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昼休みコラム「初恋通りなんて名前すごくかわいい」 

1.私の昼休みの散歩コース

私は昼休み、勤め先の近くの神社に参拝に行くのが日課だ。神社は塩竈神社という塩竈市にある大きな神社の分社と、秋田市の大平山の山頂にある三吉神社の分社なんだそうだ。いつ頃から、仙台駅東口の地にあるのか、詳しくは分からないのと、今日のテーマから離れてしまうため、今日は割愛させていただこうと思う。

上:参道は初恋通りと名付けられている

とにかく、この神社に参拝する際に歩く参道は「初恋通り」と名づけてあって、通りの途中の酒屋さんの前には林檎の木がある。これはヨーロッパの林檎の木で「クラブアップル」という小さな可愛らしい林檎の実が成る木だという事を知ったのも、神社への参拝をし始めたからだった。その向こう川には、タイルに大きな蝶々が施されている、通称「蝶々広場」(ここに遊びにくる保育園の子どもたちがそう呼んでいた)がある。

上:至る所に初恋通り、と書いてあり和む参道
上:島崎藤村の初恋の歌碑、現代語訳で意味を調べるととっても素敵
上:若菜集の表紙に描かれた蝶々をモチーフにしたタイル

2.そうか藤村だったのか

私は本が好きなんだけど、最初、初恋通り、林檎の木、蝶々広場、なぜこの3つがあるのか気にも留めなかった。だが、途中で石碑や歌碑をよく見てみたら、実はこれらの場所は作家の島崎藤村にちなんでいる事を知った。そして、藤村が仙台で少しの間教員をしていた事は以前に何かで知っていたような気がするが、その下宿先「三浦屋」の跡地が蝶々広場の辺りにあった事は初めて知った。藤村は三浦屋で、名作の「若菜集」のほとんどを執筆したのだそうだ。その中で藤村が触れるには、三浦屋から約9キロほど先にあたる、若林区荒浜の海の音が聞こえた、と記していたそうだ。今ではこの辺りは、開発され、高いビルやマンションが建ち並び、近くに海があったことすら忘れてしまうほど。もちろん波の音などしない。

上:三浦屋跡地を記した石碑と若菜集の蝶々マーク


3.昔ってすごい

車の騒音や、ビル群が無く、見通しが良いだけで9キロ先まで波音が聞こえる、昔はすごい。私の勝手なイメージだと、藤村って恋多き男性のイメージがあって、儚げな感じがする。明治、大正、昭和初期の作家さんの想像力が逞しいのは、遮るものがないからかなと思う。今は、様々なツールを通して自由に表現をする場所が増えたけれど、与えられる情報量も多い。自然の音に耳を澄まし、波音を聴きながら、恋の歌を書き綴るなんて、なんて素敵なんだろうと私は思う。斯くして私も、初恋通りを毎日通っているうちに、思った事を詩に書くことを始めた。時代が変わっても、文豪の影響力というのはすごいものだなあと感心してしまうのである。

上:クラブアップルの実はこんなにかわいらしい
上:林檎にはこんな花が咲くんだと初めて知った林檎の木

(MacBook)

かわいらしい林檎の花と、りんごの実。通り過ぎなければ素敵な事はたくさんある(^ν^)

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