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スペイン語は本当に簡単なのか?

セールスコピーライターの谷本 理恵子です。
このほど、ひょんなきっかけから、「スペイン語」を勉強しはじめました。

「スペイン語は、簡単だ」という人がいますが、騙されてはいけません。それ、ポジショントークです(知らんけど、たぶん)。だって、そんなことを言うのは、たいてい「スペイン語を勉強する人を増やしたいな」という下心がある人たち(スペイン語を教えている人など)だけですよね?

実際、「スペイン語は、日本人にとって発音しやすい」などという言葉に、まんまとのせられて、大学時代の第二外国語にスペイン語を選んだ人たちが、どれだけ苦労したのかを、私は知っています(みんな、テスト前に死にかけていました…)。

ちなみに、大学生だった頃の私は、単に「うちの母がフランスが好きで、フランス語選択をやたら推してきた」という理由で、なぜかフランス語選択でしたが(本来は、法学部だったので、ドイツ語を選択すべきところだったのですが)、正直、だいぶ楽させてもらったと思っています。

なにしろ、フランス語の単語は、英語とかなり共通している。しかも、似通った単語は、発音も英語と近い。さらに、「カタカナ」として定着している単語も結構あるので、新しく覚えなきゃいけない単語数が少ないし、「巻き舌」みたいな複雑な音もなく、発音上の混乱も少ない(Rがハ行みたいな特殊な音になるくらいだったと思う。「ボンジュール」じゃなくて「ボンジューフゥ」みたいな)。

なので、大学時代のテスト勉強も、そこまで必死に勉強しなきゃいけないわけでもなく、2年間授業で真面目にやっていれば「あ、案外話せるな、聞こえるな」という感覚になっていました(もちろん、極めようと思えば、とんでもなく先が長いのは当然ですが、入門レベルとっつきやすさの話をしています)。要するに、曲がりなりにも、学校で「英語」を習った経験がある日本人にとっては、実は、フランス語って、そんなに大変じゃないはずだ、と私は思っているわけです。

考えてみれば、フランス語の場合には、「簡単ですよ」アピールをしてきませんよね。「いやー、動詞が人称によって変わるし、発音もそんな簡単じゃないよ」みたいな雰囲気を醸し出している気がしますが、いやいやいや。むしろ、そこまで難しくないから、簡単アピールをしなくていいだけでしょう。「英語って簡単だよねー」なんて、あえて言う人があまりいないのと同じ理屈です(実際には、他の言語と比べるなら、英語の文法が簡単なのは周知の事実で、だからこそ世界共通言語になっているわけですが、わざわざ簡単だとか強く言う必要ないですよね)。

けれど、そんなフランス語に比べて、やたらと簡単アピールをされがちなスペイン語は、いざ始めてみると「うわー、これは、ハードル高い!」ってなる人がほとんどだと思います。

そもそも、英語とフランス語とスペイン語とイタリア語あたりは、親戚にあたる言語です(インド・ヨーロッパ語族。厳密に言うなら、中でも英語はドイツ語と同じ「ゲルマン語派」で、その他は「ロマンス諸語」というラテン語系の言葉なのですが、ヨーロッパの諸言語間の距離の図解を見ると、なぜか英語は「兄弟であるドイツ語」から遠ざかって、フランス語の方に強く引っ張られている感じになっているのが不思議)。なので、スペイン語は、全然知らない言語というほどでもなく、過去の英語の学習経験がちょっと活きたりしないかなと思わせてきますし、特に、フランス語を勉強した経験があると、ぱっと見た瞬間に「あ、似てるな。なんとかなりそう」と直感的に思ったりもします。たとえそうでなかったとしても、やたらと「スペイン語は簡単」って暗示をかけられていますから「いや、大丈夫、簡単なはずだ」と自分に言い聞かせながら進めるわけですが…

客観的に冷静に考えるなら、ですよ。やっぱりスペイン語って、相当難しいと思うんですよね。英語をそこそこ話せて、フランス語もやったことがある私の体感で恐縮ですが、英語の10倍、フランス語の5倍くらいは難しい気がします(世の中に出まわっている「習得までに必要な学習時間」のデータとは、まったく一致していない、初学者のごく個人的な感覚にすぎませんけどね)。

つまり、単に「難しいものを難しいと言ってしまうと、そこで終わる」という理由で、スペイン語に携わっている人たちは、「スペイン語って、簡単だよ!」とか、「世界でこんなに多くの人に話されてるんだから、どうにかなるよ」「発音だって、ローマ字読みでいけるし、日本人にとっては、もっとも学びやすい言葉だよ」みたいなことを言ってくるのであって、そんな甘い話ではない、というのが本当のところなのではないでしょうか。

何がそんなに難しいのか?

おそらく勉強したことがある人であれば、みんなが口を揃えて言うだろう、スペイン語の一番の挫折ポイントは「動詞の活用」です。活用って、「私」が行動するのか、「あなた」が行動するのか、「彼や彼女」が行動するのかなど、人称によって、動詞の形が変わるという、あれですね。

英語でも、はじめて習ったときに「三単現のS」に苦労しますよね?
うちの息子は、高校生になるまで「名詞を複数形にするときにSがつく」のと「三人称単数現在形の動詞にはSがつく」の違いがわかっていませんでしたし(今は、そこそこ名前の通った大学に通っているので、人生何がどうなるかわかりません)、そこまででなくても、なぜ「I like it.(私はそれが好き)」 が「She likes it.(彼女はそれが好き)」になると、突然「S」をつけなきゃいけなくなるのか不明なまま、ひたすらテスト対策で覚えただけの人も、多いんじゃないでしょうか。

でも、スペイン語やると、なんで「S」がつけたくなるのかが、直感的にわかる気がしてきました。英語においては「三人称単数現在形」だけに名残が残っていますが、スペイン語は、すべての人称で動詞が変形します。もちろん、言語なので不規則なところも多々ありますが、ざっくり言うなら、原形だと「-arとか-erとか-ir」で終わる動詞の語尾が、「私」が主語だと「-o」、「あなた」が主語だと「-asか-es」、「彼・彼女」だと「-e」みたいに変わっていく。

しかも、複数形も違った形になるので、「私たち」なら「-amos」とか、あなたたちなら「-ais」とか、「彼ら彼女ら」になると「-an」とかになっていきます。

で、ここまでは、フランス語でも同じようなものなので、「あー、はいはい。これ覚えなきゃ話にならないやつね。四の五の言わずに、覚えりゃいいんでしょ」と思ったのですが、ここで衝撃の事実を知ることになります。

スペイン語では、主語が消える

「主語が誰か」によって動詞の形が、確実に変わっていくということは…「動詞の活用を見れば、誰が言ってるのかわかるから、もはや主語いらんでしょ?」となるのは、非常に合理的な判断ですよね。えぇ、理屈はわかります。

でも、主語を消すってことは、逆に言えば、「完璧に動詞の活用を覚えてないと、誤魔化せないってことよね?」「聞いた瞬間に、人称がぱっと浮かばないと、何の話してるのかわかんないってことよね?」ってなりますよね(たとえば、「思う」って動詞しかない状態で、主語が消えているとすると、「私」が思っているのか、「あなた」が思っているのか、「彼女」が思っているのかすらわからない)。

しかも、主語が消えるとなると「どうやって覚えればいいんだ」問題も発生します。フランス語学習などで一般的な記憶の方法である「主語と動詞をセットにして覚える」という方法が、機能しないからです。英語で言うなら「I am」「You are」という感じで、続けて言うことで、活用を覚えましたよね?それと同じで、フランス語でも「Je suis」「Tu es」と言う感じで、音の並びに慣れて、つながって口から自然に出るように覚えたのに…

スペイン語のように「普通は、主語は省略するよね」という言語だと、必然的に「あえて主語入れるのは、特別に、主語を強調したい時だけだよね」になるわけですから、主語なしで、すらっと言えないと、どうにもならない

「でも、ネイティブは普通にしゃべってるわけだから、慣れればどうにかなるでしょ」と思い直しはしたものの、この時点で「どうしてもスペイン語をやりたい!」というモチベーションがかなり高くないと「うーん、これ覚えるの、しんどいかも…」となるのが当然だと思います(私自身も、この時点で、一度挫折しています。本を買ってパラパラ見て、今はまぁいいかと、一度は見送りました)。

過去も未来も、動詞の活用で作るの?

でも、そんな程度のものじゃなかったということを、すぐに思い知ることになります。さらに「うーわ、きっつー」と思ったのは、「過去形」と「未来形」の作り方です。

当初、動詞の「現在形」の活用を覚えるのに必死で、その先のことは何も考えていなかったのですが、当然ながら「現在形」だけで、いいわけないですよね。単に、語尾に「-ed」を つければ過去になり、「will」つけるだけで未来になる英語って、なんてシンプルで覚えやすいんだろうと感動すら覚えますが、スペイン語では「過去形」も「未来形」も人称ごとに6種類に活用していくため、「げ、それぞれの単語ごとに、どれだけ活用あるねん?」と、このあたりで二度目の絶望をしそうになります。

なのに、ここにきて、また新手のキャラまで登場するんです。「実は、今までやっていたのは"直接法"っていうモードで、これまでまったくおくびにも出しませんでしたけど、実は、他にも"接続法"というモードもあるんですよね(テヘペロ)。じゃー、次はこれやっていきましょっか」みたいな感じで、とにかく、文法の「後出しジャンケン」感が凄い

で、勉強している方も、そろそろ息切れしてきますから、ここらで現実逃避したくなってきて、「接続法なんて特殊な形、めったに使わないんじゃないのかな」「ここまで覚えなくても会話できるんじゃないかな」なんて妄想を抱きたくなりますが、そう現実は、甘くない

なにしろ、私が、つい口をすべらせて「最近、スペイン語の勉強をはじめたんだよねー」などとスペイン語ネイティブに伝えてしまったときに、返ってきたスペイン語のメッセージは、どれもこれも直接法でも現在形でもなかったんですもん。

まだまだ「挨拶」とか「自己紹介」を勉強していた入門レベルの私に、はじめて送られてきたメッセージは、たとえば「Me alegro mucho que estés aprendiendo!(あなたがスペイン語勉強してるの、めっちゃ嬉しいよ)」で「接続法」が普通に出てきちゃってるし、「Te hablaré en español para que practiques.(あなたが練習できるように、スペイン語で話すね?)」だったりすると、未来形が当然のように出てきていますよね。

なので、あっという間に「うーん、ぼちぼち覚えていけば、そのうちたどり着くでしょ」なんて悠長なことは、言ってられなくなりました。今思えば、早いタイミングで「あー、これ普通に使うのね」「これも使えるようにならないと、日常会話できないのね」といっきに目が覚めたのは、本当によかったと思います。

おそらく、多くの方は、スペイン語を勉強しはじめると、一番はじめに出てくる「直接法現在」のボリュームの多さに圧倒されて、「もうこれだけでお腹いっぱいこれ以上覚えるのは無理です」みたいな感覚になっちゃうと思うんですが、きっと、その考え方では、うまくいかない。

早いうちに、自分の状況を客観的に見て「いやいや、これはほんの一歩目にすぎない。『過去』も『未来』も『接続法』も、どんと来い。すべて普通に使いこなせるところまで行ってはじめて、ようやく『カタコトで話せる』ってレベルになるんだわ」と考えられないなら、実際には大して進んでいないにもかかわらず、すぐに息切れをして「接続法は難しいから無理」みたいなことを言い始めてしまいかねませんし、さらには「私、頑張ってる」という自己満足に陥って、さっぱり勉強が進まない原因にもなりかねません。

いや、ダメだって。普通に使うんだから。友達とのやり取りで、「今これやってる真っ最中なの」っていう現在進行の話だってしたいし、「昨日こういうことがあってさ」っていう過去の話もしたいし、「こうしてほしいんだけど」っていう願望だって伝えたいですよね。それなしで会話になる?それすら言えないなら自分も相手も困るし、聞こえないともっと困るから。

名詞も形容詞も化ける

でも、難しいのは、動詞の活用だけじゃないんですよね。日本人にとって理解し難いのは、すべての名詞に「性別」があって、男性名詞か女性名詞かによって、冠詞(英語でいうところの「a」とか「the」)の形が変わるってことです。冠詞という概念にも、馴染みがないのに、名詞の「性別」って、いったい…って話ですよね。

でも、ここまでならフランス語でも同じなので、「なんでこれが男で、どうしてこれが女なの?」などと答えのない問題に思考をめぐらせること自体が、完全に時間の無駄、ということは、わかっていました。四の五の言わずに覚えなきゃどうしようもない、というところまでは、私にとっては、想定の範囲内だったわけです。

勉強法としても「あ、すべて冠詞つけて覚えればいいやつね」というのは、フランス語でやったのと同じ。つまり、名詞を覚えるときに、単語だけで覚えるのではなく、あえて冠詞をつけて、連続した音で覚えていくのが、一番早くて実用的なのは、知っていたわけです。

それに、スペイン語の名詞の性別は、フランス語ほどバラバラな感じではなく、語尾を見れば、男性名詞か女性名詞かが推測しやすいので、ここだけは、スペイン語の方が簡単なのかもしれません。

ただ、名詞の性別と数によって、冠詞だけでなく、形容詞や副詞も変形するのは、なかなか興味深いところ。要するに、冠詞の語尾と、名詞の語尾と、修飾する言葉の語尾が揃う感じになんですよね。例えば、単数だと「plato verde(プラト・ベルデ)」なのが、複数になると「platos verdes(プラトス・ベルデス)」になるし(「緑色の皿」って、どういう例文なんだ、とは思いますが…)、他にも「todos los días(トドス・ロス・ディアス、毎日)みたいに、最後がすべて「ス」になるみたいに、なんだか、脚韻を踏んでいる感じになるわけで、だから、スペイン語の発音って、なんだか歌ってるみたいって言われるのかもなぁとは思いました。

いずれにせよ、動詞の形は変わるし、名詞も冠詞も代名詞も形容詞も「性数一致」で変わっていくとなると、初心者がミスするポイントが、めちゃくちゃたくさんあるってことで、落とし穴がいっぱい状態なのが、つらいところ。

もしかすると、「スペイン語」がちょっと簡単になって「フランス語」になって、さらにもっと簡単になって「英語」になっていったんじゃないかなぁ…と邪推しちゃうくらい、複雑な部分がたくさんあるのが、「スペイン語」なんです。

発音だって、簡単ではない

で、そのように、あらゆる単語がいろいろな形に化けていくと、結果として「似たような綴り」や「かなり近い発音」が、やたらと多くなっていくみたいで、ここがまた初学者が難しいと感じるゆえんでもあります。

もう6種類活用するなら、それ全部覚えるから。時制だって13あるなら、それも全部覚えるから。頼むから、似た綴りと音にするのは、やめてくれないかなというのが、正直なところです。

だって、「este(英語だとthis:『この・これ』の男性形)」と「esté(英語だとbe動詞の活用形:esterの接続法現在や命令法の三人称単数)」って違うの?ほとんど綴りが同じなのに、トリッキーすぎない?!あれ?「está(英語だとbe動詞の活用形:esterの直接法現在の三人称単数と、命令法の二人称単数)」もあったよね?と一文字違いで大混乱になること、本当に多いんです。

それに、「似た綴りなのに、違う単語」であれば、きちんと発音しないと、通じないってことですし、「同じ綴りなのに、違う単語」ってことは、要するに、アクセント位置でどちらの単語なのかを判断するってことですよね。つまり、確実に正しい位置にアクセントを入れる必要があるわけですが、これもですねぇ…。なんか「日本人が直感的に読んだときに、つい強く読みたくなる位置」とは違った場所に強勢があることが多く、だいぶ危険です。

そもそも、英語に慣れている日本人にとっては、「j」を「ハ行」で発音するのも、「h」を読まないのも、 「ll」が「ジャ音」になるのも、かなり違和感ありますから、「ローマ字読みでいいから簡単」なんていう戯言は、軽く聞き流しておかないと、はじめでつまずきます。

言語というものは、自分で正しい音で発音できないと、聞こえないんです。これは、英語をやり直したときに、心底身にしみて感じたので、ちゃんと身につけたいなら「それっぽい」止まりの発音ではダメで、できるだけ「ネイティブの人と同じ発音」で読もうとする努力は必須だと言えます(しかも、正しい発音で身につけておけば、将来的に、音声入力が使えるようになってめちゃくちゃ便利ですし、ネイティブのYouTubeやPodcastなども楽しめるようになるので、たとえ会話する気はなかったとしても、正しい音で覚えるメリットは大いにあります)。

特に、スペイン語はイントネーションだけで、疑問文を作ったりもしますし、もともと音に馴染みがない状態ではじめているので、少なくとも響きに慣れてくるまでは、ちょっと神経質すぎるくらいに、正しい音にこだわる方がいいのではないかと個人的には思います。

あと、どうもアクセントのかけかたが、英語とはちょっと違うように感じるので、この独特の音の高低の作り方に慣れるまでは、かなり真面目に発音の練習をすべきではないかと。特に、こういう系は、最初さえキチンとやれば、あとあと積み上がっていきますし、スペイン語の発音をなめていたら、おそらく後から、かなり痛い目を見ることになるのではないかと思っています。

すべての単語をゼロから覚える

さらに言えば、多くの日本人にとって、スペイン語の単語は、見たことがないものばかりで、ひっかかりがなく、とにかく記憶しにくいのも、けっこう大きなつまづずきポイントなのではないかという気もしています。

もちろん、スペイン語初心者の心理的負担を下げるために「実は、これもあれも、スペイン語なんです。すでに外来語として知ってますよね」って言ってくださる親切なお気持ちは、ありがたいんです。けれど、それ、多分に嘘が含まれていると言いますか、言ってないことが多すぎると言いますか…

もういっそのこと、「完全にすべてゼロから覚えなきゃいけないのよ。諦めて、頑張れ!」と言われる方が、よほど現実に即したアドバイスではないかと個人的には思います。

だって、英語なら「ペン」とか「ノート」とか、すでに知ってる単語もたくさんあるのに、スペイン語だと「ペン」は「bolígrafo(ボリーグラフォ)」だし、「ノート」は「cuaderno(クアデールノ)」だし、もう完全に違う単語なんです。かすりもしない異次元の語彙だと言えます。

もともと、私は、趣味でアルゼンチンタンゴをやっているので、中には、ステップ名になっているという理由で、少しは知っている単語もありましたけど(サリーダとかオチョとか)、あと、多少はフランス語と共通する単語もありますけど(月の名前や曜日、数字などは、近いんだけどやっぱり違うので、かえって紛らわしい)そんなのほぼ意味ないレベルで、すべてが新出単語。知らない。読めない。まったく馴染みないし、さっぱり覚えられない

唯一の救いは、1つの単語でいろいろに使い回せるものが多く、必須語彙数がそれほど多くないところですかね。日常会話で必要な単語数は、英語よりも少ないと聞きましたが、確かに、語彙数はそれほど多くなくても、言いたいこと言えそうな気はしています。

だから、「しゃべれるようになるまでの、総勉強時間は少なくてすむ」イコール「簡単!」って話なんでしょうけど、たぶん日本人にとっては、初級文法のハードルが、おそろしく高くて、「学びはじめ」がめちゃくちゃしんどい言語なんじゃないかなと思っています。

再現性はあるはず

そんなわけで、英語学習に比べると、圧倒的に情報も少なくて、教材も限られているし、何からはじめればいいのかわからないという意味でも、かなりとっつきにくい状況にあるのが、本当のところの「スペイン語学習」なんだとは思いますが…音に馴染んでくると、そこまで大変じゃなさそうな気もしてくるのが不思議なところでもあります。

それに、私は、子供の頃から、語学の勉強が好きで、これまで留学したこともないし、日常で外国語を使う環境にまったくなかった割には、案外、英語を聞き取れたりしゃべれたりもしていまして、「どうすれば、最短で使える形で勉強できるのか」という方法論が、自分なりにわかってはいるんですよね(中学時代に受けた英検の面接でも「どこで習ったの?」と褒められましたが、学校というよりはNHKのラジオ英語のみで、ほぼ独学だった)。

で、その理論の再現性を検証するような形で、今回、真面目にスペイン語の勉強をはじめたところ「やっぱり、このやり方でいけるな」と確信できるようになったので、せっかくなら、私が、ゼロからスペイン語を勉強していく過程を記録しておけば、どなたかのお役に立つのではないかと思って、書いてみることにしました。

人生は、思っているよりも長い

正直、本業は全く別なので、こんな長文を書いてる間に「仕事しろ」って話ですけど…(ちなみに、本業はこういうお仕事。ビジネス書の著者で講座やコンサルやっています↓)

ま、こういうまったく別ジャンルをやってみることが、案外、いい仕事につながることもありますし、何より一度しかない人生です。「やりたい」と思ったなら、ぐだぐだ言い訳せずに、今から、やったらいいじゃないですか。

数年前、「英語」を勉強し直そうと思い立ったときにも、「今さらやってどうなる?」と思ったんですよね。でも、「やらない後悔よりも、やった後悔」などと言うように、「どっちの道を進んだ方が、私はハッピーなんだろう?」と、それぞれのタイムラインを80歳くらいまで歩いて、振り返ってみたら…どう考えても、英語ができる未来の方が、楽しそうだったので、やるしかなくなりました。

それに、ふと本気で「私は、何歳まで生きるんだろう?」って考えたんですよね。私には、今97歳の祖母がいますので、「少なくとも同じくらいまで生きるだろうと容易に予想できるし、医療の進歩は凄まじいから、そう簡単には死ねないかもしれない。下手したら、私は120歳まで生きるかもしれない…。てことは、え?まだ、半分どころか、1/3しか生きていないかもしれないってこと?」と思い至って、「うーん、ここまでの人生を、あと2回やらないといけないなら、今からはじめても、全然遅くないじゃん。少なくとも、今日が人生で一番若いんだし」と思うようになりました。

で、実際、やったらやっただけのことはあり、数年間英語を真面目に勉強し直した結果、急に世界がぐんと広がって、今、すごく楽しい。さらに、アルゼンチンタンゴは1年ちょっと前に習い始めたので46歳からのスタートでしたし、スペイン語は47歳からなのですが、すでに年齢を言い訳にするアホさ加減を心底思い知っていますので、いずれにせよ、もはや何も言い訳はできません。

今の時代は、めちゃくちゃ恵まれている

記憶力のなさを、歳のせいにするのも、やめました
昔、よく「勉強が苦手な子」の家庭教師をやっていましたが、点数が取れないで困っている子ほど「1回で覚えられないから、私は馬鹿だ」などと勘違いしていました。いやいや「1回で覚える人」なんて、もとから存在しないから。

そういう子たちには、まずは「成績の良い子は、1回で覚えてるんじゃなくて、何回もやってるのよ。しかも、10回とか、そんなレベルじゃないから。100回とか300回とか、とにかく覚えるまでやるわけよ?」と説得するところから、はじめていました。実際「最低限ここだけ」というところを押さえれば、どんな子でも成績は爆伸びしましたから、記憶力なんて、幻想みたいなものです。「能力」じゃなくて、単に「反復」の問題。いちいち絶望せずに、ひたすら回数やりゃいいだけなんです。

だいたい、私が子どもの頃は、カセットラジオ紙の辞書しかなくて、外国語を勉強するのは、ものすごく大変だったわけですが、今は、スマホYouTubeChatGPTもあって、他の国の人とオンラインでつながることまでできちゃう、夢のような環境です。冷静に考えて、これだけ恵まれた環境で、安価で手に入るリソースが無限にあるのに、できないわけがありません。

それに、何かを身につけるには、歳を重ねているほど、有利なはずですよね。過去に何かを習得したときの成功体験を参照できるので、どうすればうまくいくのか、すでにわかっているようなものだからです。一度通った道を、もう一度行くだけなのですから、見通しも立ちやすく、努力のしどころお金のかけどころも、わかっている。

その上、時間の作り方も心得ていて、プロジェクト・マネジメントも得意になっているはずですし、若い頃よりも、お金に余裕もあったりしますので、そういったところも含めて、これまでの人生で得てきた知見をすべて投入しようという覚悟さえあれば、何も知らない若い頃よりも、むしろ今の方が、ずっと効率よく、短期間で習得できることって、多いんじゃないかと思っています(身の回りを見てても思いますが、大人が本気でやったら、案外、凄いんですよ。みんな圧倒的な結果に繋げています)。

そんなわけで、「スペイン語って、ぜんぜん簡単じゃないじゃん」などとボヤきながらも、今回は、ある程度しゃべれるレベルにまでは、持っていきたいと思っています。

当面の目標は、アルゼンチン・タンゴの先生たちが、レッスン中に興奮してくると、日本語でも英語でもなく、早口のスペイン語になってくるので、それをすべて聞き取れるようになって、スペイン語で質問できるようになること。おそらく、スペイン語ができると、得られる情報量がまったく違ってくるだろうと思っていますし、せっかくアルゼンチン・タンゴを習っているんですから、あわよくば、アルゼンチンにも行ってみたいなーなどと思っています。

あ、言語習得において、目標設定って、めっちゃ重要ですよ。何のために勉強するのか。どこまで行きたいのかのビジョンを具体的にイメージできていれば、近い将来、本当に現実になっていくものです!

ちなみに、具体的な方法は、こちらに書いていますので、よかったら。

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谷本 理恵子 @「女性」に売れる見せ方
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