映画「ヤクザと家族」|しらすでしのぐヤクザ
ヤクザのセカンドキャリアってどうなっているんだろう,そんな疑問をリアルに描くことで疑似体験することができる映画だった.
3つの時代に分けてヤクザを描くことで,社会におけるヤクザの立ち位置がどのように変わってきたのか,どうやって生活しているのかを知ることができとても勉強になった.
以下感想殴り書き,ネタバレあり
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ざっくり所感
ヤクザとしのぎ
ヤクザ映画といえば,抗争や銃撃戦,圧倒的な暴力が面白さの中核に置かれているようなイメージが合ったが,この作品においては,衰退していくヤクザの組員はどのようにして生きていくのか,悪事のやり方がどう変化していくのかが詳細に描かれており,ある意味ドキュメンタリー的な楽しみ方ができる作品だと感じた.ちなみにしらすで生きていけんのかと思って調べてみたらうなぎの稚魚の密漁のことだった.いろいろ興味深いデータも.
しらすでしのいでいるヤクザ
しらすはしらすでもうなぎのしらす,要は稚魚である.国内で流通しているうなぎの稚魚の4割が違法流通しているものであり,もとを辿っていくとヤクザにたどり着くらしい.
覚醒剤をばらまくよりは比較的低リスクで儲かる裏ビジネスなので,映画内での見た目に比べてそんなにみじめなしのぎというわけではないみたい.もちろん,幹部クラスのじいちゃんが完全装備でシラスとっているシーンは普通に漁師のじじいに見えてちょっとだけ,悲しかった.人は見た目が9割.
ヤクザが家族
映画のラストシーンがたまらなく良かった.「お父さんどんな人だったの」というセリフが持つ,彩が賢治の娘だということと,彩が自分と同じで今はいない父親のことを知りたいと思っているということ,この2つの意味をその場で解釈したうえで優しく彩に語りかける翼の表情がこれ以上なく素晴らしく素敵だった.もう半グレみたいなことはしないで,勉強して健やかに育って欲しい・・・本当に・・・
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