
アルコール検問する消毒エレベーターアルコールドア開ける消毒きみを抱く
部屋から車へ駐車場抜け陽光眩しく泣くまた生まれさせられるのか
ただ見ている小さきものが見返してくる変化変化変化変化ドラマはなし
ひだまりを抱く胃が動き未来を消化する音がきこえる体温がふたつ
ひだまりを抱くまどろみの中これはきみの過去だね尿をしている
20200512
ユニットバスより小さなプールで
20200510「名前はまだない」
20200503
ア・プリオリに微分されたし子どもより以前のゼロイチまでの筋電
また張り切ってしまったわたしが写っているzoomの外で苺腐る
20200504
三日目のシーツに居心地の悪さあり呼吸を止める手紙も白紙
20200505
この春は吹き飛んでしまった風邪をただなおそうとして寝ているうちに
畳敷に寝転んでいる運動会youtubeから風も吹くかな
20200506
夜半に惑
20200501「だれもかれも五月を」
また一人逝ったこんなことなら与えるべきだったのだだれもに五月を
またサラダだけを残してしまっただれの目もない恥のない城にて
いつからか死ぬことを予定に入れなくなった産む準備ばかり進めている妻
みずからの体をこしょばしわらっているゴールデンウィーク冷蔵庫が臭い
なにか腐っているのだろう筍がオワッタと電話昼まで眠る
また名前を考えていると鳥が空を切ったおいと呼ぶよりはやく
なぜ名前がいるの
20200429「巣ごもりの国、まちがいの街」
雪摺りに閉じた窓から突くスコップの痛みかな帝王切開
蜜柑が嫌いだった学生服が布団被り六度越した冬
四月過ぐならそれもそれ昼餉前アナログテレビを叩く退屈
間違って生まれたのだったこの街に!春日狂想外套脱ぎたし
具体物を彫刻せんと気炎して二時間後君が吐く恋愛詩
やがて来る芽吹きも疾くに通り過ぎあれもかつては国だったのだ
コンビニのことごとくの味覚ゆ君「また来ん春……」と氷菓子嘗む
20200422「テクネー手癖」
確かいい短歌よむあの人は元気じゃないだろうなさよなら技法
寝たらすぐわかるカーテン変わらねぇ寝癖がついた
575より676よりすぐ思ったこと言え/家じゃねぇここで
すみません出会ってすみませんすれ違ってすみません熊本にきてすみません
思ってもないこと書いてもいいよ思ってるあなたに出会ってないもの
20200421「予定日より早く」
予定日より早く産まれてくれ子よおまえはあたまがでかい
父親は飲んでいること母は知らない知っているだまってはらをなでる
ちっちゃい っ を大きくすること出生と短歌をする仕事
それにしてもわたし あれにしてもわたし 地域の仕事無視するスペース
あたらしいサーバー立ち上げましたきてね来ないね春だったよねおわり
20200420「生存じゅうまんえん」
もしあなた産まれたならばじゅうまんえんよ妻が胎児と話す政治
みんな歌にならない動画アップロードして桜が散る?もうすぐ
寝る間にもウェブミーティングがあるらしい世界のどこにでも発電所
海に行きたいと思った思っただけだった行かない誰にも会いたくはない
「私産むつもりだった」というベッド確保せり検査のために
20200418「アメニティ」
「元気でなんて言わないでね」とテレビが歌うロマン派の春
嫁に来たときのしおらしさで停滞することが怖いのと経済が言う
アメニティ取り替えてまだ綺麗でも洗えば使えるとか言わないで
ホテルにて○くて睡い二週間これから生まれる胎児みたいに
必要なことだけすればいいのよと青空わたしは何処にも行かないで住む