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慢性疾患の食事療法~カゼインフリー~

牛乳・乳製品による慢性炎症

体調不良でお悩みの方で、牛乳や乳製品をよく摂っている人も多いと思います。牛乳そのものや、ヨーグルト、アイスクリーム、生クリーム、チーズといった乳製品を控えることは、慢性疾患を治すためにグルテンフリーと並んで基本となる食事療法です。なぜなら、牛乳のカゼインタンパクは小麦のグルテンタンパクと同じように、食物の消化吸収を担う腸に炎症を引き起こし、腸漏れもしくはリーキーガット症候群という慢性病の入口をつくってしまうからです。さらに、カゼインは肝臓、乳腺、子宮、卵巣、前立腺といった臓器に炎症を起こすリスクもあります。まずカゼインによって腸に炎症が起こると、腸の細胞に隙間ができ、腸漏れという状態がおこります。腸漏れが起こると、その隙間から悪玉菌、金属、化学物質といった体にとって毒性のあるものが血液中に漏れて全身をめぐりさまざまな症状をきたすこととなります。また肝臓にたまって慢性の炎症を起こすことで、その解毒機能を低下させてしまいます。肝臓の解毒機能が低下することで、腸から漏れた毒性物質を解毒できず、さらに全身に炎症が広がっていくこととなります。腸と肝臓は毒物を解毒する役割を果たす大事な臓器ですので、この2つがさまざまな毒物によって炎症を起こし、その機能が低下することでさまざまな症状を呈したり、細胞のエネルギー低下の原因となります。乳腺に炎症が続くと乳腺炎、子宮に炎症が続くと月経痛、卵巣に炎症が続くと月経異常、前立腺に炎症が続くと前立腺肥大や前立腺がんの原因となります。

牛乳・乳製品によるアレルギー

カゼインによって体に慢性の炎症を起こし体調不良となることもありますが、そのほかには鼻炎やアトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患の原因となることも多いです。特に小児科の患者さんで牛乳の過剰摂取によるじんま疹、鼻炎、皮膚炎の増悪などでお悩みの方がよく受診されます。よくあるパターンとして、学校給食で牛乳を毎日摂取し、自宅でも同じくらいの量の牛乳を摂取している方が、カゼインタンパクの過剰摂取となり腸漏れや免疫異常によるアレルギーを起こしていることがゼロ・サーチで推定されます。カゼインは腸にも炎症を起こしますが、肝臓に蓄積されることが多いようです。バイオレゾナンス医学会の青木先生が書かれた本『バイオサンビームで病気が治った』によると、牛乳のカゼインタンパクは肝臓の近くにある胆嚢にまずたまり、そこで毒性のあるカゼインタンパクに変性し、それから血液中に放出され、体に悪さをしているのではないかということでした。いったん胆嚢で変性するのに時間がかかるため、牛乳や乳製品を摂取して2日後に体調不良が起こりやすいようです。また私がゼロ・サーチで診療していて気づいたことは、カゼインは肝臓に蓄積しやすく、さらに体の右側に症状を起こしやすいということです。小麦のグルテンは体の左側に症状を起こしやすく、カゼインは体の右側に症状をおこしやすいということです。例外もありますが、体の右側に何かしらの症状が続いている方で、牛乳や乳製品の過剰摂取をしている場合は、それを控えることをおすすめします。

牛乳・乳製品を控えてみよう

治療としては、原則は牛乳と乳製品を控えることです。学校給食と自宅での過剰摂取が原因と推定される場合は、まず自宅での摂取を控えて頂くことで改善することもありますが、アレルギーを起こしていると推定される場合は完全に控えていただくこともあります。余談ですが、カゼインにも種類があり、アレルギーを起こさないタイプのカゼインもあるということですが、牛乳そのものがホルモン剤や抗生物質、農薬などで汚染されている可能性も指摘されているため、 カゼインだけの問題ではないとする考えもあります。私もその意見に賛同します。ですので、慢性の体調不良でお悩みの方は食事療法として小麦だけでなく牛乳や乳製品を一緒に控えて頂くことがとても重要となります。

カゼインフリーでじんましんと喘息発作が改善した患者さん

12歳、男性。気管支喘息で治療中。20XX年6月下旬、学校給食(パン、マカロニ、アスパラガス、牛乳)摂取後よりじんましんが出現し、当院受診。喘息発作も再燃するようになっていた。ゼロ・サーチによる診療で、カゼイン過剰摂取によるリーキーガット症候群をきっかけとしたカゼインアレルギーによるじんま疹と推定した。カゼインフリーの食生活を指導し、漢方薬・解毒剤を処方した。同年7月下旬、じんま疹の再燃なく、喘息の吸入薬も忘れていることが多くなったが、発作も起こっていない。ゼロ・サーチで、リーキーガット症候群は改善し、カゼイン接触によるアレルギー反応増強もわずかと推定されたため、症状改善と判断し、終診となった。

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