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本「完全版社会人大学人見知り学部卒業見込」|メタ認知と言語化

オードリーの若林の方で有名な若林さんの本をやっと読んだ.
ネガティブがゆえに内面に閉じこもり思考を巡らせ沼に沈んでいく若林さんの苦しさとそれでも少しずつ社会を知って変わっていく様子もびじびじ伝わってくる素敵な本だった.

自分の頭の中でぐるぐる悩んだり考えたりすることは大抵いい結果を産まなくて,正解にたどり着く可能性は限りなく低いけれど,悩んでいる過程の中で自分だけが見つけた方則だったり,思考の癖だったりを知ることに大きな価値があるのだと思う.

このような行為はメタ認知と呼ばれるものに当たり,若林さんはメタ認知がとてつもなく上手なのだと感じた.そして,それを言葉にし,文章にしてなんなら読者を笑わせてくれるような文章にしてくれるのは本当にすごいスキル.最初から最後までずっと面白かった.他の著作も読んでみたい.

刺さった文章

例えばさ、僕のようなクズは目上の人を尊敬することで、挨拶ができるようになったんじゃなくて、社会って挨拶を丁寧にすると好感が持たれるんだろ?ビールを注ぎゃあ、簡単に気持ちよくなるんだろう?って完全に見下してから、きちっと挨拶できるようになったり、ビールが注げるようになったクズなんですよ。でも、そんな入口からじゃないと進めないような人間もいるんですよ。

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 p241

社会的なマナーに心底納得して行っている人なんてそもそもいるのだろうか.全員手酌で酒を飲めばいいし,乾杯のときのグラスの高さなんて本当は見なくてもいいはず.そんなある意味不合理なルールに対して,とりあえず従うことができる人もいれば,そうでない人もいる.

納得できない感情を隠すことができずに,見下してからやっと一歩踏み出せる人もいる.でも,結果としてマナーを守ることができているんだったらそれでいいじゃない.腸煮えくり返っていても感情と行動を上手に切り離すことができる人を僕は心の底から尊敬したい.すごいよ,若林さん.

彼女になぜここまで執着してしまうのか。社会や世界から何も認められていない気になっていた僕は、彼女に承認されることが唯一のこの世に存在していい理由だったのではないか?執着の理由はそこだなと突き止めた。だから、振られた次の日に、「この世にいてもいいビザ」を失効したような気持ちになっていたのだ。

完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 p259

「十年ぶりの失恋」の回が一番好きだ.恋人に振られた若林さんが,単に振られて悲しかった,で終わりにせずになぜここまで大きな喪失感を感じたのかを徹底的に掘り下げて言語化し,対策を考えて行く過程が本当に素晴らしい.ここまでメタ認知できるひとそうそういないだろう.

若林さんがたどり着いた結論は,「自分の力で」自己肯定感を高めることがより正しく他者と付き合っていくことにつながる,ということ.たりない自分の機嫌を自分で取って,少しずつ自分を好きになっていく努力が最終的に自分以外の人を大切にすることに通じているのだ.

自分一人でも楽しく生きられるひとであればあるほど,誰かとも一緒に楽しく生きられる.自分一人だとなんにも楽しくない人が誰かと親しくなれたとしても,自分はなんにもできないのに求めてばかりで自分勝手になってしまう.

自分のことを自分が一番愛することができているのならば,他者を下げる思考になる必要なんて無いし,他者からの承認を永遠と求める必要なんて無いはずだ.自分で自分の面倒を見る.これが一番難しいんだよな~


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