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「カウンセリングとは、傾聴とは」(南九州新聞20220312掲載)

はたして、読者の中に「カウンセリング」を受けたことがある人はどのくらいいるのだろう。あるいは、訓練を受けた傾聴者が行う「傾聴」を受けたことがある人はどのくらいだろう。「今、私はこの人にちゃんと話を聴いてもらえている」という経験をしたことがある人はどうだろう。

世間的に「カウンセラー」という資格を基に仕事をしている人は多い。「カウンセラー」という立場の人と話をしたことがあるという人は多いだろう。だが、はたして、その経験は「カウンセリングを受けた」と言えるかどうか。

うち(NPO法人ルネスかごしま)に相談に来る人の中に、「〇〇で相談を受けたけど(〇〇でカウンセリングを受けたけど)、全く役に立たなかった」と言っていらっしゃる方が一定数いる。「一定数」と書いたけれども、おそらくはみなさんが想像するより割合は多い。そのことは、世間で言われている(あるいは行われている)カウンセリングや相談業務がほとんど機能していないことを意味している。

つまり、世間にいる多くのカウンセラーや相談員がおこなっているのは「カウンセリング」や「相談業務」ではない、ということになる。当然、本当の意味での「カウンセリング」や「傾聴」を受けたことが無いという人も多くなるだろう。

最初に出会ったものがまがい物であったがゆえに、それ以降「カウンセリング」や「傾聴」に対して、臆病になってしまう方もおられるだろう。

「カウンセリング」において、私が重要視するのは、まずはとにかく相手の話を否定なく聴くことである。余計なことは言わない。(*「何が相手にとって余計なことか」というのは難しいことだと言える。ここでは、「大抵の、カウンセラーの言うことは相手にとって余計なことだ」という定義でひとまずは良いのではないかと思う。カウンセラーがどんなことを考えているかなんて、クライアントがする話の重要さに比べたら、そのほとんどが「余計なこと」でしかない。)「対話」がおこなわれるのは(あるいは必要とされるのは)もっと先の段階であって、まずは相手との信頼関係を築くために、「聴くこと」に集中する。

まずは「誰かに真剣に話を聴いてもらえて良かった」という感覚を経験していただきたいと思う。

お読みくださりありがとうございます。 いただいたサポートは、NPO法人ルネスかごしまが行う「生活困窮家庭・ひとり親家庭支援」に全額使わせていただきます。